花札の植物




十二月  桐 (キリ)


花札の12月は桐(キリ)です。


20点札 桐に鳳凰
カス札 桐の花と葉 3枚 
(12月最後の札に因んで空欄を作り、登録商標・
花札製造販売会社名と上手な宣伝をしている)

12月の桐(キリ)も季節としては合致しない、これは言葉の洒落で一をピンという。
その俗語に合わせて”ピンからキリまで=終わりまで”とシャレて、1月に始まって
12月(桐・キリ)で終わるという意味。 故に12月に桐をもってきた。

”桐に鳳凰”の組合せは、中国の伝来で鳳凰は架空の瑞鳥、聖王の出現を待って
出てくるといい、このめでたい鳳凰は桐(キリ)にしか棲まないというのである。


キリはゴマノハグサ科キリ属、 幹径は時に1mにも及ぶ落葉高木である。
葉は倒心臓形の大形で、初夏には枝の先端に円錐型花序を出し、
淡紫色の花を葉に先だって多数開く (花は筒状鐘形)。 
上記写真は5月中旬 上野公園(東京芸大)で見たキリの花である。

キリの材は軽くて湿度の変化に強いので、履物や箪笥などの家具類あるいは
建具類の材料として利用される。 またキリは生長が早く20年もたてば
木材として役に立つので、女の子が生まれると嫁入り道具の
箪笥などを作る材料として植える風習もあったらしい。
キリは昔から南部桐が有名で岩手県の南部地方に広く植えられた、
故に キリの花は岩手県の”県の花”に選ばれている。



桐と言えば、花札にも見られるような桐の紋章(図案化)が浮かび上がる。
桐紋は、菊花紋と同じく鎌倉時代すでに皇室の紋章に指定されていたようだ。
ところが、天皇家は桐紋をあちこちに下賜して皇室を護衛させ、もしくは
武家のご機嫌伺いに使った。武家も家系の箔付けにと、武家羨望の紋章となった。
なかでも有名なのが豊臣秀吉の”五三の桐”の家紋だろう。
桐の紋には、葉の上に描かれた花序の花の数によって、五三、五七、五四、九七、
七五三などがあるということだが、いちばん普通にみられるのは五三と五七である。

”五七の桐”は菊と並んで今でも皇室の紋章となっているらしいが、
政府が発行・交付する賞状や辞令書にも”五七の桐”が描かれている。
これは何故だろう?・・・首相のステートメントデスクの正面にも描かれている。


とかろで、中国から由来した めでたい鳳凰が棲むという桐は 実は梧桐。
 梧桐とはアオギリの漢名で キリ(桐)とは縁の遠い樹木でアオギリ科である。
どこで、ゴマノハグサ科のキリ(桐)と間違えられたのか よくわからないが、
アオギリ(梧桐)は葉が大きくキリに似ている、花は黄色か白色でごく小さく
円すい花序になって夏に咲く。 街路樹によく見られる樹である。

街路樹のアオギリ(梧桐)  黄色は袋状の果実


これにて ”花札の植物” 12種・48枚の図絵は終了です。
誰が描いたか知らないが、植物が実に簡略化され その特長が生かされ
親しみやすい絵(図案)になっている。
日本の四季 花鳥風月が上手に取込まれ、花札は浮世絵に並ぶ芸術品です!
ただ、賭博用具として生まれ、”キッタ・ハッタ”でトランプ、麻雀並みのメクリ札
カブ札になったのが”玉に疵”・・・・・でも、刺青の図案に必ず顔を出し?
和菓子の型函に使われ、紋章・家紋の原型は花札から と言っても過言ではない。
花札48枚の植物図絵は、日本人のデザインに対するよりどころのような気がします。





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