劉鶚



1857〜1909。清末の文士・政客。近代西洋的思想を持つ開明的知識人であったが、不遇のうちに生涯を閉じる。
老残遊記
「老残遊記」平凡社(東洋文庫)、一巻
出版年・・・1965年9月
価格・・・2300円

いや、私の考えでは、才なきものが官に就こうとするのはさほどのことはありません。いかんのは才あるものが官に就こうとすることです。(第六回。87ページ)
 清末の四大譴責小説の一つで、そのうちの最高傑作とされる。全二十回で分量は比較的少ない。

 作者の分身である老残という人物が旅先で見聞したことを語る。世情描写はやや誇張気味ではあるが(特に官吏を描くときは。民間の人々についてはうまく書けている)、文体は明晰で読みやすい。
 魯迅や訳者の岡崎先生も指摘していることだが、特徴的なのは清廉な官僚の悪を強調している点だ。曰く、頑迷固陋な清官は、自分の為すことを正義と信じているから、自重することを知らないと。そう言えば、『薔薇の名前』のウィリアムも純粋さが持つ性急さの危険を指摘していた。ふむ、どこかの大統領にも聞かせてやりたいものだ。


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