徒然

更新履歴を兼ねた日記です。つれづれなるままに硯に、いえキーボードに向かって書き連ねています。


2006/9/30:ゴーチエ『吸血女の恋』レヴュー

○久々の19世紀小説。7月末にドストエフスキーの『未成年』を読んで以来か。
 夏の間、積みに積んだSFをひたすら消化していたにも関わらず、早川・創元の積読本は実は思ったより減っていない。一方で非SF作品がどんどん積もってきている。うーん、あまり良くない傾向だ。
 SFもそうでないものも順次消化していくしかないかな。ま、無理はせずにね。

○古橋秀之『ブラックロッド』も読了。んー、エンターテイメントってこうあるべきだよなあ。感想は続編二冊を読んでから書こうと思う。

2006/9/29:イーガン『順列都市』レヴュー

○大学院入試やらなんやらでちょっと小説を読む間がなかった。しかしその院試も終わって、残る難題は卒論のみ。さー気分を変えて頑張るか。

○読書の秋だけあって、海外文学出版、このごろ妙に勢いがある。おかげでどの本を買うか、乏しい懐を眺めて迷いに迷う羽目に……。
 まず国書刊行会の「文学の冒険」シリーズ最新刊、コーエン『選ばれた女』二巻。あらすじを見て普通の小説じゃないかと疑ったが、店頭で見たらやっぱり普通の小説じゃなかった。まず文体。そしてセリフ。華麗にネジが外れている。上下巻あわせて1000ページ、6000円の巨編だが文体に惹かれてつい買ってしまった。がっかりしたのは、帯にシリーズ続刊の予告がなかったこと。まさかとは思うがシリーズ終了ではないかと不安になる。刊行の見込みがたたなくても、気休めでも良いからマンガネッリやレサマ・リマの名前を挙げて欲しかった。「文学の冒険」は国書の看板シリーズだと思うから、年に2冊、3冊でもいいから続けて欲しいな。
 論創社のゾラ『ナナ』。帯の「平成のヴィーナス誕生」という煽り文はどうかと思ったし、『プラッサンの征服』が先だろうと文句もつけたい。しかし原書初版に付けられていたナナのエロい美麗な挿絵が多数収録されているのは魅力。
 新潮社のガルシア・マルケス『わが悲しき娼婦たちの思い出』。来月には『コレラの時代の愛』も刊行される。また折込のパンフレットによると、この二作を皮切りに「ガルシア・マルケス全小説」の刊行を始める模様。絶版になっていた『族長の秋』や『迷宮の将軍』もこの全集の刊行で入手できるようになるのはありがたい。
 あとは新書だが、村上春樹翻訳ライブラリーのブライアン『偉大なるデスリフ』も少し気になる。フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』へのオマージュらしい。また、この本の巻末広告によると、村上春樹による『グレート・ギャツビー』の翻訳が11月に出るようだ。

 それから、翻訳書ではないけど、丸谷才一・三浦雅士・鹿島茂 『文学全集を立ちあげる』が気になった。文芸春秋の本で、現在に相応しい文学観に立って架空の文学全集を立ち上げようというもの。世界文学編だけ立ち読みしたが、「今や不要になった作家を外す」ことは大胆かつ的確に行っている気がするが、「これまで正当に評価されてこなかった作品」を入れることに関しては物足りなかった。特にロマン派系、現代文学、英米仏独露以外の国の作品が手薄。まだまだ過去の文学史の常識(または束縛)から完全に脱してはいない印象だ。
 個人的には、いっそのこと、これまで訳されたことのない作品だけで世界文学全集を組んでくれないかななどと思っている。巨匠の未訳、埋もれた傑作、それだけでも面白い全集が組めそうな気がするんだけどなー。

2006/9/20:現代の作家・書評ページでアイザック・アシモフを紹介、『鋼鉄都市』レヴュー

○気分転換。さくさく読み進められた。
 これで「SF御三家」と呼ばれるアシモフ、クラーク、ハインラインを全員読んだことになる(一冊ずつだが)。とりあえず思ったのは、三人ともたいしたことないんじゃ(以下略)
 いや、面白いことは面白いんだが、強烈な個性がないんだよなあ。やっぱりレムとかラファティのほうが断然凄いと思う。もしくはイーガンとか。

○デュマ『ダルタニャン物語』にも同時にとりかかっている。とりあえず第一部『三銃士』は再読完了。読み直してみると、やはり巧いなと感じる。伏線の張り方とかもそうだし、キャラの立て方もそう。会話なんかも緩急自在で楽しい。
 中でもミレディーの描写の迫力は異常。フェルトン誘惑のくだりなんか、筆の冴えここに極まれりって感じだ。この話の敵役はリシュリューでもロシュフォールでもなくミレディーなんだなあというのが再読の感想。
 第二部『二十年後』も読み始めてみよう。

○論創社からゾラ『ナナ』の新訳が出たらしい。「ルーゴン・マッカール叢書」の続刊は長く待ちわびていたのでこれは朗報。ただ、個人的には未訳の『プラッサンの征服』か『ルーゴン閣下』を先に出して欲しいと思っていたのだけれど……どのみち『ナナ』も未読なので、この機会に読んでみるか(その前に『居酒屋』読まにゃあ)。

2006/9/17:今日の更新はありません。

○どうもダメだ。集中して本が読めない。アッシュ『蛾』のあとディッシュ『334』にとりかかったのだけれど、文のディティールやニュアンスに注意がいかない。休暇が長すぎて脳みそが腐りかかってるんだろうかな。いかんな。

○しかしながら金庸『神G剣侠』の四巻とムアコック『永遠の戦士エルリック』の四巻『ストームブリンガー』は楽しく読了。
 『神G』の四巻はこれまでに重要な役割を演じてきたキャラクターが大勢退場する怒涛の内容。御都合主義な展開やいい加減なカップリングなど、ちょっと眉を顰めた場面はなきにしもあらず。また、楊過と小龍女が強くなりすぎて、敵役の迫力がかなり薄くなっているのは残念。それでも一気に読ませるリーダビリティは健在。3巻では出番の無かった我らがツンデレ娘・陸無双たんのツンデレっぷりも健在。「あ……あんた……、助けることなんかなかったじゃない! 誰も頼んでないでしょう!」――このセリフだけで私はお腹一杯です。ともあれ来月刊行の最終巻に期待大。
 『ストームブリンガー』は大戦争とエルリックの死で『エルリック』シリーズの一区切りになる巻。世界観といい幻想描写といい、やはりほかのヒロイック・ファンタジーとは一線を画す内容。シリーズ序盤の『メルニボネの皇子』や『この世の彼方の海』は多少荒削りな面があったような感じを受けたが、この巻に至ると洗練の様を帯びてくる。この後に21世紀になってから新たに書かれた三篇の長篇が続くようだが、これまでの内容とどう異なっているか楽しみ。

2006/9/13:今日の更新はありません。

○サンリオSF文庫一気読み第七段としてロザリンド・アッシュ『蛾』を読んだのだけれど、いまいち物語にのめりこむことができなかったので、レビューはしないでおく。SF文庫に入っているもののSF的な要素は皆無。ジャンルとしては犯罪小説にカテゴライズするのが適切だろう。
 この本の内容には特筆すべきことはないように思うのだが、巻末についている広告欄に物凄い個所がある。その個所を撮った写真を見て欲しい。携帯電話で撮った写真なのでピンぼけしているが……。
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 「レイ・ブラッドベリ 川本三郎−誤訳 万華鏡 ●380円」と書いてある。これは間違いなく、文学出版史上最大の誤植のひとつだろう。一部では有名とか。

○遅ればせながら光文社の古典新訳文庫を買ってみる。サン・テグジュペリの『ちいさな王子』、ロダーリの『猫とともに去りぬ』の二冊。ロダーリのほうは知らない作家だったが、イタリアの幻想文学で本邦初訳だというので買ってみた次第。ツルゲーネフの『初恋』も買うかどうか迷ったけど、懐が乏しいのでやめておいた。
 「これまでの「名作全集」の枠にとらわれない、自由でフレッシュな作品選びと翻訳」という宣言には期待。今月のロダーリなど、本邦初訳の本をたくさん出して欲しい。
 とは言いつつ、全体的にはラインナップが素人くさい。結局マジメなだけのラインナップに終わっちゃうんじゃないかというのは不安。あと、カバーはもっと作品別に個性を出したほうがいいんじゃないか。ドストエフスキーもサン・テグジュペリも同じタッチで描かれているのは違和感がある。
 余談ながら『カラマーゾフの兄弟』のカバーデザインについて個人的な印象を言えば、岩波のキャラ絵が一番とっつきやすいしイメージにも合ってると思う。新潮みたくドストさんの顔写真を載せるだけってのは面白くないし、この光文社のはソフトタッチすぎる。白が基調ってのはドストさんのイメージに合わない。

 光文社古典新訳文庫の公式サイトはこちら

10月の文庫発売一覧
 岩波文庫のラインナップが素晴らしい。四冊全部が翻訳もの、しかもガルシラーソ『インカ皇統記』の第三巻を除く三冊が赤帯と来た! その三冊も新訳や新版でなく、全て新しく岩波文庫に入るものばかり! ヒャッホウ!
 で、その三冊のタイトルはというに、ゴーチエ『モーパン嬢(上)』、ビューヒナー『ヴォイツェク ダントンの死 レンツ』、パヴェーゼ『うつくしい夏』。このうちビューヒナーという人は知らなかったのでグーグル先生に質問してみたところ、19世紀初頭のドイツの詩人で、「ヴォイツェク」「ダントンの死」は戯曲、「レンツ」は短編小説だそうな。有名古典新訳の流行を敢えて無視し、ゴーチエ、ビューヒナー、パヴェーゼというマニアックな古典作家を三人並べてきた岩波に乾杯。この三冊は全部買いだな。
 噂の光文社古典新訳文庫の第二弾はと見ると、トルストイ、ポー、レーニン、シュペルヴィエル。この中だとシュペルヴィエルがマイナーかな。幻想短篇集ということらしい。
 それ以外だと、新潮文庫の新訳『ロリータ』が目立つ。続刊では集英社のプルーストと、徳間の金庸『神G剣侠』の完結に注目。

 海外文学ファンにとって、読みたい本が多すぎて困る読書の秋になりそうだなー。

2006/9/9:現代の作家・書評ページでマイクル・コニイを紹介、『ブロントメク!』レヴュー

○サンリオSF文庫一気読み第六弾。はい、面白くありません。ワトスンの奇想、カウパーの端正な文章、ロバーツの緻密な世界観、バージェスの遊戯、ラファティの規格外の筋運びと、これまで読んだ五冊はどれも一読の価値がある特長を備えていたのに、『ブロントメク!』にはそれがない。語り口もなんだか気に入らないし(もともと青春小説ってのが大嫌いなせいもあるんだけど)、ヒロインはキャラが薄いし。(告白するが)ヒロインがかわいいという評判を聞いてこの小説を読んだのに、これだったら『大洪水伝説』のジェーンや『パヴァーヌ』のエリナーや『悪魔は死んだ』のアナスターシャのほうがよっぽどかわいいじゃないか。
 高いカネを払って地雷を踏んでしまったのが悔しい。ネット上の評判がいいから安心してたんだけどなー。

 次はアッシュ『蛾』。手持ちのサンリオSF文庫で残ってるのはディッシュ『334』とラファティ『イースターワインに到着』。この3冊を読んだら、SFの夏に一つ区切りをつけて、ヴィニーの歴史小説でも読んでみよう。

2006/9/6:ラファティ『悪魔は死んだ』レヴュー

○……。いや、言葉を失うほどすごいな。サンリオSF文庫一気読み、第五弾にして大本命のラファティ『悪魔は死んだ』。『宇宙舟歌』なんかに比べてもさらに天才ぶりが増している感じだ。これがラファティ長篇の日本初紹介というのも凄い。サンリオSF文庫編集部も良い所に目をつけたもんだ(この文庫がもしもっと長続きしていたら! ああ!)。さて、この『悪魔は死んだ』と三部作をなす『アーキペラゴ』と『メルキセデクを超えて』はぜひとも読んでみたい。どこでもいいから翻訳してほしいな。
 次はコニイ『ブロントメク!』。

○皓月さんから古橋秀之『ブラックロッド』を譲っていただいた。この場でも謝意を示しておこう。
 その他、買ったものを挙げておく。エフィンジャー『重力が衰えるとき』、マキリップ『イルスの竪琴』三部作、マクドナルド『リリス』、ディッシュ『334』。
 明日は徳間文庫の発売日だな。『神G剣侠』の四巻を買いに行かねば。

2006/9/3:現代の作家・書評ページでアントニイ・バージェスを紹介、『どこまで行けばお茶の時間』レヴュー

○サンリオSF文庫一気読み、第四弾。まずタイトルが良いね。で、カバーデザインもいい。中身もまたなかなか、無意味におしゃれ。ロバーツの濃厚な『パヴァーヌ』のあとには丁度良い軽妙さ。
 『時計仕掛けのオレンジ』の原作者として有名なバージェスだけど、ほかにもいろいろ面白そうな本を書いてるらしい。例えばオーウェル『1984年』のパロディ(?)『1985年』。1985年生まれの私としては気にせざるを得ない本だな〜。

 次はいよいよ大本命ラファティを読むことにしますぜ旦那。

2006/9/2:現代の作家・書評ページでキース・ロバーツを紹介、『パヴァーヌ』レヴュー

○サンリオSF文庫一気読み、第三弾。で、大当たり。ああ、たまらん。こりゃSFファンでなくとも必読だ(だいたいSF的な要素は薄いし)。
 と言いたいところだけど、これサンリオ文庫の中でもかなりレアなんだよなあ。2000年に扶桑社から再刊されたけど、こっちもすぐ絶版になって、今ではやっぱり入手困難になってるし。んむむ、まったくもって許しがたい。
 この前のカウパーもそうだけど、SF界ではどうも、こういう緻密な作品が正当に評価されないきらいがあるのかも。そりゃまあ確かに、『ハイペリオン』や『ディアスポラ』のほうが断然派手ではあるけどさ、文学作品の魅力ってそれだけじゃないだろう。

 それにしても、ロバーツの翻訳本はこれ一冊で、あとは雑誌やアンソロジーに短編がいくつか訳されただけというのは、いくらなんでもあんまり過小評価すぎる。『アニタ』『白亜の巨人』『グライン』あたりの作品は是非とも翻訳されてほしい。頼みの綱は、やはり国書刊行会か。

○たまには一宮で古本漁り。福田書店で森鴎外『灰燼/かのように』、魯迅『吶喊』、大誠堂書店にてバルビュス『地獄』を購入。

2006/8/31:今日の更新はありません。

○書店に行って国書刊行会「未来の文学」の新刊『グラックの卵』と、岩波のハウオファ『おしりに口づけを』を立ち読み。『グラックの卵』は奇想・ユーモアSFのアンソロジー。もう一冊のアンソロジー『ベータ2のバラッド』が大物ばかりのセレクトだったのに比べると、こちらは聞いたことのない作家ばかり。とりあえず表題作は面白そう。それ以上に気になるハウオファ『おしりに口づけを』は、猥雑なやり取りから大仰な演説まで、多彩なせりふ回しがなかなか楽しい。なんだかんだで岩波から出るだけのクオリティはありそうだ。しかし、ちょっとこれはレジに持っていきにくい。特に背表紙帯の「21世紀最高のバイアグラ小説」という煽りは勘弁してほしい。
 もう一冊、書店で見かけた新刊で気になったのが『李箱作品集』(作品社)。李箱というのは近代朝鮮の夭折した作家で、日本語でも著作をものしているらしい。この本には韓国語作品の翻訳と日本語作品と両方が収録されており、いずれの文章もかなり激越な調子で読み応えがありそう。ちと高いが、買ってみようかなあ。

○9月の新刊の注目作はと。
 国書と新潮のインパクトが強すぎて他が霞む。まず国書は、待ちに待ったレム『大失敗(フィアスコ)』と文学の冒険久々の新刊、コーエン『選ばれた女』上下巻。新潮はガルシア・マルケス最後の作品『我が悲しき娼婦たちの思い出』。あとオースターの新刊と、アーヴィングの文庫化もある。
 岩波もなかなか頑張っていて、トルストイ『戦争と平和』新訳版がとうとう完結。プーシキン『オネーギン』の新版とシュライナー『アフリカ農場物語』もあるし、モリエール『守銭奴』復刊も朗報。
 あとは光文社海外古典新訳文庫の創刊が話題になるだろうな。今後どこまで発展していくか期待。個人的な希望としては、バルザックやディケンズで文庫化されていないもの・入手困難なものを積極的に出して欲しいと思う。ツルゲーネフは『貴族の巣』が読みたいな。ドストエフスキーみたいな、ほとんど全作品が岩波か新潮で読めるような作家は、別に出さなくてもいいんじゃないかとつぶやいてみたり。
 少なくとも、新潮文庫と変わらないような、おりこうさんなだけのラインナップにはなって欲しくないよなあ。

マフフーズ氏死去
 アラブの巨匠も亡くなったか……合掌。この方は確かに大変なご高齢ではあったわけだが……それにしても、最近、大作家さんの訃報続きでなんだか寂しいな。20世紀がどんどん遠ざかっていく。

2006/8/29:現代の作家・書評ページでリチャード・カウパーを紹介、『大洪水伝説』レヴュー

○サンリオSF文庫一気読み、第二弾。カウパーは国書刊行会が「未来の文学」シリーズの一冊として出したアンソロジー『ベータ2のバラッド』で名前を知った作家(と言いつつ、このアンソロジーは読んでないけど)。
 地味な作品だがそれがいい。期待通りにばっちり好みの作風で、誰にでも推薦できる本。前も書いたけれど、私は翻訳SFファンではなく翻訳文学ファンなので、昨日のワトスンみたいな作品はどうも素直に楽しめないし、逆にこういう小説は安心して楽しめる。もう一冊の邦訳長篇『クローン』もいずれ。
 次はラファティ以外では一番期待の、キース・ロバーツ『パヴァーヌ』にいってみよう。

○海星堂にてマイクル・コニイ『ブロントメク!』購入。なにやらメカメカしい装甲車が表紙を飾っているけれど、ネット上の評判を見るとどうやら萌えSFらしい。これで手持ちのサンリオSF文庫は8冊。

本棚の中の骸骨によると、10月に岩波文庫からゴーチエ『モーパン嬢』が出る由。さらに「今日のあぶく」のコンテンツでは、未確認情報ながらガルシア・マルケスの『コレラの時代の愛』が出るという噂が紹介されている。どちらも期待度は五つ星。
 んむむ、今年は海外文学大当たりの年になりそうだな。嬉しいことじゃ。

2006/8/28:現代の作家・書評ページでイアン・ワトスンを紹介、『ヨナ・キット』レヴュー

○閲覧者さんの役に立たないサンリオSF文庫一気読み、第一弾。難物のふりをしたバカSFだけど、やっぱり難物(どっちだ)。素直に『エンベディング』や「黒き流れ」三部作を先に読めばよかったかなと思いつつ。
 次はリチャード・カウパー『大洪水伝説』。あらすじだけを見ると結構わたし好みっぽいが、さて。

 サンリオ文庫の収集に関しては、サンリオSF文庫の部屋銀の知識人たち)が参考になるかと。名古屋市内だと海星堂や猫又文庫に結構たくさんおいてある。

2006/8/26:現代の作家・書評ページで古橋秀之を紹介、『ある日、爆弾がおちてきて』レヴュー

○ライトノベル紹介第二弾〜。25日はレポートを片付けるため徹夜していたので、『ヨナ・キット』みたいな複雑な小説には頭がついていきそうになかった。というわけでこれをチョイス。うん、いや、面白いんだけどね。この人のデビュー作『ブラック・ロッド』はえらく評判が良いみたいなんだけど(某匿名掲示板でもこちらの作品の話題ばっかりだし)版元品切れの様子。なんとか見つからんかな。

○そんなわけで、25日はこの古橋秀之『ある日、爆弾がおちてきて』とマーティン『七王国の玉座(4)』を星野書店で購入。両方とも読了。
 『七王国の玉座(4)』、ちょっとファンタジーらしいシーンもあるにはあるけど、全体的には前巻に続いて宮廷陰謀劇の色合いが強い。前巻では嵐を含みつつまだ均衡を保っていた宮廷が、国王急死でとうとう火がつく、といった内容。国王ロバート・バラシオンのキャラは、「ダメになってしまった英雄」といった感じの造型で結構好きだったんだけれども、ここでの退場は残念…まあ仕方ない。最終巻での怒涛の展開を期待しておくかな。
 それと「ベルガリアード物語」の第一巻『予言の守護者』も読了。こっちは……微妙。話の展開があんまりに遅い。巻の終わりのほうでようやく少し面白くなってくるけれど、盛り上がるまでが長すぎる。第二巻以降もこの調子だと、ちょっと読了できそうにないなあ。
 小中学生のころRPG全盛時代だったせいか、今でもヒロイックファンタジーは好きなんだけど、さすがに剣と魔法さえあればいいなんてことは思えなくなってしまった。ハヤカワ文庫FTの煽りじゃないけど、「なにかもうひとつ」欲しい。または一つと言わず三つとか四つとか。

 徹夜明けと言いつつ3冊読み終わっちゃってるわけだが、今度こそ『ヨナ・キット』に取り掛かろう。

2006/8/24:ベア『女王天使』レヴュー

○ちと時間がかかりすぎてしまった。気合の入っているところとそうでないところで、描写の密度に差がありすぎるのがこの作家の欠点かな。すばらしく濃密な場面があるかと思うと、えらく散漫な場面が続いたりして。もう少し緩急のバランスが欲しいところ。でもテーマは深い。

○バイト代を使っていろいろと本を購入。ちょっとストレスのたまるアルバイトだったので、その鬱憤を晴らすべくぱーっと使ってしまった。傍から見たら馬鹿にしか見えないだろうね。
 ブックオフで購入したのはシマック『人狼原理』、レム『宇宙創世記ロボットの旅』、ファウルズ『コレクター』上下巻、オースター『最後の者たちの国で』、ワトスン『川の書』『星の書』、エディングス『ベルガリアード物語』の1巻と2巻、筒井康隆『歌と饒舌の戦記』、それから『世界文学全集18 ヴィニー/ミュッセ集』。合計1775円(安い)。
 百萬文庫でデュマ『ダルタニャン物語』11巻セット。8580円。
とうとうサンリオ文庫に手を出してしまった
 あと、これを期に手を出してみようと、大々的に(?)サンリオSF文庫漁りを敢行。古本まゆでアッシュ『蛾』、バージェス『どこまで行けばお茶の時間』、猫又文庫でカウパー『大洪水伝説』、ワトスン『ヨナ・キット』、あとはネットでラファティ『悪魔は死んだ』『イースターワインに到着』、ロバーツ『パヴァーヌ』、7冊合計で26500円。アホや。

 杁中のブックオフに古い創元文庫やハヤカワ文庫がたくさん入荷していたので、名古屋近郊在住のSFファンは今のうちに行ってみるといいと思う。レムとシマックはここで買った。『世界文学全集18』は東別院のブックオフで50円。掲示板でのフォスカさんとのやりとりで、ブックオフで文学全集の端本は基本的に買わないとは言ったけれど、ヴィニーの歴史小説『サン・マール』はこの全集本でしか読めないので迷わず買った。オースターとワトスンは新瑞橋のブックオフ。奇想SF作家として名高いワトスンが2冊400円で買えたのはラッキーだった。
 ダルタニャン物語は重くて持ち帰るのが大変だった。カバーイラストがなんかいい感じ。
 サンリオはどれも期待度高い、と言うか、値段分の価値があると信じたい。ラファティは後のお楽しみにとっておいて、まずは『ヨナ・キット』から行ってみよう。

 最後におまけ画像。タイトルは「運命の分岐、または勝ち組負け組」。


 でも本当の負け組(イヤむしろ勝ち組か?)は私ですから〜残念。
 さて、次はミシェル・ジュリ『熱い太陽、深海魚』が欲しいなあ。

2006/8/18:現代の作家・書評ページでダン・シモンズを紹介、『ハイペリオン』『ハイペリオンの没落』レヴュー

○いわゆる「普通のSF」だがその複雑さと完成度は凡百のSF作品とは大違い。21世紀にSFというジャンルがどのように発展していくか分からないけれども、この作品が一つの規準にはなるんだろうな。これを超える「普通のSF」を書くか、独創性を発揮して「変なSF」を書くか。
 さらに続編となる『エンディミオン』『エンディミオンの覚醒』はそのうち読むかもしれない。

○ゾラファンは足を向けて寝られない論創社のホームページがいつの間にか出来ていたのでリンクを張っておこう。なんか「作成中」のページがえらく多いけれど、そこはこれからに期待ということで。
 これまでルーゴン・マッカール叢書のほかに現代ドイツ戯曲や海外ミステリのシリーズなども出していたけれど、今月からさらに「ダークファンタジー・コレクション」というシリーズでディックなどを出すらしい。ともあれこの会社の今後の発展が楽しみ。
 叢書の残りの未訳作品『プラッサンの征服』『ルーゴン閣下』は今年中に出るのかねえ。

2006/8/17:クッツェー『マイケル・K』レヴュー

○更新が止まるのは忙しいときではない。どれほど忙しくても現実逃避のためにサイトの更新はするのである(爆)。更新が止まるのは、長い小説を読んでいるときか、読みにくい小説を読んでいるときか、ゲームにはまっているときである。
 そんなわけで実は結構前に読了済みだった『マイケル・K』の感想を今ごろアップ。『夷狄を待ちながら』は結構楽しく読めたのに、こちらはなんだか全然集中して読めなかった。
 それと、更新作業をしないうちにシモンズ『ハイぺリオンの没落』も読み終わってしまった。こちらは明日明後日あたりにアップ予定。「ハイぺリオン」二部作は、なんというかね、燃え燃え(誤変換ではない)。

2006/8/13:現代の作家・書評ページでバリントン・J・ベイリーを紹介、『カエアンの聖衣』レヴュー

○本当に全くビックリするほど、文学作品らしさのないSF。レム、コードウェイナー・スミスをはじめ、イーガンとかベアとか、これまで紹介してきたSF作家と違って、高級感がまるでない。ただのゴミの塊、ガラクタの寄せ集め、なのに途方もなく面白い。これはこれで凄いことだ。

○ブックオフでトニ・モリスン『ビラヴド(下)』、イーガン『しあわせの理由』、ブラッドベリ『塵よりよみがえり』、ウェルベル『蟻』を購入。また三省堂にてカフカ『断食芸人』と授業のレポートの課題本、吉川幸次郎『元明詩概説』を購入。吉川幸次郎という先生は日本の中国文学研究では伝説的な人で(八股文が書けたらしい)。この先生の『唐詩概説』『宋詩概説』とこの『元明詩概説』は岩波文庫に収録されたとき買うかどうか迷っていたのだけれども、授業の課題に出て読まなきゃならない状況になった。院試には文学史の問題も出るし、勉強には丁度いいや。

2006/8/10:ベア『凍月』レヴュー

○ストーリーテラーとしては一流とはいえない。が、幻想的な描写には素晴らしいものがある。ここまで二作品読んだ感じではそんな印象かな。次は『女王天使』を読もう。

○クッツェー『マイケル・K』、マクラウド『ニュートンズ・ウェイク』を購入。

2006/8/9:現代の作家・書評ページでアーサー・クラークを紹介、『2001年宇宙の旅』レヴュー

○今更ようやく初クラーク。クラークすら読んでないようでは海外SFファンとは名乗れないような気がするが、私は海外SFファンではなく海外文学ファンなので問題ないだろう。
 はからずもタイトルが示してしまっているように、この作品はやや時代遅れな点もあるように思う。古いSFだし仕方ないじゃないか、という向きもあるかもしれないが、レムとかコードウェイナー・スミスとかラファティとか、もっと遡ってチャペックとかの作品がちっとも古びていないことを考えると、ちょっと評価が下がる。
 次に読むなら『幼年期の終わり』か『楽園の泉』をと考えている。

9月の文庫発売一覧
 岩波はトルストイ『戦争と平和(6)』、プーシキン『オネーギン』、シュライナー『アフリカ農場物語(下)』と海外文学3冊。やるなあ。それにひきかえ海外文学0のちくま。もっと頑張れ。早川ではムアコックの続刊とか、マーティン『七王国の玉座』の完結とか、クラーク『海底牧場』の復刊あたりが注目か。おっと、それにカポーティもいるね。新潮はアーヴィング『オウエンのために祈りを』上下巻。久々に新潮文庫を買うことになるかな。
 あとは光文社古典新訳文庫の登場。第一弾を飾るのはシェイクスピア、ドストエフスキー、ツルゲーネフ、サン・テグジュぺリ、ケストナー、カントといった面々。さしあたってすぐ新訳が必要、という作家作品が並ばなかったのは残念だけれど、これからに期待。どうせならユゴーの『笑う男』とか、ゴーチエの『モーパン嬢』とか、ゴンチャロフの『断崖』とか、フローベールの『サランボー』とか、バルザックのあれとか、モーパッサンのそれとか、ディケンズ、サッカレーのいろいろとかを出して欲しいけど、望み薄かな〜。

 文庫以外では、新潮社からガルシア・マルケスの最後の作品『わが悲しき娼婦たちの思い出』とポール・オースターの『ティンブクトゥ』が刊行される予定。それと国書刊行会からは久々の未来の文学、コーエン『選ばれた女』が刊行予定。「ホロコースト前夜のヨーロッパ・国際連盟を舞台に、「選ばれた女」アリアーヌとユダヤ人高官ソラルの熱情の恋愛と悲劇がナチスの迫害を影に描かれる究極の大河恋愛小説」とのことで、あらすじだけ見るとなんだか「普通の小説」といった雰囲気が漂うけれども、そこは未来の文学に入る作品だから、何か突き出た特徴があるに違いない、と期待しておく。

2006/8/8:ラファティ『九百人のお祖母さん』レヴュー

○この本も(信じ難いことに、また許し難いことに)版元品切れでちょっと入手しにくいのだが、内容は相変わらず面白すぎる。ラファティを未読のそこの兄さん(または姉さん)は必ず読むべし!
 さて。ラファティの他の本はどれも入手しにくい。入手難度は『どろぼう熊の惑星』<『トマス・モアの冒険』<『子供たちの午後』<『悪魔は死んだ』<『イースターワインに到着』といったところか。イースターワインは復刊ドットコムを待つしかないとしても、他の本はなんとか探し出して読んでみたい。

○文芸サークルのテンシャン山脈さんの代理で文化サークル連盟の会議に出席してきて、その帰りに名大SF研にお邪魔させていただいた。いろいろと参考になる話を聞かせていただいた上、おみやげ(アシモフ『鋼鉄都市』とかヴォクト『スラン』とか)までもらってしまった。どうもありがとうございました。

○で、その帰りに猫又文庫に寄って、グレッグ・ベアの量子論ナノテク四部作のうちの三作品やら、シモンズ『ハイぺリオンの没落』やら、ベイリー『カエアンの聖衣』やら、シマック『都市』やら、その他あれこれとハヤカワ文庫を大量に購入。さーて頑張って読むべ。

2006/8/6:現代の作家・書評ページでグレッグ・ベアを紹介、『火星転移』レヴュー

○すっきり読める名作。前半やや物語の展開が遅いけれど、私は終わり良ければ全て良いと思ってしまう読者なのでそれも良しだ。品切れのままになっているのは勿体無い。
 品切れといえば、グレッグ・ベアの作品は代表作『ブラッド・ミュージック』を除いてほとんど目録落ちの憂き目に遭っている。SF専門の読者以外にもうけそうで、SF入門にも良さそうな作家なのに惜しいことだ。
 さて、『火星転移』と四部作をなす『女王天使』『凍月』『斜線都市』を探しに行かなければ……。

○アダムス『宇宙ヒッチハイク・ガイド』、ラッカー『ソフトウェア』、谷川流『涼宮ハルヒの消失』も読了。このあたりの作品については追々感想を書く予定。それと金庸『神G剣侠』の第三巻も購入して読了した。この巻は前作『射G英雄伝』の主人公郭靖が大活躍。あの魯鈍な郭靖が(天然ぶりは変わらずに)ここまで巨大な存在になるとは……。毎度お騒がせのヒロイン小龍女はちょっとどうかと思うけど(同じ天然でも、郭靖みたいに爽快な天然ぶりじゃないのがなあ)、圧倒的なストーリーテリングはさすが。

2006/8/2:今日の更新はありません。

○シモンズ『ハイぺリオン』読了。『涼宮ハルヒの憂鬱』で長門がキョンに貸した本として、アニメファンやライトノベルファンの間でも一部で話題になった――のだろうかな。
 今どき枠物語の形式で小説を書くというのがまずビックリだが、内容は非常に充実していて、読ませる作品となっている。ただ、物語はこの作品では完結しておらず、続編『ハイぺリオンの没落』を読まないと決着がどうなるかは分からない。というわけで、レビューは『没落』を読んでから書くつもり。

○さて今月の新刊だが――。
 まず岩波書店。岩波文庫の復刊のうち、清代最大の詩人・袁枚の『随園食単』は、ブリア・サヴァランの『美味礼賛』と並び称されるグルメ・エッセイの世界的名著。また新刊の柏木如亭『詩本草』は江戸時代のグルメ本らしい。こちらも注目(というより、『随園食単』は柏木如亭の新刊に合わせて復刊されるんだろうな、多分)。
 ――で、ある意味それら以上に気になるのがハウオファ『おしりに口づけを』なわけだ。「痔の痛みとその治療をめぐるトラブルを,旧植民地国家が持つ社会矛盾の寓意を含みつつ描き出す.奇想天外,抱腹絶倒,南太平洋から初めての痔小説!」ということで、うーむ、この本、面白いのかただ下品だけなのか。出版社が出版社だから、ある程度のクオリティは保証されてるんだろうけど。誰か人柱になって読んでみてくれないかな。
 ちくま文庫はクッツェー『マイケル・K』。以前単行本で出ていたものの復刊文庫化。今月一番期待の作品はこれだな。しかし、ちくま文庫の来月刊行予定に海外文学がないことには甚だ落胆した。
 ハヤカワ文庫のマクラウド『ニュートンズ・ウェイク』。マクラウドは短編「人類戦線」で星雲賞の海外短編部門を受賞しているから、多分実力はあるんだろう。
 国書刊行会の『グラックの卵』は「未来の文学」シリーズの一冊でユーモアSFのアンソロジー。で、レムとコーエンはいつ出るのよ?
 目新しいものはこれくらいだけど、色々と続刊ものが順調に刊行されているから、買わなきゃいけない本は少なくないと思う。

2006/7/29:現代の作家・書評ページでパノス・カルネジスを紹介、『石の葬式』レヴュー

○ベールイ『ペテルブルグ』はいまいち文章に乗っていけないので一時中断。代わって刊行されたばかりのこの本を買ってきて早速読んだ。とりあえず表題作は面白い。買いか、と尋ねられれば少し迷って買いだと答えよう。これからが楽しみな作家、という点では訳者に同意。長篇のほうが向いていそうな感じもするので、処女長篇『迷路』の翻訳に期待する。さて、果たして刊行されるかな?

2006/7/27:コードウェイナー・スミス『鼠と竜のゲーム』レヴュー

○レムとかイーガンといった作家のことは「好きな作家」というより「凄い作家」と思っている。SF作家と言われる人たちの中で、心底好きと言えるのはラファティとこのコードウェイナー・スミス。この両人の想像力は物凄い。同じ人間とは思えないほどだ。一言で言うと、ラファティは宇宙人、スミスは未来人といった印象。ふむ、すると超能力者は誰だろう(爆)。

○ウッドハウス『比類なきジーヴス』、アダムス『銀河ヒッチハイク・ガイド』『宇宙の果てのレストラン』を取り寄せ。
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 今年の夏はSFの夏。

 それと白水社の新刊、パノス・カルネジス『石の葬式』が気になる。白水社のウェブサイトの紹介文はこんな感じ。
「神々も知らない、もうひとつの「ギリシア」。ケンタウロス男、ホメロスを暗唱するオウム、「歴史」という名の馬……近代化から取り残されたギリシアの寒村の運命とは? 〈マジック・リアリズム〉の世界を描く珠玉の連作短篇集」
 ……むむむ。これは面白そうだぞ。買いかな?

2006/7/25:ドストエフスキー『未成年』レヴュー

○久しぶりの巨匠。最初のほうはいまいちかなと思っていたけれど、終わりのほうは圧巻。さすが。
 未読の人は今月の復刊を期に是非とも買っておくのがよろしかろう。でないと後悔するよ。

 随分前に放り出した『悪霊』もいつか完読したいところ。あと『虐げられた人々』も読みたい。

○猫又文庫でシェクリィ『不死販売株式会社』、シマウマ書房でベールイ『ペテルブルグ』上下巻、それとジュンク堂でシモンズ『ハイぺリオン』上下巻を購入。
 講談社文芸文庫でベールイが出ていたとは私もつい最近まで知らなかった。奥付を見ると1999年刊行らしい。私は古本屋で買ったわけだが、今でも新刊で入手できる模様……だ、が、新刊書店では一度も眼にしたことがない(そういえばミツキエヴィチ『パン・タデウシュ』も見かけない)。やはり19世紀以外のロシア文学というのは知名度が低く売れないものなのだろうか。
 うーむ、と言うよりむしろ、ドストエフスキー、トルストイ、ナボコフ以外は読まれていないというのが正解なのかもしれないなー。とりあえずブルガーコフくらいは読んどくべきだぜ、海外文学ファンの同志諸君。

2006/7/23:リンク集拡大。

○ドストエフスキー『未成年』読書中。上巻には劇的事件が少なく、とっつきは悪かったけれども、中巻の真中あたりから俄然面白くなってきた。これから下巻を読む。

○ブックオフ杁中店でグレッグ・ベア『火星転移』2巻、猫又文庫でルーディ・ラッカー『ソフトウェア』を購入。あと生協書籍部でカフカ『流刑地にて』、三省堂にてサフォン『風の影』2巻、マーティン『七王国の玉座3』、レナルズ『カズムシティ』を購入。SF積読を消化するどころかどんどん増えていっている。夏期休暇中にでもできるだけ消化したいところだが、卒論制作の準備や院試の準備もあるし、どれだけ読めることやら。
 しかし『カズムシティ』の分厚さは素敵。1100ページ以上だから、三分冊の『未成年』と同じくらいのページ数があるわけだ。最近なぜか1000ページ以上の辞書みたいな文庫本が増えてる(戦犯は京極夏彦あたりか)。京極の諸作品といい、『終わりのクロニクル』の第七巻といい、文庫版『言海』(あ、これは本当に辞書だ)といい……。合計320ページの『テレーズ・ラカン』が分冊で出版された時代とはまさに隔世。
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 分厚いのはお好き?
 ――内容さえ濃いなら。

2006/7/16:19世紀の作家・書評ページでアレッサンドロ・マンゾーニを紹介、『いいなづけ』レヴュー

○各巻が出る度に買って読んでとりあえず読了。『三銃士』ほどではないものの結構さくさく読み進められる。訳文良し、挿絵良し。ただ、飛び抜けた点はあまりないかも。
 あと文庫版に新たに加えられた訳者後書きは結構身につまされる。語学の修練をしないと……。

○谷川流『涼宮ハルヒの退屈』も読了。カバーが長門だからか、四篇の短編全てに渡って長門が大活躍しており大変よろしい。スポ根、タイムスリップ、異世界、推理とジャンルも多彩で結構面白い。
 にしても、「ハルヒはまるでイアソンに裏切られた王女メデイアのような目で見つめていた(38ページ)」とは。谷川先生とうとうエウリピデスまで繰り出してきおった。第一巻『涼宮ハルヒの憂鬱』によるとキョンは思春期以降さほど読書はしていないらしいのに、古典、SF、ミステリ、それぞれに基本的な引き出しは揃えているようだ。古典とSFはだいたい元ネタが分かるが、ミステリは私ではちょっとついていけない。

2006/7/14:現代の作家・書評ページでニール・スティーヴンスンを紹介、『ダイヤモンド・エイジ』レヴュー

○面白いところはたくさんあったけれど退屈なところはそれ以上に多かった。なにぶん長すぎる。400ページの『ノーストリリア』や200ページの『愛その他の悪霊について』の濃密さに比べると、水で割ったように薄い800ページ。楽しく読むには読み飛ばしは必須。現代文学のくせに。

 あと、レヴューを書くほどでもないと思うけれど『涼宮ハルヒの溜息』も読了。作者の海外SFへの愛が伝わってきたり、ミクルビームなんてとんでもないアイディアが飛び出たりしてにやけてしまうけれど、全体的にはこれまた平板で冗長だな〜。しかし「カエアン製の衣装かと思ったぞ(64ページ)」ってネタ元が分かった人がどれほどいるのだろうか。バリントン・ベイリー『カエアンの聖衣』、読んでみたい。

 次はマンゾーニ『いいなづけ』とドストエフスキー『未成年』。この古典二作品を間に挟んで、また積読SFの消化といこう。

8月の文庫発売一覧
 『失われた時を求めて』をはじめ、『神G剣侠』『七王国の玉座』『銀河ヒッチハイクガイド』『怪奇小説傑作集』などの続刊が順調に刊行される模様。
 続刊もの以外の海外文学では、ちくま文庫のクッツェー『マイケル・K』が目立つくらいかな。

2006/7/13:今日の更新はありません。

○創元推理文庫の新刊『怪奇小説傑作集(4)』が出ていたので店先でちょっと見てみた。これまであまりアンソロジーの類は買ってこなかったし、この『怪奇小説傑作集』シリーズにも注目していなかった。しかしフランスの怪奇小説21篇を集めたこの第四巻には、サド、ノディエ、ネルヴァル、ゴーティエ、ボレル、モーパッサン、アポリネールなど錚々たる顔ぶれが並んでおり、かなりそそられるものがある。うーむ、この本は買いかねえ。
 とりあえずネルヴァル「緑色の怪物」だけ立ち読み。十数ページの掌編ながら戦慄と黒い笑いに満ちた佳篇だ。酒瓶を抱きしめて、それから割っちゃうシーンなんかは気持ち悪いことこの上ない(と書いても、何が気持ち悪いか伝わらないと思う……実際に読んでもらうのが一番)。

○コードウェイナー・スミス『鼠と竜のゲーム』『第81Q戦争』、谷川流『涼宮ハルヒの溜息』『涼宮ハルヒの退屈』『涼宮ハルヒの消失』を購入。

2006/7/10:今日の更新はありません。

○昨日の夜にたまたまNHK教育を見ていたら、「芸術劇場」という番組で『マクベス』の公演を放送していたので見てみた(この番組のことは知らなかったが、これからはできるだけ見ていきたいところ。特に第二日曜は演劇を放送するらしいから見逃さないようにしなければ)。モスクワのユーゴザーパド劇場という劇団がベリャコーヴィチという人の演出で公演したものらしい。
 脚本を読むのもいいがこうして舞台にかかっているものを見るとまた別格の味わいがあるなあ。うむむ、ビデオに録画しておけばよかったぜ。ベリャコーヴィチの演出も、音楽といい照明といい、原作の陰惨で不気味な雰囲気を良く出していた。三人の魔女の気持ち悪さが素晴らしい。
 マクダフに気をつけろ!

○スティーヴンスン『ダイヤモンド・エイジ』、もう少しで上巻を読み終わる。ようよう面白くなってきたけど、それにしても散漫すぎる。半分の分量に凝縮できるんじゃないか? いっそ頭の100ページをばっさり切り落としても良さそうな気さえする。バドのエピソードなんか、こんな分量はいらんだろう。

○三世堂にてマンゾーニ『いいなづけ(下)』、ムアコック『暁の女王マイシェラ(永遠の戦士エルリック3)』、ドストエフスキー『未成年』三巻を購入。

2006/7/7:今日の更新はありません。

○三省堂にて金庸『神G剣侠(2)』を購入。そして即、読了。うーむ、このリーダビリティは本当に凄い。
 モンゴル公子クドゥやチベット僧ダルパを相手にしての楊過の大立ち回りに喝采するもよし、前作『射G英雄伝』以来圧倒的な存在感を見せ付けてきた洪七公・欧陽鋒の退場に拍手するもよし、程英・陸無双に萌えるもよしと、見所が沢山ある巻となっている。来月の三巻発売が待ちきれないなー。

○SF強化期間。ストロス『シンギュラリティ・スカイ』、スティーヴンスン『ダイヤモンド・エイジ』を併読中。正直、今のところどちらの作品も微妙。展開が遅いのが難。

2006/7/6:ガルシア・マルケス『愛その他の悪霊について』レヴュー

○紹介作品400冊を達成。なんか記念のコンテンツでも作ろうかね。

○さて久々のガルシア・マルケスだがこれは面白かった。感想の中にも書いたけど、マルケスとかリョサの小説はどうも体液でねっとりした感じがあって少し抵抗があったのだけれど、この小説はそういうベトベト感が薄かったのが、物語にのめりこめた原因と思う。
 しかし――そうだな、『百年の孤独』再読してみようかなあ。新しい発見があるかもしれないなあ。

○3日の日記に書き忘れていたことがあったので、ここに書いておこう。
 文芸サークルの集会に行ったら、サークル代表のテンシャン山脈さんが名高い横山光輝『三国志』の二巻を持ってきていたので、ちょっと読ませてもらった。確かに名作漫画と言うに足る作品だとは思うのだけれど、気になった点が一つ。
 それは原作だと名将として描かれている朱雋将軍が嫌な奴になっている――ことではなくて、黄巾賊の張宝が妖術を使って突風を起こし、立ち往生した敵をどんどん射殺していき、官軍が恐れをなすのを、劉備が「いやあの突風は地形によるもので、妖術ではない」と看破するという場面のことだ。

 こういうのは大嫌いだ。
 原作では張宝は正真正銘の妖術使いだし、そもそも妖術や怪奇現象、その他諸々の荒唐無稽な描写あっての『三国志演義』なのに、それを科学的に解決してしまうのはあまりにつまらない。だいたい、我々と違う価値観、違う世界観を知ることが古典を読む楽しみの一つなのに、折角のそれを我々の世界に引き戻してしまってどうするんだ。
 これだから日本人がリライトしたものは読みたくないんだよな。みんなマジメすぎだ。これから『三国志演義』を読もうという人は、岩波文庫、ちくま文庫、徳間文庫どれでもいいから、ぜひ原作に触れて欲しいと思う。

○袁枚『子不語』、貪夢道人『彭公案』、雨果『笑面人』を購入。雨果はユゴーの中国語表記。ユゴー『笑う男』は手軽に利用できる邦訳がないし、近い将来出るという可能性もほぼないだろうから、思い切って中国語訳を買ってみた。読むかどうかは未定。今のところ、中国語の翻訳書としては、夏目漱石『我是猫』、李文烈『詩人』とこの雨果『笑面人』の三冊を持っているが全部未読。現代中国語読解力養成のためにも一つ頑張って読んでみようかな。

2006/7/3:20世紀の作家・書評ページでコードウェイナー・スミスを紹介、『ノーストリリア』レヴュー

○アニメ「エヴァンゲリオン」の「人類補完計画」の元ネタにもなったコードウェイナーの<人類補完機構>シリーズだが、ネーミングはともかく内容的な関わりはあまり無さそう。しかし面白い。邦訳は他に短篇集『鼠と竜のゲーム』『第81Q戦争』『シェイヨルという名の星』の三冊がある。そのうち読んでみよう。
 しかし補完機構シリーズもいいが、最近SF小説の積読がちょっと多すぎる気がする。クラーク『2001年宇宙の旅』『幼年期の終わり』、ディック『スキャナー・ダークリー』、バラード『結晶世界』、ゼラズニイ『光の王』、ディレイニー『アインシュタイン交点』、スティーヴンスン『ダイヤモンド・エイジ』、イーガン『順列都市』といったあたりが……。ここらでまとめて消化するかな、と思い、まずは先月の早川の新刊、ストロス『シンギュラリティ・スカイ』を読み始めてみた。

○大学の近くに新しくシマウマ書房という古本屋がオープンしていたことを知ったので、早速行ってみた。
 ……うーん、素晴らしい品揃えだ。棚ごと買い取りたいくらい。
 とりあえず予算と相談の上、ガルシア・マルケス『愛その他の悪霊について』、グランヴィル『火炎樹』を買った。

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