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ピアノは古い方が良い!? 〜ピアノの復元について〜


「うちのピアノは古いから直らないかも・・・」
「古くて音が悪いから、何度も買い換えを勧められてる・・・」

よくお客様からこのような問い合わせを頂きます。
豊かになった日本の経済事情では、「古くなったものは新しい物に
買い換える」という考え方は、ある意味仕方のない傾向かもしれません。
しかし、それは電化製品や自動車など消耗品の話であって、
楽器であるピアノには当てはまらないのです。
 
どんなに古いと言われるピアノでも、修理不可能
なピアノはほとんどありません。音が悪いのは
古いからではなく、調整が悪いためです。

もちろん、設計上どうしてもパフォーマンスの悪い
モデルも存在しますが、それでも徹底して解体修理
を行えば、新品に近い状態に戻すことが可能です。

当事務所では、そのモデルの持つパフォーマンスと
耐久性、設計による問題点等を考慮して、ご予算に
応じた仕上がり具合を事前にご説明致しております。
場合によっては、中古でもう1台買えるほどの金額に
なることもありますが、お持ちのピアノに対する思い
入れとご予算を天秤にかけて、修復するか買い換えを
ご検討されるかをご判断ください。

ではここで、あなたがお持ちの古いピアノを復活させるにあたって、
「古いピアノ」という定義を考えながら、「ピアノは古い方が良い」
という事実を確認していきましょう。

さて、あなたは何年前のピアノを「古い」と思いますか?
人によって、その年数の捉え方は様々だと思いますが、ピアノの歴史を
振り返りながら、まずは欧州の名器について考えてみましょう。
 
現代のピアノの原型になるものが生まれたのが、
約300年ほど前のことです。(イタリア)
右図は、現存する最古のピアノと言われている
クリストフォリのレプリカ(オリジナルは1720年)です。
そこからいろいろな改良が重ねられ、同時にメカニ
ズムの発達に合わせてピアノ曲も発達してきました。

イタリア人で発祥したピアノの技術は、やがてドイツへ
と伝わります。しかし、この頃のドイツは時代的に不安
定だったため、技術はフランスやイギリスへと流れ、
このふたつの国で、別々にピアノの技術が発達し、
おおよそ100年の間に現代のメカニズムの基礎が
できあがることになります。
 
この頃の宮廷での音楽会を想像すると、音楽の発達的にも
まだそれほど大きな音量は必要ありませんでした。
ところが時が流れ、ホールでの演奏会に大音量が音楽に求められる
ようになると、ドイツやアメリカでピアノの技術が発達していきます。
スタインウェイとベヒシュタインの創業は、ともに1853年です。

そして、現代のメカニズムがほぼ完成したのが1920年頃です。
この時点で一旦は技術的ピークに達していたのですが、
ご存知の通り二度の大戦でピアノ作りはできなくなり、
終戦後の1960年代に再び技術的ピークが訪れるのです。
 

余談ですが、第二次世界大戦時、連合軍は
ドイツ国内のあらゆる施設を攻撃しました。
もちろん、ピアノ工場も例外ではなかったのですが、
アメリカ資本であるスタインウェイだけは攻撃をされ
ませんでした。そのためスタインウェイは、戦後すぐ
にピアノ製作を再開することができたのです。

現在、世界中のホールにスタインウェイが納入され、
ほとんどのピアノCDの録音に使われているのは
これがひとつの原因である、という説もあります。


1920年代以降の世界の名器は、多少調整方法の差はありますが
メカニズムは現代のものとほとんど同じです。これらの名器は、
「古い」という烙印を押されることなく、世界中で現役で活躍していますし
中古ピアノ市場でも、まだまだ高価で取り引きされています。

それ以前のピアノは、1820年頃に現代のメカニズムの原型が発明されてから
1920年代まで、技術的発達を続けていきますが、この間の生産は
以前のメカニズムとの混在の時代となっています。この辺りのピアノから、
いわゆるアンティークピアノとして展示されているものがありますね。
よって、ここでは1920年以前のピアノを「古い」と定義しましょう。

続いて、国産のピアノについてみてみましょう。
日本のピアノメーカーの歴史は、Y社が1887年創業、1900年にアップライト
第1号を生産。K社が1927年に創業、同時にピアノの販売を開始しています。
その後、高度経済成長時代に数多くのメーカーが発足し、残念ながら
バブル期までにほとんどのメーカーが廃業しています。
 

右の写真は、明治時代のY社製グランドです。
このようなY社の初期のモデルも何台か国内に
残っていますが、たいていは部品の腐食も多く、
そのままでは日常的な使用は不可能な状態です。

さすがにこの辺りは「古い」と言えるモデルですが、
これらは日本人がピアノ作りを目指していた頃の
技術的に非常に興味をそそる部分が多く徹底的に
オーバーホールをしてみると、当時の技術者の意気
込みが伝わってきそうな、貴重な名器のひとつです。


一般的な見解では、昭和30年代のモデルで、ペダルが2本のものを
「古い」とおっしゃる方が多いと思います。しかし、この時代のものは
材質的にも非常に素晴らしく、消耗品さえ交換すれば、現代の材料では
とても再現のできないタッチのピアノに生まれ変わります。
実は、私自身もこの時代のピアノをわざわざ探して所有しているのです。

昭和40年代後半、国内各メーカーは内部の材質に「木」以外の新素材を
使用しはじめます。50年代に入ると、その域は徐々に増え始め、
次第に内部のみならず、外装にも新素材が使用され始めます。

海外のメーカーが、現在でも新素材は使用しないことからもわかるように、
本来ピアノはすべて木で作らなければならないものです。
某社は、早くから新素材を多用し、現在ではグランドピアノまで
新素材で埋め尽くされています()。もちろん、この素材にも良い点は
あるのですが、私個人的にはやはり木の方が勝っていると思います。
これについては、現在木製入れ替えによる音色変化の実験済みです。)

上記を考慮すると、昭和40〜50年代のピアノが、日本のピアノにおける
材質的なピークであるといえるでしょう。この時代の物にも
新素材を使用しているものもありますが、極影響の少ない部分に
止められている場合が多く、ペダルも3本、デザイン的にも
現代のピアノとほとんど変わりありません。

では、この昭和40〜50年代のピアノはいつまで使えるか・・・
答えは、毎年の手入れと消耗品の交換さえ続けていけば、ご購入当時
小学生だったお母さんのお孫さんの代まで、つまりあと最低50年は
十分実用に耐えることができるのです。
 
当事務所では、国産船来品を問わず、どんなに古い
ピアノの修復も承っております。場合によっては、
ピアノそのものをお預かりし、解体の上修復致します。
他の楽器店様で修復不可能と言われたものでも、
お気軽にご相談ください。

我が師匠は、火事で外装が焼けてしまったピアノや、
災害で水没してしまったピアノまでも復元する技術と
ノウハウをお持ちですので、この強力なバックアップを
基に、あなたのピアノの復活にご協力させて頂きます。

ただし、フレーム(鉄骨)が折れているものに
ついては、修復不可能です。

お問い合わせ、ご用命は砂田ピアノ調律事務所まで
電話 (03)3695-4815(10時〜21時) ・ FAX (020)4668-2017
またはE-Mailにてお願い 致します。
 
 
 
 
 
                   
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