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うちのピアノは名器かも!? 〜世界名器探訪〜

 
スタインウェイ ベヒシュタイン べーゼンドルファー
ファツィオリ グロトリアン ブリュートナー
シンメル ザウター  
     
ヤマハ カワイ オオハシピアノ
シュベスター イースタイン ベルトーン
     

国産ピアノメーカー編


欧州機編に続いて、国産ピアノにおける素晴らしいメーカー、モデルをご紹介しましょう。
海外製を含めて各ピアノメーカーへは、上の一覧からジャンプできます。
 
ヤマハ

ヤマハ 
日本楽器 (浜松)

まず、圧倒的に所有者の多い、あまりにもメジャーなメーカーから見てみましょう。
ヤマハアップライトの型番の法則は、頭にUのつくモデルが基本です。
その後ろに大きさ(高さ)を表す数字がつきます。
例えば、U1 U2 U3といった具合です。これらのほとんどはいわゆる「普通の黒いピアノ」ですね。
数字が大きくなるほど高さが高くなります。(1〜3までのみに適応)

このU1系、U3系は、マイナーチェンジを行う毎に型番の末尾にアルファベットを付けます。
(U1D U3Hなど)  更に新しくなるとU10やU100と数字を増やしたり
YU1やYU3というように前にYを付けたりして拡張してゆきます。
いずれにしても、U1系、U3系というベースに変化はありません。
ちなみに、型番末尾にHのつくモデルは、製造年も一番長く
個人的に最もポテンシャルの安定したモデルだと思います。
 
このU3系をベースに、X支柱を採用したUX系が
登場します。 このUX系のうち、初期の「UX」は、
グロトリアン社の設計思想を取り入れたと
言われています。

本家グロトリアンは、弦の張力を高く設計して
ありますが、UXの張力は高くはありません。
そのため、UX独特の音色に仕上がっていますが、
潜在能力は格別です。
UX型X支柱
 
ヤマハU5型

©Copyright 2003 YAMAHA  Corporation All rights reserved
現在のヤマハピアノは、スタインウェイ社の
設計を基にしてあります。 ところが、1900年に
量産を始めた当時は、ドイツベヒシュタイン社
から技術者を招いていたため、 おおよそ
昭和50年代の型番末尾Gモデルまでは、
ベヒシュタインの設計を基にしてあるようです。

両社の音をご存知の方はおわかりかと思いま
すが、琥珀のような高貴な音のベヒシュタインと
ダイヤモンドのようなスタインウェイの音…、
手を入れていくとそんな設計思想までが
見え隠れしてきます。
   

以上、ヤマハの基本ラインナップについて
みてみましたが、U1〜3以外に 5とか7の
付くモデルも存在します。U5(上図)や
U7(右図)といわれるモデルが該当します。

高さはU3系と同じですが、中身はまったく
別物です。特に「U7」は、総アグラフ方式
(下図)という技術を取り入れた、ヤマハ
における最高の名器です。

アグラフとは、弦を鉄骨に押しつける力を
加える部分で、一般的にはプレッシャー
バー方式(右下図YUA型参照)という
金属のバーによって全弦を一度に押さえ
つけますが、アグラフ式は一音ずつ独立
させた部品とすることで、均一な力で弦を
押さえることができます。

 

ヤマハ名器U7型
U7総アグラフ U7の外観は、前期モデルはチーク材に薄い
クリア層を塗って艶出しで仕上げてありますが、
後期モデルはチークの木目を直出しとして、
七分艶で仕上げてあります。
(写真は前期モデルです。)
ペダル付近に施された金色の装飾が何とも
言えませんね。

非常に貴重なモデルと言えますので、 この
モデルをお持ちの方は、是非とも末永く
大切にされることをお勧めします。
   
ヤマハYUA型 YUA型プレッシャーバー
   
最後に、ヤマハにおける珍しいモデルをご紹介しましょう。
上図のYUAというモデル、外観は何の変哲もない普通の黒いアップライトです。

外観上気付く一般的な黒いタイプとの違いは、いわゆる「グランド型」譜面台や、
中央のペダルがマフラーではなく、低音側のダンパーのみを操作するタイプの
ソステヌート機能になっていることが挙げられます。

また、すべてのハンマーにアンダーフェルトが入っていることや、上右図のように
中音から高音に至るプレッシャーバーを、途中で分離させていることからも
高級機種としての位置づけにあることがわかります。

しかし、これらは一般的な上位モデルにも共通する要素で、
このモデルの特徴とはいえません。実は、内部のアクション機構に
<世界でも類を見ない構造>を持っているのです。
 
YUA型アクション U3H型バットフレンジコード

上図左がYUAのアクション、右が一般的なU3型のアクションです。
弦を打弦するハンマーの根本部分を、裏側から見ています。

アップライトアクションの打弦時における重要な動作である、レットオフ(※)をするため
スプリングが付いていて、これをコード(フレンジコード)に引っ掛けてあります。
このコードは本当は白いのですが、写真では経年劣化によって茶色くなって切れています。
写真をよく見ると、スプリングが跳ね上がっているところがあるところがありますね。
YUAでは、この故障を防止するため、もしくはスプリングのテンションを一定にするために
(いずれも私の想像ですが…)、金属のバー状をしたスプリングになっています。

※レットオフ: 鍵盤をゆっくり押し下げていくと、ハンマーは弦に近づいていきます。
 ある程度近づいても、弦には触れず後戻りをするのですが、この運動をレットオフといいます。
 この動作が不良になると、ハンマーが戻らないため、音量(特にpp)のコントロールが難しくなる、
 二度打ちを起こすなどの症状が現れます。
 また、レットオフの距離(ハンマーが弦に近づく距離)は、音色にかなり影響を及ぼすため
 すべての距離を均一に保つ必要があります。
 

ピアノメーカー一覧
 

カワイ

カワイ 
河合楽器製作所(浜松)
 

カワイ製ピアノのラインナップは大変種類が多く、型番も多種多様であるため、
ここで整理することは割愛します。(ご希望の方には、全機種一覧をお送りします。)
ここでは、珍しいメカニズムを搭載したモデルをご紹介しましょう。

 

US50型 左図は、US系の一部に見られる、共鳴専用
の弦を追加したアリコートシステムです。

通常、最低音部Aの左には鍵盤はありません
から、当然弦もありません。ところが、この音
域の豊かさを求めるために、最低音Aの左に
2本の弦を張ってあります。

ハンマーはAまでしかないので、当然発音は
しませんが、無発音弦が共鳴することによって、
豊かな低音が得られています。

左の写真は、Aのハンマーを打弦位置まで
近づけています。更に左に弦があるのが
おわかり頂けるかと思います。
 

ピアノメーカー一覧
 

オオハシピアノ

オオハシ 
大橋ピアノ研究所
 
   
オオハシUP125 国産ピアノの中で、最も特筆すべきメーカー
でしょう。 大橋幡岩(はたいわ:通称ばんがん氏)
という創業者が、設計からすべて自社に
おいて手作りされた、国産最高水準のピアノ
メーカーです。

その音色は、「これぞ日本のピアノ!」…と
いうとあまりにも抽象的ですが、他の国産
メーカーとは路線の異なる、まさに日本の
香りが漂っています。

下図は、アップライト鉄骨にある「大橋幡岩」の
文字です。この刻印からも、幡岩氏のこだわり
が伝わってきますね。
 
また、ディアパソンというメーカーの創始者も、
この幡岩氏です。幡岩氏が他界された現在は
カワイ系列になっていますので、現在のディア
パソンはカワイと共通部品も多いのですが、
初期モデルの鉄骨にも”OHHASHI DESIGN”と
あることから、幡岩氏の思想が伝わってきます。
ディアパソンをお持ちの方は、調律時にでも
覗いて見てはいかがでしょうか。
大橋幡岩氏刻印
   
 

ピアノメーカー一覧
 

ベルトーン

ベルトーン 
富士楽器製造・ベルトーンピアノ研究所
   
富士楽器の主力ブランドで、名調律師沢山清次
郎氏の指導によって、その高品質を得ています。
特にグランドは製造台数も少なく、大変希少で
あり、グランドのメカニズムはブリューツナー
モデルであると言われています。

なお、BELTONとは、芸大教授でもあったピアニ
スト、レオニード・クロイツァー氏によって、命名
されたものです。クロイツァー氏は、フジコ・ヘミ
ングさんの師匠としても有名ですね。
 
ベルトーン175アクション

ベルトーンUPクロイツァー氏命名

アップライトには、左図の位置に、クロイツァー氏
命名であることを記載した部分があります。
写真では見にくいですが、お持ちの方は
是非中を覗いてみてください。

グランドの音へのこだわりは、上図からも
伝わってきます。鍵盤とハンマーレールが並行
でないのが、おわかりいただけるでしょうか?

これは、例え弦長の短いグランドといえど、
最適な低音部の打弦点を求めるための
工夫です。結果、ズドーンと響く低音が
印象的なモデルです。
(このメカニズムは、ヤマハ製G5系の一部に
も採用されていた時期があります。)
 
ベルトーン175

このピアノが、2004年TV朝日系「熱闘甲子園」の
挿入歌に使われました。関係者の方々へ、
この場を借りて厚く御礼申し上げます。
アーティスト名: tekkanさん 曲名: 「祈り」
ベルトーン175鉄骨

 
 

ピアノメーカー一覧
 

シュベスター

シュベスター  
エスピー楽器製作所(浜松)
 
   
東京蒲田で創業した調律師集団のメーカーです。

初期の アップライトは、大橋、西川と並ぶ日本
の名器松本ピアノのデッドコピーをした、大変
貴重なモデルです。

松本ピアノは、東ドイツのツインマーマンを
コピーしています。※ベヒシュタインの項参照

1952年からは、名調律師斎藤義孝氏の指導に
より、ウィーンの名器ベーゼンドルファーの構造
をコピーしたものに変更され、現在に至ります。

グランドは、スタインウェイD型の設計を基にして
あります。

 
シュベスターNo.50
シュベスターNo.50鉄骨 3枚の写真は、比較的新しいモデルNo.50です。

構造上の特徴としては、響板に一般的な
スプルースでは、その材質の硬さから音の
ダイナミックレンジが狭いため、北海道産の
エゾ松を使用していることです。(左図)

また、一般のピアノよりも弦の張力が低いの
ですが、華麗な音作りのためにあえて張力を
上げず、響板など他の要素を工夫した結果、
支柱やフレーム、および響板の経年変化が
少ないとも言われます。



 
内部の作りは、非常にしっかりとしています。
右図は1990年代のアップライトですが、大手メー
カーが次々と新素材を使用していく時代の流れ
の中、すべての部品を木で作製し、欧州機にも
引けを取らない仕上がりとなっています。

また、外観上の特徴として、クラシックなものが
多いこともシュベスターが人気の理由でしょう。
アップライトについては、型番の数字が大きく
なるほど、グレードが高くなりますが、特に
最高峰のNo.59は、そのバロック風デザイン、
音色ともに、最高の仕上がりであると思います。
シュベスターNo.50アクション
   
 

ピアノメーカー一覧
 

イースタイン

イースタイン
 東京ピアノ工業(宇都宮)
 
 

こちらも調律師集団によって、念入りに作られたピアノです。
創業者松尾新一氏が、戦後松本ピアノ系の技術者を集めたのが
始まりと言われています。

下6枚の写真をご覧下さい。
左下3枚がイースタインB型、右下3枚がドイツの名器、
ブリュートナーです。この写真からおわかりのように、
イースタインのB型は、ここまで徹底して名器の再現をしてあります。

上段は鉄骨上部全体の形状。
中段はチューニングピンを埋め込んである部分がくり抜かれ、
真鍮製の板を埋め込んである、いわゆるブリュートナー方式。
下段は中音部を分離させた独特な駒の形状です。

これらの事実の検証のために、師匠がわざわざ入手して
くださった時の貴重な写真です。

 

イースタインB型 ブリュートナーアップライト
 

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