「埃っぽい旧市街」
 広州市内の旧市街地を歩くと、壁のあちこちに「拆」の文字がペンキで書かれている。これは「取り壊し」の意味で、やがて住民が移転が始まりレンガ造りの古い住宅は更地にされる。レンガ造りとはいえ地震のない華南地方の土地柄、4〜5階建ての住宅さえある。鉄筋無しによく建ってるものだと感心する。それらを、重機を使わずにハンマーのみ、人力で取り壊すのだ。足場は鉄骨ではなく竹。命綱などはない。作業員がハンマーを打ち下ろす度、ビルは面白いように崩れていく。危険な作業のように見えるが、中国ではこれが常識のようだ。。内陸から若くて人件費の安い労働力が無尽蔵に流入する中国沿海部。危険な作業とはいえ、若い労働力に困ることはない。
 もともと住宅が密集している旧市街、取り壊しが始まると付近の住民は大変だ。一応、建築物の周囲はビニールシートで囲ってあるが、周囲の路地には頭上からレンガの破片や壁土が降って来て、危険極まりない。絶え間ない騒音と、砂埃。一帯の露天商は頭にビニールをかぶって、ひたすら工事が終わるまで耐えている。通りには再開発への協力を呼びかける、共産党支部の赤い横断幕が掲げられている。

「清平市場」
 旧租界の沙面から北方へ橋を渡ると、清平路にでる。ここは、広東料理の食材、漢方薬材料、ペット市場などが南北に連なっていて、テレビなどでもよく紹介される。広東語の喧騒に包まれながら、この通りを散歩するのは楽しい。「中国人は4つ足のものはテーブル以外なんでも食する」というが、まさにその通りで、一般的に犬・ネコはもちろん、サソリや亀、蛇、カエル、ウサギなどが、華南の市場では売り買いされている。清平市場にはサソリ売りが集まっている一角があり、サソリいっぱいの桶を前に、何人も売り子が座っている。地元の奥さんたちが割り箸で、一匹一匹サソリを選びながら、ハカリに乗せ、売り子とやり取りしている。油で揚げて食べると美味しいという。
 清平市場を更に進むとペット用の犬・ネコを並べた露天商が並んでいる。パグやチワワやビーグル犬。最初は食用かと疑ったが、近くで熱帯魚やハムスターも売ってることから、ここはペット用だと納得する。終日路上に座って小動物を売っている売り子は若者も多く、他に仕事がないのだろうかと変な心配をする。
 下町の雰囲気が濃厚な清平路一帯も再開発の対象地で、あちこちで取り壊しの槌音が鳴り響く。人間の生活臭漂う、こうした路地も次第に消えつつある。

Index    Next