徒然

更新履歴を兼ねた日記です。つれづれなるままに硯に、いえキーボードに向かって書き連ねています。


2006/3/31:15世紀以前の作家・書評ページでヘシオドスを紹介、『神統記』レヴュー2005年度のベスト10を選出

○久々の大古典。手抜きレヴューだがご容赦を(書くことないんだよう)。

○で、3月終わりなのでベスト10を挙げてみる。5位〜10位あたりはかなり悩んだけれど無理矢理ランク付け。シュルツとムロージェックも挙げたいところだったけれど、短篇集ということで外した。今年度は量こそ読めなかったものの、ベスト10だけを見ると昨年に劣らぬ内容だった……ような気がする。一昨年のには、さすがに負けてるかな。
 さあ、4月からまた頑張ろう。

○その4月新刊を見てみると、なかなかのラインナップ。とりあえずホフマンとカフカは読む。ル=グウィンの名作ファンタジー『ゲド戦記』は廉価版が出るようなので要チェック。あとナイポールも出れば読むつもり(今度こそ――と期待したい)。早川から出るカズオ・イシグロの新作も気になる。早稲田出版から出る予定だった古龍は五月延期らしい。これは残念。

2006/3/30:ゾラ『生きる歓び』レヴュー

○早速読んだ『生きる歓び』は秀作。幼少時代のポリーヌが登場した『パリの胃袋』ほどのスケールと物語性はないものの、性格造型の点ではこちらに軍配か。叢書はこれで11冊読了。次はどれを読もうかな。

 それとヘシオドス『神統記』も読了。明日あたりにレヴューを書くかも。……しかし書くことがない気もするな。

2006/3/28:パムク『雪』レヴュー

○まさに現代に相応しい政治小説。しかも「小説」としてだけ見ても充分に面白い。
 ただし、カバーデザインが綺麗なのはいいけど、本の中に誤植が多いのは気になった。カギカッコがあるべき場所になかったり。加えて訳文もちょっと硬い印象が……。

 さて次はゾラかな。それとも簡単に読了できそうなヘシオドスを先にするか。

○集英社文庫版プルースト『失われた時を求めて』、続刊は五月の模様。すると隔月刊で七部構成だから完結はちょうど一年後か。出る度ごとに読み進めていけば挫折せずに最後まで行ける……かなあ?
 あと国書刊行会が珍しく予定通りに刊行しているウッドハウス・コレクションの続刊『ウースター家の掟』が出ていた。ウッドハウス・コレクションも気になっていたシリーズの一つだけど、この『ウースター家の掟』の帯に書いてあった「バーティーついに刑務所入りか? 極北的理不尽美少女の無理難題を前に、またまたスープに浸かり続けるご主人様。ありとあらゆる難問を解決し続ける天才執事ジーヴス、今回のお手並みはいかに」というあらすじを見た瞬間に買おうと心に決めた(まだ買ってないけど)。この「極北的理不尽美少女」という言葉につい反応してしまったあたり、そろそろ僕も完全にオタクの仲間入りだね(何を今更)。

スタニスワフ・レム死去
 巨星堕つ。まずは合掌(それにしても一昨年あたりから巨星が堕ちすぎじゃないか? 思い出せるだけでも、サガン、巴金、ファウルズ……)。
 しかし、レム・コレクションの完結はついに間に合わなかったか……国書め。かくなる上は霊前に捧げるつもりでいい仕事をしてもらいたいもの。いや、要するに早く『フィアスコ』が読みたいだけだけれども。

2006/3/23:現代の作家・書評ページでカリンティ・フェレンツを紹介、『エペペ』レヴュー

○新しい作家を紹介するのは一月ぶり。「できるだけ多くの作家を読む」ことを目標にしている以上、もっと積極的に色んな作家に取り組んでおきたいところだけれど、既読作家にも気になる作品が多くて。
 『エペペ』はもっと奇天烈な作品かと思っていたら、結構リアルな都市描写で読ませてくれた。リアルだからこそのディストピアといえるかもしれない。

○ジュンク堂にてゾラ『生きる歓び』、パムク『雪』、カズオ・イシグロ『わたしたちが孤児だったころ』を購入。合計7940円+税。うっかりしてヘシオドス『神統記』を買い忘れてしまった。明日はこれを買いに行こう。姜敬愛『人間問題』は(持ち合わせが足りないからどのみち今月中に買う気はなかったけど)店頭には見当たらなかった。まだ出てないのだろうか。

 それと、本屋を見てきて気になった情報だが――。
 論創社の「ルーゴン・マッカール叢書」は今後『プラッサンの征服』『ルーゴン閣下』『ナナ』『ジェルミナール』と続くようだ。叢書の全作品を邦訳で読めるようになる日はすぐそこ。いい時代になったもんだ。願わくは1000円安い値段で出して欲しい。
 白水uブックスのカフカ・コレクションは全8巻の構成になるらしい。今後は『失踪者』『審判』『城』『断食芸人』『流刑地にて』『万里の長城』『掟の問題』と一月一冊のペースで続く模様。『変身』は新潮文庫版を持っているから買わないが、続刊は全て購入する予定。
 集英社版プルーストの続刊は――確認してくるの忘れた。
 ハヤカワ文庫SFの新刊、スティーヴンスン『ダイヤモンド・エイジ』は良さげ。ただ二巻構成でちと高い。
 もう一つ気になったのが松柏社という出版社から出ていた「アメリカ古典大衆文学コレクション」。アルジャー『ぼろ着のディック』、アーサー『酒場での十夜』という二作品が刊行されていた。『酒場での十夜』は面白そうだ。カバーデザインもいい。

 さて、これからどうしよう。ゾラを読むか、パムクを読むか、前に買ったサンドを読むか……。

2006/3/21:莫言『四十一炮』レヴュー

○サイト開設三周年。皆様の変わらぬご愛顧に感謝を。

○さて莫言の新作は現代もの。『豊乳肥臀』『白檀の刑』などに比べると壮絶な物語性という面では物足りないものがあるものの、驚天動地の語り口はまさに滑稽の極。これはこれで面白い作品ではある。関連書籍に挙げたゾラ『パリの胃袋』、こちらには法螺話や幻想色はないが、やはり食べ物に関する描写が質量とも飛びぬけた作品で、併読を勧めたい。

 莫言の未訳長篇には『天堂ニンニクの芽騒動』『十三歩』『紅樹林(マングローブの森)』そして最新作『生死疲労』がある。

2006/3/20:読書雑記「これから読みたい百冊」一年目の成果、反省及び今後の予定をアップ。

○新たな15冊に加えなかった作品でも、モーパッサン『死の如く強し』とかユルスナール『ハドリアヌス帝の回想』とかヴィトカツィ『非充足』とかムロージェック『鰐の涙』とかヴァーゾフ『軛の下』とかルスタヴェリ『豹皮の騎士』とかマイリンク『ゴーレム』とかゼーバルト『アウステルリッツ』とかクルーン『ペレート・ムンドゥス』とかサラマーゴ『白の闇』とかバリッコ『シティ』とか格非『人面桃花』とか張平『十面埋伏』とか大江健三郎『万延元年のフットボール』とか……(名前を挙げるだけで疲れるなあ)読みたい本は沢山ありすぎて本当にキリがないです。巨大な山としてプルーストとムージルもいるし。

○ついでに壁紙変更。明日でページ開設から3年目ですから、ちょっと気分転換を。ちなみに明日は、読み終われれば莫言『四十一炮』をレヴューする予定。

2006/3/18:エーコ『前日島』レヴュー

○ぜぇぜぇはぁはぁ。お、終わった……。いや〜難物だったなあ。久しく使ってない頭にはきつい代物だ。まあ確かに、面白いことは面白いんだけれども。
 とはいえ、作者の本領が発揮されているのは『薔薇の名前』よりこっちかもしれない。

 さてエーコはこの『前日島』のあとも『バウドリーノ』など小説二作品を上梓しているが、翻訳はまだなのだろうか。『バウドリーノ』の原書は2000年に出ているから、もういい加減翻訳が出ていておかしくないころのはずだけれど。なんとか今年中に……と希望。

2006/3/15:今日の更新はありません。

○いかんいかん、莫言とパムクに気を取られて油断していた。ゾラ『生きる歓び』も今月刊行されていたとは(論創社。3800円)、高いがこれは買っとかないと。それと白水社はカフカ『変身』をuブックス化。今後も「カフカ・コレクション」として『失踪者』などがuブックス化されるらしい。いっそ「カフカ全集」全部をuブックスにしてくれんかなあ……。

2006/3/14:金庸『天龍八部』レヴュー

○見ろ、八巻があっという間だ!
 しかし本当に速く読めるなあ、金庸。思い返してみれば、2000ページの金庸『笑傲江湖』と、700ページの莫言『白檀の刑』と、250ページの残雪『黄泥街』、それぞれ読むのにかかった日にちはほぼ同じくらいだった。読むのに必要な時間は、厚さでは計れないという証明。
 ともかく、何でもいいから面白いものが読みたいという人にはピッタリと言える作家。最初に読むなら『射G英雄伝』かな。ただしもし買うとなれば、文庫化が進んでいない現在(『射G』は文庫になってるけど)、相当な支出を強いられるのでそこはお覚悟を。まあ、たいてい図書館にあるから、借りてすませられないことはない。ちなみに私は古本屋で購入。

2006/3/11:カルヴィーノ『木のぼり男爵』レヴュー

○お久しぶりでございます。研究室の旅行や中国語発音講座(デタラメだった中国語の発音、多少はマシになったはず)、まるで本を読めてませんでした。
 といっても、フローベールの『サランボオ』やこの『木のぼり男爵』を少しずつ読んだりはしていたんですが、どうも集中できなかったもので。一週間かけてようやく300ページの『木のぼり男爵』を読了したというわけです。

 疲れているのでフローベールは一時休止して、次は読むのが楽な金庸を読みます。『天竜八部』。分量からすれば『サランボオ』の五倍くらいありますが、たぶんこっちのほうが早く読めるのではないかと……(苦笑)。

○読めなくても買うものは買うので。莫言『四十一炮』上下巻、早速買ってきました。原書と読み比べてみるのもいいかも。そのほか、村上春樹翻訳ライブラリーの続刊であるカーヴァー『頼むから静かにしてくれ U』、つい文庫化につられてダン・ブラウン『ダ・ヴィンチ・コード』三巻、エルリック・サーガの第一巻『メル二ボネの皇子』を買ってしまいました。これだけで八千円は飛んでいってます。

来月の文庫発売一覧
 目玉はなんといってもちくま文庫のホフマン『悪魔の霊酒』! この作家のものの中でも特に入手しにくかった(と思う)作品が文庫化するのは非常に嬉しいことです。

2006/3/3:シャーロット・ブロンテ『ヴィレット』レヴュー

○なるほど『ジェーン・エア』と並ぶシャーロット作品の双璧というに相応しい、なかなかの良作と言えますな。ただその割に、一般には極めて無名な上、入手可能な翻訳も高価な全集版しかないとは……。私は古本屋で半額で買いましたが、それでも高い。最近では『シャーロット・ブロンテ150年後の『ヴィレット』』という解説書なども出たようですが、その前になんとか早く文庫化すべきではなかったかと。

○草思社のウェブサイトの近刊予告、ナイポール・コレクションの続刊が四月刊行と延期されたようです。かなり前から止まっているこのコレクションですが、四月こそ出ると良いなあ(翻訳するに厄介な作家ではあるんでしょうけど)。

○27日には書き忘れてましたが、26日にはサークルのほうで「文学フリマ in なごや」というイベントに参加してきました。採算はともかく面白いイベントでしたし、来年も参加――するかはともかく、会場に足を運ぶくらいはしたいですな。

○そして28日にはとうとう21歳になってしまいましたとさ。

2006/2/27:ナイポール『神秘な指圧師』レヴュー

○ずっと読書予定に入れていたこの作品ですが、来月にコレクションの続刊『自由の国で』が発刊されることもあって、ようやく読んでみた次第です。
 にしてもこの本、カリブとインドが混じり合った怪しくも派手派手なカバーデザインが何とも言えず素敵です。素敵ですが、コレクションの第二巻『中心の発見』のクールなデザインとの落差はいったい……。こうなると第三巻『自由の国で』の装丁がどのようなものになるか非常に気になるところですな。

2006/2/25:今日の更新はありません。

○バラード『結晶世界』を読み始めてみた……が、どうも集中して読めない。活字の小さな文庫本を読むのが久しぶりだからだろうか(でもそれを言うなら『飛竜全伝』のほうが詰まっていた気も)。

○それはさておき来月の新刊のハードカバーが凄い。
 藤原書店からはパムク『雪』が刊行されるし、中央公論社からは莫言の新作『四十一炮』が出るらしい(実は原書を買ったばかりなんだけど。ちなみに莫言は今年一月に最新長篇『生死疲労』を出している)。それと草思社ではナイポール・コレクションの久々の新刊『自由の国で』(ブッカー賞受賞作)が予定されている。ナイポール、パムク、莫言という並びは圧巻だなあ。さらに平凡社からは朝鮮近代文学選集の第二巻、姜敬愛『人間問題』が出る(女流作家によるプロレタリア文学らしい)。この選集の第一巻・李光洙『無情』が意外と面白かったこともあるし、期待大だ。この四作は必ず買いたい。

2006/2/24:ゾラ『壊滅』レヴュー

○感想の中にもさんざん書いたけれど、繰り返しておこう。最高傑作。感動した。凄すぎ。戦後初の完訳ということで、本当に待たれた翻訳だったわけだけれど、読み終わってみれば今までちゃんと翻訳されてこなかったことのほうが信じられない。本当ならとっくに訳が出て、文庫化されて、何十回も重版していていいはずなのに(『ジェルミナール』もだけど……こっちは文庫版が出ただけマシか)。
 さて「ルーゴン=マッカール叢書」、これまでに13巻・1巻・3巻・14巻・2巻・15巻・5巻・16巻・17巻と読んできて、今回19巻を読んだから、これで半分読了ということになる。せっかくここまで読んできたからには、シリーズ完読を目指してみよう。残るは4巻『プラッサンの征服』、6巻『ルーゴン閣下』、7巻『居酒屋』、8巻『愛の一ページ』、9巻『ナナ』、10巻『ごった煮』、11巻『ボヌール・デ・ダーム百貨店』、12巻『生きる歓び』、18巻『金』、20巻『パスカル博士』。うち7と9は新潮文庫に入っているし、8、11、18は藤原書店のセレクションに、10・11・20は論創社から刊行されているので今すぐでも買って読める。また4・6・12も論創社の刊行予定に入っているから、近々読めるようになるはず。それにしてもこうして並べてみると、第6巻から第12巻まで、叢書の真中が見事にごっそり抜けているわけか。ちょっと偏った読書をしてしまったかな?

○ジョルジュ・サンドセレクションの新刊『黒い町』を購入。藤原書店のサンドの選集は、次は『ジャンヌ』を刊行予定らしい。バルザックやドストエフスキーも賛辞を浴びせた農民小説の傑作だとか。セレクションの目玉である大作『コンシュエロ』は最後にまわされる模様(これに一番期待しているのだけど)。
 あと、気付かぬ間にアゴタ・クリストフの自伝『文盲』が白水社から刊行されていた。ページ数も少なく活字もスカスカで分量はごく少ない模様だけれど、作品の濃さがどれほどかは分からない。単行本としては価格は安めの1400円。買うべきかなあ。
 もうひとつ本屋で見かけて気になったのがエリザベス・コストヴァ『ヒストリアン』(NHK出版)。「16歳の少女が、父の書斎で一冊の古書を見つけた。それは、娘が生まれる前に父の運命を決定づけた本だった。そして、それはまもなく少女の人生にも影響を及ぼしはじめた。死して語らぬ歴史上の人物の真実の姿を知るために、歴史家たちはときに命を賭けてまで謎の解明にあたる。しかし、この世にいないはずの人物に出遭ったとき、歴史家たちは何を見るのか?」ということで、これは面白そうだな。

2006/2/21:現代の作家・書評ページでシオドア・スタージョンを紹介、『夢みる宝石』レヴュー

○うちのサイトで紹介した作家はこれで二百人目。――が、気になる作家の数はサイトを始めたころから減るどころか、むしろ倍以上に増えてます。いやはや、文学ってやつは本当に切りがない。

○ゾラの大作『壊滅』を読み始めました。この小説の中のフランス軍、なんだか壊滅に向かっているというより、はなから壊滅してます。ここからさらにどん底へ――と物語に期待が持てますな。しかし読み終わるのにどれだけ時間がかかることやら。

2006/2/20:エリクソン『Xのアーチ』レヴュー

○二月に入ってから十冊以上本を買っているわけですが、ようやく一冊消化といった有様だったりします。この上さらに岩波の復刊と藤原書店のジョルジュ・サンドを買うつもりなのに。あ、そう言えばまだ新訳版『パンタグリュエル』を買ってないや……。

2006/2/15:バルザック『ラブイユーズ』レヴュー

○久しぶりバルザック。やはり世界で最も偉大な作家の一人だ(「一人」なんて言わずに、はっきり「世界で最も偉大な作家」と言ってしまってもいいかもしれない。対抗馬はドストエフスキーだけど、質はともかく量ではバルザックの圧勝だし)。
 最初に『ゴリオ爺さん』を読んだときはシリアスな面にばかり目がいったけれど、今回なんかは意外とユーモラスな場面も目立った感じ。文学には軽さも大切、重苦しいばかりでないところがまた素晴らしいなあ。
 四作読んで冗長な描写を読み飛ばすコツも分かってきたし(笑)、また別の作品も読んでみよう。まずは続けて藤原書店の選集から『あら皮』あたりかな。一番気になるのは『幻滅』なのだけれど、ハードカバー二巻は財布に重い。それだけの価値があるのは確実なんだろうけどさ。

2006/2/13:ラファティ『つぎの岩につづく』レヴュー

○言うまでも無く、ラファティは既に当サイトの推奨作家リストに入っている。いや、推奨作家リストというコンテンツを掲載してあるわけじゃなくて、私の脳内でってことだけど(紹介した作家も増えてきたことだし、そろそろそういうコンテンツを作っておいたほうが閲覧者さんには分かりやすいかなあ)。
 さらに評価が高いらしい第一短編集『九百人のお祖母さん』はすでに入手したので、そのうち読む。と言っても、あとの楽しみに取っておきたい気もして、いつ読み始めようか悩んでいるところ。最近はサンリオSF文庫版『悪魔は死んだ』『イースターワインに到着』に手を出してしまいそうな自分が恐い。特に『悪魔は死んだ』は、オンライン古書店などを見ると全く手の届かない価格でもないので、ひょっとすると買ってしまうかも。

2006/2/12:中国古典通俗文学ページで『飛竜全伝』を紹介

○お久しぶり。レポートやアルバイトのせいで読むのに思ったより時間がかかってしまった。総じて面白かったとは思う。
 読書日記はつけている余裕がないので、今後はこうした形で中国小説を紹介していこうと思う。次は『梼杌閑評』? それとも『林蘭香』?

○そして『飛竜全伝』に時間をかけている間にたまっていく積読本。春休みの間にがんがん消化していきたい。とりあえずラファティ『つぎの岩につづく』は読了(明日感想を書く予定)したところ。今後はバルザック、ゾラ、シャーロット・ブロンテ、エーコ、エリクソンなどを読む予定。未読作家ではSFの積読が多いので、たまにはそちらで息を抜きつつ。

3月の文庫発売一覧
 目玉はなんといっても集英社版『失われた時を求めて』だろうなあ。私は筑摩版一巻で挫折して久しいけれど、集英社版なら読みきれるだろうか。岩波はプーシキンの傑作歴史小説『大尉の娘』。今月はゴーゴリだし、トルストイの刊行も続くということで、ちょっとロシア文学ラッシュの様相。この調子でドストエフスキー『未成年』とゴンチャロフ『断崖』を……無理かなあ。
 他に古典では講談社文芸文庫のリーベラーリス『メタモルフォーシス ギリシア変身物語集』、現代文学ではハヤカワ文庫epiのカズオ・イシグロ『わたしたちが孤児だったころ』が気になる。それとあの『ダ・ヴィンチ・コード』も文庫なら読んでみようかという気はする。まだハードカバーも売れてるだろうに、さくっと文庫化するあたりは角川は偉い(ついでに『グノーシスの薔薇』も文庫化してくれると嬉しい)。新潮社(『百年の孤独』)や東京創元社(『薔薇の名前』)は見習うべきだね。

2006/2/2:今日の更新はありません。

○今日も今日とて近刊情報。全部読めたためしがない。
 岩波の新刊はトルストイとゴーゴリ。復刊は書名を挙げればキリがないほど凄いラインナップ。とても全部買えそうにないけれど、ゴーゴリとレッシングは最低でも読んでおきたい。あとくどいようだが、未読の人は必ずゾラ『ジェルミナール』を読むように。これを読まないなら小説など全然読まなくていい、といえる作品のひとつだと思う。
 次に筑摩は、一年ぶりのラブレーの続刊と、『水滸伝』の完結。折角だから『三国志演義』『水滸伝』に続いて何か中国小説を出して欲しいところ。『儒林外史』とか『鏡花縁』とか。
 早川のスタージョン『夢見る宝石』は名高きSF中篇。期待。平凡社ライブラリーでは『ナルニア国物語』のC・S・ルイスの作品が出るのでこれもチェック。
 ハードカバーでは、1月は結局出なかった藤原書店のサンド『黒い町』、今月こそ刊行して欲しい。国書刊行会では「未来の文学」シリーズ第二期の刊行がスタート。

 来月以降の刊行物では、岩波文庫の3月復刊でヘシオドス『神統記』が出るのでギリシア神話・文学に興味がある人は要チェック。それと早川書房の3月新刊ではカズオ・イシグロ『わたしたちが孤児だったころ』の文庫版が出る。また噂に聞くダークファンタジーの傑作「エルリック・サーガ」も復刊するらしいので、興味ある方はどうぞ。パムクと古竜の新訳のことは1月30日分の日記に書いたのでここでは繰り返さない。
 最後に、国書の今年の刊行予定が相変らず凄まじい。まず楽しみなのは2005年中ずっと放置されていた文学の冒険シリーズ久々の新刊、コーエン『寵姫』。それからエミール・ガボリオ『ルルージュ事件』は古典ミステリの歴史的名作ということで、こちらも面白そう。それと短編小説集のシリーズを新たに始めるとかで、中にはカルヴィーノの名前も。あとはアラスター・グレイ『ラナーク』。「80年代イギリス文学を代表する傑作として名高い、スコットランド作家アラスター・グレイの処女長篇。「ポストモダン的・百科全書的奇想小説」で「ダンテ+ブレイク+ジョイス+カフカ+キャロル+ベケット+α」な本格的世界文学。」ということで、何でもくっつけりゃいいってもんじゃないだろうとも思うけど、まあものは試しで、刊行されたら読んでみたい。

2006/1/30:今日の更新はありません。

○今日は気になる近刊情報。
 藤原書店からオルハン・パムクの『雪』が3月に翻訳出版されるらしいです。今日大学の生協へ行ったら、『わたしの名は紅』が入荷していたので、何故今ごろ? と思いつつ手にとって見ると、刊行予告のパンフレットが挟んでありました。『わたしの名は紅』は歴史小説でしたが、『雪』は現代が舞台になるようです。藤原書店、相変らずいい仕事をしてくれるなあ。
 それと古竜の陸小鳳伝奇シリーズ『金鵬王朝』『繍花大盗』の二作品が早稲田出版という出版社から4月刊行予定とのこと。武侠ファンはお見逃しなく。

2006/1/29:19世紀の作家・書評ページでニコライ・ゴーゴリを紹介、『結婚』レヴュー

○来月、岩波文庫でゴーゴリの作品がたくさん出ます。新訳で『外套・鼻』、復刊で『ディカーニカ近郷夜話』『死せる魂』。これらを読む前に一度ゴーゴリに触っておこうと思い、手軽そうなこれに手を出してみました。

○イーガン『順列都市』、復刊したはずなのにどの書店にも置いてない……。早川書房のウェブサイトとかからは購入できるようになってるんですけどね。今日は栄のラシックの旭屋書店に行ってみたけれど見つからず(余談ながら、ラシックから出るときにいつも方角が分からなくなるのは私だけですか?)。オンライン書店で買うしかないかなあ。
 早川といえば、最近新装版が刊行されている異色作家短篇集も気になります。

2006/1/28:20世紀の作家・書評ページで李光洙を紹介、『無情』レヴュー

○これもなかなか。物語の運び方も語り口もうまい。価格はやや高いけれど、本としてのデザインも悪くないし、この「朝鮮近代文学選集」の続刊に期待したい。頑張れ平凡社。

○『双鳳奇縁』、文章は平易だけれどちっとも面白くないので中断。昨年は短くて読みやすいものを中心に中国書を読んだけれど、今年はもう少しグレードアップしたいし、こんな作品に付き合っている場合ではなさそう。変にマイナーな作品に手を出したがったりしないで、有名どころを読破していったほうが良さそうだ。
 とりあえず『飛竜全伝』を読み始めてみた。これは宋の太祖・趙匡胤の青年時代から皇帝即位までの話。といっても真面目な歴史小説じゃない。『三国演義』よりはむしろ『水滸伝』に近い。ほとんど武侠小説といってもいいくらい。まだ40ページくらいしか読んでいないけれど、趙匡胤の大暴れっぷりはなかなか苦笑もの。一言で言えば、劉備のポストに張飛がついている感じ。ひたすら優等生な岳飛よりは面白いけど。

 今後の読書目標だが、『梼杌閑評』『林蘭香』『緑野仙踪』『雪月梅』『野叟曝言』あたりに挑戦してみたいと思っている。卒論では児女英雄小説を扱おうと思っているので、『雪月梅』は少なくとも必読かな(美少女剣士が倭寇を相手に大殺陣を演じるくだりがあるとか)。

2006/1/21:ラファティ『地球礁』レヴュー

○「独特」って言葉は便利極まりないけど、それだけでは相手に、紹介しているものがどういうものか伝わらないという欠点がある。というわけでまずは騙されたと思って『宇宙舟歌』を読んでみて欲しい。この作家が本物だというのがわかるから。
 ラファティの作品では、次は短編集『つぎの岩につづく』を読むつもり。長篇二作から入ったけれど、短編の評価はさらに高いらしいので楽しみ。

○せっかくの連休(受験生諸君ごめんよ)なので片付けなければならないレポートを片付けてしまいたいところなのだけれど、例によってだらけていたり。昼ごろ起きて相撲見て、本を読んで、ゲームやってネットやって日付が変わってから寝る、と。こんな調子だと、2月頭には火の車になって……いや、それにしても今場所の大相撲は見ごたえある取り組みが多いね、とか現実逃避。

○あとキリ番リクエストを削除。そんなことやってる場合じゃないってのが第一。利用されてないってのが第二(条件付けが多すぎたせいだろうかな)。……遅ればせながら、20000ヒットありがとうございます。

2006/1/20:今日の更新はありません。

○ローデンバック『死の都ブリュージュ』読んだんだけど、どうもねえ。感傷的すぎるきらいがあって好きになれん。短編集『霧の紡ぎ車』も一篇だけ読んだんだけど、同じ印象。とりあえず『ローデンバック集成』を読むのはここで打ちやめ。
 かわってラファティ『地球礁』を読み始める。ラファティ先生相変らずの天才っぷり。もっと翻訳紹介が行われてほしいなあ。

○名大文芸サークルにも所属している友人Kから面白そうな本を紹介してもらったので、忘れないうちにメモしておこう。
 まずはエイモス・チュツオーラ『やし酒飲み』(晶文社)。ナイジェリアの作家のマジック・リアリズム小説で、酒を飲むしか能がない男が死んだ酒造りを探して死者の町へ旅する、という話らしい。もうひとつはピエール・ギュヨタというフランス作家のもの。タイトルは聞き損ねたけど、どのみち和訳は『五十万人の兵士の墓』と『エデン・エデン・エデン』の二作しかない(どちらも入手困難だが)。戦場での体験をもとに書かれた、ストーリーもなにもなしでひたすら男や女やどちらでもないものどもがまぐわる描写を続けたヌーボー・ロマンで、クロード・シモンが激賞したとか。まあこちらはおそらく私好みではないだろうから、メモはしておきつつ多分読まない。『やし酒飲み』のほうはぜひ読んでみたい。

2006/1/18:20世紀の作家・書評ページでハンス・ハインツ・エーヴェルスを紹介、『アルラウネ』レヴュー

○久しぶりドイツ文学。この作品は怪奇趣味たっぷりで結構私好みだ。さてエーヴェルスと同じく20世紀前半のドイツ怪奇幻想作家といえばグスタフ・マイリンク。こちらも機会があれば手にとってみたい。
 うちのサイトは、英仏中露の文学に比べるとドイツ文学で扱っている作家・作品の数が少ない。グリンメルスハウゼンからホフマン、クライスト、ジャン・パウル、フォンターネ、上に挙げたマイリンク、現代作家ではグラスやゼーバルトなど気になる作家も多いことだし、少しずつでも渉猟していきたいところ。特にホフマンは、幻想文学好きとして見逃しておいていいはずはないし。

○李光洙『無情』、ローデンバック『死の都ブリュージュ』を併読開始。それとゾラ『壊滅』をようやく買った。この本は重くて持ち歩けないから、春休みのお楽しみとしておこう。

2006/1/16:20世紀の作家・書評ページでポール・クローデルを紹介、『繻子の靴』レヴュー

○……さすが現代劇。さすが現代文学。さすが20世紀フランス最大の劇作家といわれるだけのことはある。この大作を味わい尽くすには読者たる私の能力が不足か。戯曲だとついつい速読してしまうので、それも問題だったかも。

2006/1/14:ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』レヴュー

○まさに一大傑作。この創造力は、19世紀にロシア文学を一躍世界最高峰に押し上げたあの作家たちにも決してひけはとらないはず。それにしても、ロシアの幻想文学って意外と注目されない割に、プーシキン、ザミャーチン、ブルガーコフ、アナトーリイ・キム、ペレーヴィンと……凄ェのが揃ってるよなぁ。
 とか書いていたら、アナトーリイ・キムの『リス』を再読したくなってきた。いつか読み返そう。

○クローデルの戯曲『繻子の靴』とエーヴェルスの幻想小説『アルラウネ』を併読中。『繻子の靴』は久しぶりの岩波文庫。――久しぶりどころか、この日記を見直してみると去年の三月にモーパッサンの『モントリオル』を読んで以来岩波文庫を読んでいなかったことに気付いて一驚。デフォーの『モル・フランダーズ』とかモーム『月と六ペンス』とかフォンターネ『迷路』とか積みっ放し。来月の復刊の前に少しでも消化しなきゃ。

○最近の購入物。例の村上春樹翻訳ライブラリーの初回配本カーヴァー『頼むから静かにしてくれ T』と、ちくま文庫の新刊『ノヴァーリス作品集1』、ウエルベック『素粒子』、新刊ではないけれど買いそびれていた『ローデンバック集成』。大学生協で文庫新書15%オフのフェアをやっていたのでこれだけまとめ買い。いずれも世評高い作家なので楽しみ。しかしちくま文庫三冊も買うとやはり財布への負担は重いね(苦笑)。

2006/1/11:現代の作家・書評ページで黄皙暎を紹介、『客人』レヴュー

○現代韓国の作家では、李文烈とこの黄皙暎が二大巨頭といった感じなのでしょうかね。この『客人』もかなり印象的な傑作なのですが、『皇帝のために』の愉快なユーモアと深い哀感に比べると、作者の意図がいくらか露骨な触感がして、感動という点では若干落ちる気がしました。次に読む韓国文学は李光洙『無情』を予定。こちらは、中国文学で例えれば魯迅『狂人日記』のような、韓国近代文学の記念碑的な作品だそうで。
 今は東欧文学多読計画の目玉、ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』を読書中。……まだ途中なので多くは言えませんが……これは本物ですぞ……!

 ……で、これとクローデル『繻子の靴』とエーヴェルス『アルラウネ』と李光洙『無情』を読み終えたら、中国小説の『双鳳奇縁』『蘭花夢』にかかるつもり。

2006/1/8:今日の更新はありません。

○元日以来いきなり更新が止まってしまいました。てへっ★ミ

 ……えー、この一週間は『玉嬌梨』を読んでおりました。中国語とはいえ、たかが170ページの作品なのに、ちょっと時間をかけすぎた感じです。
 『玉嬌梨』はいわゆる才子佳人小説で、『平山冷燕』とともにこのジャンルの開山の作と言われております(もっとも才子佳人を扱った詩や戯曲は前からあったわけですが、章回小説としては初めてのもの)。フランス語訳、ドイツ語訳、英語訳あり。
 話の内容は、才子・蘇友白が白玄の娘・白紅玉の声望を聞き、彼女に求婚しようとするものの、他人の邪魔やら勘違いやら、色々あってなかなか上手くいかず、しかし最後には結ばれるというもの。文章も筋書きの面白さも同じジャンルの『好逑伝』には及ばないように思いますが、当時の社会風俗、特に文化人の婿選びのあれこれがいろいろと分かります。例えばこんな場面。楊御史という人物が白紅玉を息子・楊芳にと申し出てきて、白公と友人の呉翰林が彼の品定めをするという所です。

 楊芳は知識をひけらかそうとして答えて言った。
「なるほど立派な筆致ですな。この『軒』の字はさほどのことはありませんが、こちらの『弗』『告』の字の筆致は神域に入っております」
 ところが彼はこの『告』の字を普通の発音で読んだ、『弗』『告』の二文字が『詩経』の『弗暖(本当はごんべん。表記できないので当て字)』『弗告』の義から取っており、『告』の字は『谷』の字と同じ音で読むべきなのを知らなかったのだ。呉翰林は聞いてはっきりと悟り、そこで適当に応じて、
「そのとおりですな」
 といった。まさに『口をつぐめば竜と蛇は分け難く、ただ一声にて醜態が尽く現れる』といったところである。


 ……どう考えても私はフラレ役です。本当にありがとうございました(とかバカなことを書いてる暇があったら『詩経』でも読めってところですか)。

○さてと。
 ここのところ妙に元気な気がする海外文学の出版。この冬も気になる本がいろいろあります。まずはハーラン・ムリシュ『天国の発見』上下巻(バジリコ)。それからテス・ウリザ・ホルス『象がおどるとき』上下巻(太田出版)。前者はオランダの大家による長篇。後者はフィリピン系アメリカ人作家の作品で、やはり『百年の孤独』の系列にかかるもののようです。
 あとは李喬『寒夜』(国書刊行会)。例の「新しい台湾の文学」シリーズの新刊です。しかし3500円はちょっと高いな……。同じシリーズの白先勇『孽子』も近刊予定となっているのでこちらも期待ですな。
 文庫・新書では、村上春樹翻訳ライブラリーの発刊(中央公論新社)が注目。翻訳家としての春樹の一大事業『レイモンド・カーヴァー全集』が全部新書版になるというのはありがたい限りで。次回配本は3月とのこと。
 来月刊行するもののなかで一番楽しみなのはスタージョン『夢見る宝石』(ハヤカワ文庫SF)。スタージョンの名はしばしば聞くので何か読んでみようと思っていたところ、この復刊はナイスタイミングでした。岩波文庫のリクエスト復刊も気になるものが多いけれど、ひとつ挙げるとすればゴーゴリ『ディカーニカ近郷夜話』かな。

2006/1/1:現代の作家・書評ページでスワヴォーミル・ムロージェックを紹介、『象』レヴュー

○あけましておめでとうございます。今年も面白いもの、面白そうなものを見つけたら紹介していきますので、「居眠書生の書庫」をどうぞごひいきに。

○早速ですが「面白いもの」を見つけましたのでご報告まで。ムロージェックの作風はちょっと比類がないですな。訳者あとがきではカフカや筒井康隆と比較されていましたし、劇作家としてはベケット、イヨネスコの系譜だそうですが。
 ムロージェックの翻訳は、ほかに未知谷から『所長』『鰐の涙』という二冊の短編集が出版されています(「ムロージェク」という表記になっているので検索の際はご注意)。『所長』は『象』と同じく初期の短編集(重複はないので安心して買いましょう)、『鰐の涙』はずっと下って90年代の作品集だそうで、近いうちに読んでみたいところです。

○進学か就職か――気付いたら人生の岐路に立たされている2006年元日。
 早い話が働きたくないという気持ちははっきりしてるので(ダメ人間だな)、進学に絞って猛勉強でも始めればいいのに、院合格の自信も合格後授業についていく自信もないという(さらにダメ人間だな)。……逃げたい。
 とりあえず前野直彬氏の『中国文学史』でも熟読して、小説史以外の知識を詰め込むことから始めますかね……。それと併行して現代語の鍛錬と。あと文芸批評の理論についても知識が欲しいし……やること多いな……。

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