電話ボックスの女


私が産まれて初めて、霊を見た時の話です。
私の実家のそばに、F公園という公園があります。
F公園は、木が多く植えられており、昼間でも鬱蒼としています。
夜ともなると、闇夜にまぎれ、カップルが集まってきて、イチャイチャしているらしいとの噂。
そのカップル目当てで覗きが出たり、変質者が出たりすると評判でした。

あれは、私が高校1年生の時の事です。
今の世の中当たり前になってしまった携帯電話などどいうモノがなかった時です。
友達が我が家に遊びに来てました。
気付くと夜の9時をまわっており、そろそろ帰るというので、
バス停まで送る事にし、玄関から外へ出ると、父が帰ってきました。
父が彼女を送ってくれるというので、私たちは車の後部座席に座りました。
私は父の後に座りました。
私の家から彼女の家までの途中に例の「F公園」があります。
ちょうど、その公園の前にさしかかった時、信号で車が止まりました。
私が座っている側がちょうど公園になりました。
ふと公園の方に目をやると、
横断歩道を渡り切った所に、電話ボックスがありました。
公園の闇に浮かぶ電話ボックスの照明はホッとするものです。
すると、そこに一人の女性が電話をしている姿がありました。
初夏なのに、グレーのコットン長袖で、黒いミニタイトスカートをはいていました。
ちょうど道路に背を向ける感じで立っており、顔は見えません。
髪の長さは肩ぐらいのセミロングでした。
どうも、深刻な話をしているようで、うつむき加減です。
(いろんな噂のある、危険な公園なのに、大丈夫かな?)
私はボンヤリ考えました。
(親に聞かれたくない話なのかな?別れ話とか?もめてるのかな?)
などと、空想していました。
そのうち、信号が青になり、車がゆっくり動き出しました。
私は、何故かその女性から目が離せず、ずっと見ていました。
ところが、その女性が見る見る消えていったのです。
!!!!!
私は一瞬言葉を失いました。
空気に溶けるように、スッーーーと消えたのです。
私は顔を車内に向けることすら出来ずに友人に声を掛けました。
「今、電話ボックスの中に居た人見た?」
私は、振り絞るように声を出しました。
「それって、黒っぽい洋服来たセミロングの人?」
友人は淡々と答えます。
「え?!見、見たの???」
私はびっくりして、彼女を振り返りました。
「今日は見てないけど」
「え?!」
「1週間前にバスで通った時に見たよ。夜の7時頃だったと思うよ。」
「お父さんは見た?」
「え?気付かなかったけどな」

今も、その電話ボックスはあります。
霊能者に聞いた所、生前そこからどうしても電話を掛けたかったんだと思う。と言われました。
今も、電話を掛けているのでしょうか?
どうしても、伝えたい言葉があるのでしょうか。