曹雪芹
1724?〜1763。「紅楼夢」は自伝的要素も含むといわれる。
紅楼夢

「紅楼夢」岩波書店(岩波文庫)、十二巻
出版年・・・1972年5月〜1985年7月
価格合計・・・7590円
さてこそ林の叔母さまのところのお嬢さんにちがいないと察していたから、いそぎ進み寄って辞儀をし、たがいに挨拶を交わした。そしてもとの座にかえり、つくづくと黛玉の様子をながめるのに、ほかの人々とは一種ちがった風情がある。(中略)宝玉はつくづくと見てから、笑って言った。「このお嬢さんなら、ぼくはお会いしたことがありますよ。(中略)いいえ、それは会ったことはないでしょうけれど、なんだかぼく、お顔に見覚えがあるような気がするんです。(第三回。一巻、95ページ)
この『紅楼夢』、日本では意外と知名度が低いけれど、中国文学史上最高の傑作といわれている。世界史の教科書にも載っているはず。
私が中学生の時には中国文学をいろいろ読んだが、『三国演義』『水滸伝』『封神演義』『平妖伝』などの荒っぽいものばかりであった(いや、それがいけないと言ってるのではない)。『紅楼夢』は一風趣が違って、大貴族の庭園(大観園)を舞台とした艶やかな物語である。とは言っても、『金瓶梅』のドロドロした淫蕩で暗黒の世界とも違って、清明な世界観を持つ。
この作品を一言で言えば、「夢と現実が交錯する、儚くも不思議なロマンス」といったところ。大長編なので読了はなかなか大変だけれど、まぎれもない傑作だった。
曹雪芹の筆になるのは80回までで、それ以降の40回は高蘭墅による作と言われるが、異説も多い。
なお岩波文庫版には、80回の終わる八巻において、曹雪芹のそれ以降の作品の構想について述べてあるが、それによると高蘭墅(あるいは他の人物か)による81回以降には曹雪芹の構想が果たされていない部分も多いらしい(別の人なんだから当然か・・・)。
岩波文庫版は現在絶版である。現在手に入るこの小説の完訳は平凡社の中国古典文学大系にあったように思う。