たたずむ男


友人の勤める自動車販売の営業所へ行った時の話です。
夜の9時をまわっていたと思います。
営業所へ忘れ物を取りに行くのに、付き合って行ったのです。
その建物は2階建てで、誰も居ない営業所は真っ暗でした。
私は車で待っている事にしました。
友人が入ると電気がつき、少しほっとしました。
車の中で好きな音楽を聴いていた時、
ふいに、誰かの視線を感じました。
私は視線を感じる方を探しました。
視線を送っている先は、その営業所の2階からでした。
2階は電気が付いておらず、1階からの漏れた明かりで薄暗い状態でした。
その2階の窓際にたたずむ人影があります。
私は車の窓を開け、身を乗り出しました。
その人は微動だにせず、ただただ、私を見下ろしています。
体の線は細く、中年の男性のようでした。
あれは誰だろう?営業所は誰も居ないはずなのに。
ひょっとして、不法侵入者??
どうしよう?友人に知らせなくては!!
そうこう、考えていると友人が戻ってきました。
私はすぐに伝えようと車に乗り込む友人に言いました。
「あの、窓際に人が居たよ!泥棒じゃないの??」
「え?どの窓際?」
「ほら、あそこ!」
私はその窓を指差しました。
すると、そこには人の姿はありません。
どこかに、身を隠したのかと思いました。
「あそこは、吹き抜けになってる部分で、人なんて立てないけど?」
!!!!!!!
そういえば、生きている人間の感じはありませんでした。
私を見つめる視線もどこか空を漂っていて意思をもって見ている感じではありませんでした。
「ここ、遅くまで残ってると、ラップ音がするんだよね。どうやら、この辺は江戸時代、処刑場だったんだって。」

その後、その営業所内で、事故が頻発し、お払いをしたそうです。