徒然

更新履歴を兼ねた日記です。つれづれなるままに硯に、いえキーボードに向かって書き連ねています。


2006/12/31:18世紀の作家・書評ページでレッシングを紹介、『エミーリア・ガロッティ』『ミス・サラ・サンプソン』の感想をアップ

○……更新遅れた。なんかもう、12月は本当にぐだぐだだったなあ。ウェブの更新をやってなかったのは勉強に打ち込んでたからかと聞かれれば、全然そういうわけでもなく、実は勉強のほうも11月以前に比べるとろくにできてない。趣味がはかどらないときに勉強がはかどるわけがないわけで、しかし趣味と違って勉強には期限があったりして、――う〜む、ちと参ってるかもしれない。
 来年はもう少したくさん読書してもう少し頻繁に更新しよう。勉強に打ち込むためにも。ただ、昼夜逆転気味の生活習慣は改善しないとダメだな。

○と言う訳で今年最後の読書感想はレッシング。古典作家というよりただ古い作家といった感じだけど、『賢者ナータン』や『ミンナ・フォン・バルンヘルム』はもう少し面白いんだろうか。ともあれ、最近岩波から出たドイツ戯曲では、この本よりビューヒナーのほうが読みごたえがあると思う。

○岩波といえば、来年2月の岩波は凄いらしいですぜ兄貴。復刊については11日の日記で言及したけど、単行本ではアクーニンの小説が二冊出るらしい。19世紀ロシアを舞台にした推理小説だとか。現代ロシアの作品は面白いものが多いのになかなか訳されないので、これにはかなり期待している。
 アクーニンは日本文学の研究もやっていて、ペンネームの由来は日本語「悪人」なのだとか。
 あ、来年2月は早川も凄いぞ。詳しくはここを参照して欲しいが、ハヤカワepi文庫で文学叢書《ブック・プラネット》というシリーズが始まるらしい。要するに英米以外の海外作家を翻訳紹介していく企画のようだ。最初はラッタウット・ラープチャルーンサップ『観光』(タイ)とヤスミナ・カドラ『カブールの燕たち』(アフガニスタン)の二冊が刊行予定とのこと。

○最近の買い物。サド『アリーヌとヴァルクールあるいは哲学的物語』上下。ラファティ『子供たちの午後』。『アリーヌとヴァルクール』は水声社版サド全集の8、9巻。新刊で買えば合計10000円のところを2500円で買えたのでラッキーだった。渋沢訳で河出文庫に入っている『食人国旅行記』はこれの一部分だとか。『子供たちの午後』は復刊。以前も書いたけど、古書店では結構なお値段になってる本だったので、この期に早速購入。巻末の解説にはラファティの長篇小説の詳しい紹介があり必見。

2006/12/21:今日の更新はありません。

○デュマ『二十年後』読了。マザラン派とフロンド派が対立する動乱のフランスと、清教徒革命真っ只中の激震のイギリスを舞台に、お馴染み四人の銃士が所狭しと活躍する。
 前作ではいまいち目立たなかった四銃士の従者たちが本作では大活躍。特にアトスの従者グリモーは寡黙キャラという設定が生かされていて面白い。一方、前作でダルタニャンのライバルとして存在感を見せたローシュフォールや、愛すべき三枚目ボナシューはいまいち出番が少なかった。ローシュフォールなど、登場シーンで、

「よし! 囚人の見張りをする以外に、おれはまだ役に立つということをマザランに見せてやろう」

 とマザランにかっこよく宣戦布告したわりに、ろくに活躍しなかった。ボナシューなどは前作とはうってかわってシリアスなキャラに変身し、しかもパリの乞食の総元締め(金庸の武侠小説を思い出すね)という美味しい立場に立っていたのに、この設定が物語にはあまり生かされないまま終わってしまった。惜しい。
 マザランはリシュリューに比べるとかなり小者として描かれており、敵役としての迫力に欠けるようなところがなくもないが、途中から登場したクロムウェルがダルタニャンたちを脅かし、リシュリューの穴を埋めている。

 さて、いくつか他の本を読んだら、完結編『ブラジュロンヌ子爵』に取り掛かる予定。しかし『三銃士』が二巻、『二十年後』が三巻の分量なのに対し、『ブラジュロンヌ子爵』は六巻もある(!)。デュマといえどもなかなか時間がかかりそうだ。

○今日の古本漁りは銀のぺんと百萬文庫にて。銀のぺんに行ったのは初めて。まさか大学からあんな近くにあるとは知らなかったので。購入したもの。クラーク『都市と星』。ラッカー『ホワイト・ライト』。ヌーン『花粉戦争』。幸田露伴『運命』。
 ラッカー、『ソフトウェア』はいまいちのれなかったけど、こちらはどうだろうか。『花粉戦争』はタイトル買い。露伴『運命』は明の永楽帝のクーデターを扱った歴史小説。明代を舞台にした歴史小説っていうだけで、日本では貴重な作品だろう。開巻いきなり馬琴の『侠客伝』と呂熊の『女仙外史』についての寸評が書いてある。二冊とも、今の日本じゃ知っている人の少ない本だろうなあ。

2006/12/20:コードウェイナー・スミス『シェイヨルという名の星』の感想をアップ

○随分前に読了していたこの本、ようやく感想をアップできた。うーむ、気力を湧き起こさねば。ウェブサイト更新=遊びができないようでは勉強もできないからなー。

○デュマ『ダルタニャン物語』の第二部『二十年後』を読んでいる。ルイ13世とリシュリューは既に亡く、マザランがルイ14世を補佐して権勢を握っている時代が舞台。冒頭は歴史描写が続いてちょっと読みにくいが、しばらく我慢したらいつものデュマらしく読ませてくれる内容になった。マザラン憎しの感情のせいか、前篇の敵役リシュリューをみんな揃って礼賛しているのが面白い。

○今月の新刊と復刊の、レッシング『エミーリア・ガロッティ ミス・サラ・サンプソン』、バルザック『絶対の探求』、イーガン『ひとりっ子』を購入。

2006/12/16:カルヴィーノ『くもの巣の小道』の感想をアップ

○気力減退中。そんなことを言っている場合ではないのが分かっているために、余計にやる気が出てこない。

2006/12/11:ホフマン『ブランビラ王女』の感想をアップ

○いつものホフマンですね。たいへん結構な作品でございました。
 ……あれだな。ちくま文庫には「ホフマン全集」の刊行を頼みたい。今のところ全集でしか読めない『ちびのツァッヒェス』や『蚤の親方』が読みたいのだよ私は。そう思ってるのは私だけではないはず。
 だいたいだな、なんでこうも日本じゃロマン派小説家の知名度が低いんだ(突然激してドン、と机を叩く)! どいつも(あ、洒落じゃないからね)こいつも読むのはゲーテ、マン、ヘッセ。ゲーテ、マン、ヘッセばかり! けっ。三人束になってもホフマンの足元にも及ばないね(敢えて大胆に言ってみよう)。ホフマンに肩を並べることができる作家なんて、せいぜいブルガーコフくらいのもんさ(この人も実力のわりに無名だよなあ)。――とにかく皆さん、ホフマンのすごさをもっと知るべきだと思います。

○さて、岩波文庫の来年二月の復刊がなんだか物凄い件について語ろうか。
 冊数がまず四十冊を超えている上、ジャンルも多岐にわたり、しかも古書店でなかなか見かけないタイトルが揃ってる。創設八十周年を迎えて、岩波書店かなりやる気になっていると見える。すばらしいことだ。
 赤帯の目玉は、やっぱりフローベールの未完の大作『プヴァールとペキュシェ』三巻だろうな。それ以外にもツルゲーネフ『貴族の巣』、モンテスキュー『ペルシア人の手紙』、スコット『湖の麗人』など有名作家の無名作品から、ヒュルスホフ、レスコーフ、ダヌンツィオなどあまり有名でない作家まで、珍しくも面白そうな作品がずらり。外国文学の範疇かどうかは知らないが、アイヌ叙事詩『ユーカラ』も気になる。

2006/12/5:ペレーヴィン『恐怖の兜』の感想をアップ

○この「新・世界の神話」シリーズ、前にウィンターソンの『永遠を背負う男』とアトウッドの『ぺネロピアド』を読んだときは、どうも作者の実力が発揮しきれてない気がしていた。どうも、元ネタの神話にとらわれすぎて、オリジナルの要素が少ない印象で。それだから、この作品のこともちと心配していたんだが、さすがペレーヴィン、一味違う。
 しかし気に入らないのは、「世界の神話」をうたいつつ、みんな揃ってギリシャ神話で書いてることだな。どうせなら自分のところの神話でやって欲しい。ギリシャ神話はギリシャの作家に書かせればいいじゃないか。

○フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』読了。村上春樹翻訳ライブラリー。感想は後日。

○ビュトール『時間割』購入。

2006/12/3:自作の掌編小説集「現代子不語」に二篇追加

○卒論が書けないので志怪小説を書いた。なにやってんだ。
 新たに追加した第四話に登場したイチイは萌えだと思っていたのに、サークルで意見を聞いたら誰も同意してくれなかった。無念。

○ムアコック「永遠の戦士エルリック」の第五巻『夢盗人の娘』を読了。前半の第二次大戦直前を描いた場面はやや退屈だったけれど、エルリックの幻影が登場するあたりから面白くなってきた。第一巻、第二巻のあたりと比べると描写の密度といい語りの技術といい、格段に洗練されてきているなあ。残りの六巻、七巻にも期待。

○ペレーヴィン『恐怖の兜』購入。……うむ、こりゃ『電車男』以後の小説だな。細かいことは読み終わってから述べるとして……それにしても凄いのは、作者近影の怪しさ爆発っぷり。最初に本を開いたときは太巻きをくわえてるようにしか見えなかった。ひょっとして、これがコイーバなのか? サングラスを外したと思ったら、こんなものをくわえて写真に写るとは――さすがペレーヴィン。天才は違うぜ。

2006/12/2:現代の作家・書評ページで中井英夫を紹介、『虚無への供物』の感想をアップ

○どうでも良い話。この小説の主人公格の一人である女探偵奈々村久生のせりふ回しは、なんか既視感があるなーと思っていたのだけれど、どうも涼宮ハルヒのせりふ回しに似ている気がする。強引・豪快・荒っぽさとか、男の主人公を振り回してるところとか、ちょっとオタクっぽいところとか(亜利夫のことを”アリョーシャ”なんてあだ名で呼んでいる時点でオタク確定でしょう)。やや時代がかってるところを除けばハルヒそのままかもしれない。

○文芸サークルの会合のあと、Kさんと渋沢庚さんとともに猫又文庫に行き、渋沢さんにあおられてゼラズニイ『ロードマークス』とカウパー『クローン』を購入。2000円也。ディドロの新刊のために残しておいたお金を使ってしまったよ。

○今年の下半期は翻訳文学の物凄い出版ラッシュだったけれど、12月の新刊もそのトリに相応しいラインナップ。まもなくカルヴィーノとビュトールが刊行され、中旬はレッシング、イーガン、復刊のバルザック、ラファティと続々登場、キシュ、バーンズとつないで、国書の朱天心、レム(今度こそ……!)でトドメを刺す、と。

○今年も残り一箇月を切ったわけだが……やべえよ卒論ぜんぜん書けてねえよどうしよう。

2006/11/29:ラファティ『イースターワインに到着』の感想をアップ

○私の本棚にある一番高い本の一つであり、一番高い文庫本であるところの『イースターワインに到着』を読了。『悪魔は死んだ』ほど分からなくはなかろうと高をくくっていたら、もっと難解だった(汗)。再読予定リスト入り。

○岩波文庫、秋の一括復刊のディドロ『ダランベールの夢』とカンパネッラ『太陽の都』をマナハウスで購入。それとブックオフで井上ひさし『吉里吉里人』、中井英夫『虚無への供物』、柴村仁『我が家のお稲荷さま』を購入。
 で、『虚無への供物』を読み始めているんだが、なかなか凄い。うむ、ミステリの三大奇書と言われるわけだ。

2006/11/25:ゴーチエ『モーパン嬢』の感想をアップ

○『モーパン嬢』読了。いや、素晴らしく楽しい読み物だったね。書簡体と作者視点、戯曲の三種類の語りを交えるというやりかたは、現代文学に慣れた身からしてみれば大して斬新な手法じゃないかもしれないが、「序文」は当時のロマン派の若手作家たちの熱い空気を伝えてくれるし、華麗で艶っぽい、そしてやや軽薄な場面の数々も読んでいて心楽しかった。まァ、どう考えても文学の主流にはなれない作品・作家だろうけど、でもそれが良いんだよね。
 これで19世紀文学100篇紹介達成。100冊目に相応しい作品だったな。

2006/11/22:シェイクスピア『お気に召すまま』の感想をアップ

○と言うわけで(どういうわけかはすぐ下を参照)久々のシェイクスピア。すてきな作品だった。
 『モーパン嬢』、作中にこの劇を演じる場面があるってだけじゃなく、思想的なものもかなりこの劇から影響を受けている感じがする。シェイクスピアから『お気に召すまま』一作を選ぶというのはかなりマイナーな趣味にも思えたけれど、さすがゴーチエ先生、選択眼は確かだ。

2006/11/21:20世紀の作家・書評ページでロープシンを紹介、『蒼ざめた馬』の感想をアップ

○今月買った岩波の新刊2冊のうち、ゴーチエ『モーパン嬢(下)』を先に読むつもりで、実際読んでいた。ところが困ったことに、途中に登場人物たちがシェイクスピアの『お気に召すまま』を演じるというくだりがあるのだけれど、そこで「君も気が向いたら読んでみてくれ。ここからは君が読んだものとして話を進める云々」と主人公に宣告されてしまったのである。仕方ないので『モーパン嬢』は一時中断して『蒼ざめた馬』を先に片付けることにし、その間に『お気に召すまま』を買いに走ったわけだ。
 というわけで、次は『お気に召すまま』を読む。シェイクスピアを読むのは随分久しぶりだ。

2006/11/19:ガルシア=マルケス『コレラの時代の愛』の感想をアップ

2006/11/16:今日の更新はありません。

○ガルシア・マルケス『コレラの時代の愛』読書中。後半に入ったところ。

○京都SFフェスティヴァルで発表になったという国書刊行会の「未来の文学」シリーズ第三期のラインナップは、ネットで調べたところ、
 ジーン・ウルフ『ジーン・ウルフの暦』
 R・A・ラファティ『第四の館』
 ジャック・ヴァンス『奇跡なすものたち』
 ジョン・クロウリー『古代の遺跡』
 ジョン・スラデック『ミュラーフォッカー効果』
 サミュエル・R・ディレイニー『ドリフトグラス』
 さらにアンソロジーとして、伊藤典夫編『ヒトラーが描いた薔薇』、若島正編(内容未定の模様)の二冊
 以上8冊とのこと。期待通りラファティが入って嬉しい限りだ。スラデックもちょっと気になる。
 そうそう、国書といえば、来月の刊行予定にレム『大失敗』のほか朱天心『荒人手記』も入っている。こちらも期待(ところで、SFファンの人たちには、「新しい台湾の文学」に『張系国SF小説集』が入ることが知られてないのだろうか。某巨大掲示板SF板の国書スレなんかを見ていても、全く言及されないのだが……うむ、そもそも、「新しい台湾の文学」シリーズ自体がマイナーだものなあ)。

○古龍『陸小鳳伝奇3 決戦前後』、『チャペック戯曲全集』、馮夢龍『警世通言』を購入。古龍はさっそく読み終わったが、前巻・前々巻以上のとんでもない勢いととんでもな結末にまずまず満足。第四巻の刊行は来年かな。楽しみ。
 さて、明日は岩波新刊のゴーチエとロープシンを買わなければ。

2006/11/12:ゾラ『プラッサンの征服』の感想をアップ

○叢書読破もだいぶ進んで、残るところあと8冊。次は『ごった煮』をと思っているけど、『ルーゴン閣下』が早く出たらそっちを読む。

2006/11/11:今日の更新はありません。

○今日は注目の出版情報を。まずは12月の文庫発売一覧
 岩波の神っぷりが続く。翻訳本は三冊、『キケロー書簡集』はたぶん青帯だろうから、赤帯はレッシング『エミーリア・ガロッティ/ミス・サラ・サンプソン』と『ペトラルカ=ボッカッチョ往復書簡集』の2冊だな。
 河出のビュトール『時間割』、ちくまのカルヴィーノ『くもの巣の小道』刊行も、ともに絶版で入手困難になっていただけにナイスな仕事。光文社の古典新訳文庫はワイルド『ドリアン・グレイ』。あとはハヤカワのイーガン短篇集『ひとりっ子』、新潮のオースター『ミスター・ヴァーディゴ』が海外小説では注目作。私としては、レッシング、ビュトール、カルヴィーノ、イーガンの四冊は買いたい。

○サンリオSF文庫の中でも特Aランクのレア本、ディキンスン『キングとジョーカー』が今月下旬に扶桑社文庫で復刊するらしい。10000円超の値段がつくのが当たり前のこの本が880円で買えるようになる。

○来年が創立80周年となる岩波書店だが、それを記念して岩波文庫の創刊書目23冊を復刊するとのこと。その書目を見ると、今でも人気のある作家が並んでいる中に、ストリンドベリが2冊入っているのが目立つ。大正〜昭和初期のストリンドベリ人気がいかに熱烈だったか垣間見える気がする。今だったら海外文学8冊の中にストリンドベリを2冊も入れるなんて考えられないよなあ。

2006/11/9:現代の作家・書評ページで大江健三郎を紹介、『同時代ゲーム』の感想をアップ

○(途中でライトノベルに浮気したりしたせいもあって)読むのに時間はかかったけど面白かった。何をおいてもこの想像力は並じゃない。とりあえず私の脳内の「凄い作家リスト」に大江健三郎を入れておこう。次に読むなら『ピンチランナー調書』かな。

○最近買った本。村上春樹『ねじまき鳥クロニクル 第三部』と『海辺のカフカ』上下巻、谷川流『涼宮ハルヒの憤慨』と『ボクのセカイをまもるヒト』既刊三冊、ムアコック『夢盗人の娘』、フィッツジェラルド『グレード・ギャツビー』、ユイスマンス『さかしま』。これだけ買っても谷川流しか読めてないのは言うまでもない(爆)。
 『涼宮ハルヒ』シリーズを最新刊まで読んだついでに手を出してみた『ボクのセカイをまもるヒト』は、これでもかと言わんばかりのベタな設定とメタな語りが楽しい小説だが、思わせぶりなセリフが多く、この先どういう方向に進んでいくかは予測がつかない。続刊に期待したいところだ。

2006/11/4:現代の作家・書評ページで浅井ラボを紹介、『TOY JOY POP』の感想をアップ

○というわけで、別に無理矢理読まされたわけではないけれども、皓月さんに掲示板で紹介されたこの本をさくさく読了。あとがきに「スナック感覚で読んでください」とか書いてあるけど、本気なのか韜晦なのかちと判断がつきかねるな。

○猫又文庫でリンゼイ『アルクトゥールスへの旅』(サンリオSF文庫)を800円でゲット。いえい。あと、ブックオフでグラス『ブリキの太鼓 第一部』、大江健三郎『ピンチランナー調書』、高野和『七姫物語』を購入。

2006/11/1:今日の更新はありません。

○大江健三郎『同時代ゲーム』を読書中。

○早くもゾラ『プラッサンの征服』が出ていたのでジュンク堂へ行って買ってきた。あとがきによると『ルーゴン閣下』の翻訳も順調に進行中とのことなので、叢書20巻が全部読める日もいよいよ近くなってきたわけだ。

○今月中旬に開かれる京都SFフェスティヴァル2006で国書刊行会の「未来の文学」シリーズ第三期のラインナップが発表されるとのこと。気になるのはもちろん、ラファティがあるかないかだな。『アーキペラゴ』が入っていたら踊る(あとキース・ロバーツもね)。

○復刊ドットコムがリニューアルした模様。これで復刊活動が活発になれば良いんだけど……。

2006/10/31:19世紀の作家・書評ページでゲオルグ・ビューヒナーを紹介、『レンツ』『ヴォイツェク』『ダントンの死』の感想をアップ

○これで岩波文庫赤帯の新刊三冊を読了。パヴェーゼはあんまり好みじゃないが、ゴーチエ『モーパン嬢』は非常に楽しい読み物だし、ビューヒナーの迫力ある文章も一見の価値ありだ。

○で、11月も岩波文庫はすごい。またしても四冊全部翻訳で赤帯が三冊である。ゴーチエの続刊のほか、ガルシン、アーヴィングという選択も渋い。岩波現代文庫のロープシン『蒼ざめた馬』も面白そうだ(この作品だったら、岩波現代文庫より岩波文庫に入るほうが時代的には合ってる気もするが。これより新しい『静かなドン』とかも岩波文庫に入っていることだし……)。
 岩波文庫の秋の一括復刊は青帯中心のラインナップ。私としては、ディドロ『ダランベールの夢』とカンパネッラ『太陽の都』を買えばいいかな、と。
 ディドロといえば白水社から長篇小説『運命論者ジャックとその主人』も出る。
 何より嬉しいのは日本初訳となるゾラ『プラッサンの征服』と待ちに待った『チャペック戯曲全集』だな。ディドロ、ゾラ、チャペックの単行本三冊で一万円は軽く超えてしまうけれど、それだけの価値はありそうだ。

○今日、栄へ行ってみたら、紀伊国屋書店が閉店していてビックリした。9/30に閉店したらしい。んむ、む……それでなくても最近いろんな書店で文芸書コーナーが縮小されていて寂しく思っていたのに、今度は書店そのものが無くなるとは……。

2006/10/26:20世紀の作家・書評ページでチェザーレ・パヴェーゼを紹介、『美しい夏』の感想をアップ

○写実主義っぽいまともな小説を読んだのはすごく久しぶりな気がする。そして結論、やっぱり青春小説は合わない。特に20世紀前半に書かれたのはみんなダメだ。19世紀の青春小説寄りな作品(「シルヴィ」とか『オブローモフ』とか)はけっこう楽しめるのに何でかね。
 んー、一つには、幻滅や挫折の方向性が違う、というのがある気がする。

○筑摩書房のウェブサイトで12月刊行の近刊本が公開されている。それを見ると、文庫近刊にカルヴィーノ『くもの巣の小道』が! これで文庫で読めるカルヴィーノ作品がまた増える。3ヶ月間海外文学無しで(俺の脳内では)下落傾向にあった筑摩株を一気に上昇させてくれた。

○サークルの友人Kから「栄生のブックオフでバラードの『クラッシュ』が105円で投げ売りされてるから救出してきてくれ」との指令を受ける。版元倒産のため大好評絶版中の『クラッシュ』が105円で手に入るとなれば、私にも否やがあろうはずもない。というわけで、早速買ってきた。
 それから近鉄名駅の星野書店へ寄って、皓月さんから勧められた(のか?)浅井ラボ『TOY JOY POP』と、ついでに谷川流『涼宮ハルヒの陰謀』を買った。谷川流については、『ボクのセカイを守るヒト』がちょっと気になったりしている。いい評判を聞かないから尚更。

2006/10/24:今日の更新はありません。

○ゴーチエ『モーパン嬢(上)』読了。作者24歳のときの作ということで、随所に若々しい熱っぽさがあってよろしい(偉そうにそういうオマエは何歳だ、と言われれば反論できないですが)。特に序文は、当時新興のロマン派と旧来の古典派との対立の激しさを物語っていて面白い。退廃的な主人公を扱いながら、作品としてどこか健康な感じなのは作者の性質によるものか。来月発売の下巻が楽しみ。

○ムージル、ブッツァーティ、シュティフターなど、地味ながらなかなか良い本を出していた松籟社だが、12月から「東欧の想像力」というシリーズで東欧の現代文学を刊行するらしい。第一回配本はセルビアの作家ダニロ・キシュ『砂時計』、第二回配本(来年の11月ですが……)はチェコのボフミル・フラバル『あまりにも騒がしい孤独』とのこと。まずはキシュに期待。
 あと論創社ウェブサイトの近刊予告によると、本邦初訳のゾラ『プラッサンの征服』は11月刊行のよし。初期の傑作といわれる『プラッサン』がとうとう読めるようになる。ありがたい。

 今月はゴーチエにマルケスにマフフーズ、来月はゾラにディドロにペレーヴィン、12月はラファティ、キシュ、バーンズなど……今年の暮れの翻訳本は話題に事欠かなくなりそうだな。これで遅れに遅れているレムやナイポールあたりが出た日には、もう嬉しい悲鳴どころか気絶してしまうかもしれない。

2006/10/23:16・17世紀の作家・書評ページでシラノ・ド・ベルジュラックを紹介、『日月両世界旅行記』の感想をアップ

○『ガリヴァー旅行記』についで『日月両世界旅行記』という、この適切な並び方。個人的には『日月』のほうが好みだ。理屈っぽいのが好きな人は楽しめるはず。

○ブックオフにてプリースト『逆転世界』(奇想で名高い)、トールキン『指輪物語』の7〜9巻(読むあてもないのに全巻揃えちまった)、武田泰淳『十三妹』(和製武侠小説の最初のもの)、古橋秀之『タツモリ家の食卓』3巻(すっかりお気に入り作家となっている)を購入。1025円。

○掲示板のスパム広告がいい加減に鬱陶しくなってきたので、対策のとれる掲示板に取り替えようかなと計画中。

2006/10/21:今日の更新はありません。

○大学が始まるとまともに睡眠時間を取れない件について。
 ……自業自得だけどね。

 シラノ・ド・ベルジュラック『日月両世界旅行記』読書中。あれだ、ウンベルト・エーコの『前日島』が好きな人はきっとはまる。

○買い物。19日、生協の文庫フェア(15%オフは大きいっすよ)を機会にゴーチエ『モーパン嬢(上)』、パヴェーゼ『美しい夏』、ビューヒナー『ヴォイツェク ダントンの死 レンツ』、フォースター『果てしない旅』上下の岩波文庫の新刊五冊と、谷川流『涼宮ハルヒの動揺』を購入。

青心社のウェブサイトによると、ラファティの短篇集『子供たちの午後』が12月に復刊するとのこと。ラファティの訳本としては特に入手困難になっていたものの一つだし、これは買わんといかんな。これが入手できれば、残るは『どろぼう熊の惑星』と『トマス・モアの大冒険』だけ。いっそこの機会にそろえてしまうか。

2006/10/17:18世紀の作家・書評ページでジョナサン・スウィフトを紹介、『ガリヴァー旅行記』の感想をアップ

○アルベール・コーエンとかジャン・パウルとか、色んな本に手を出してみたものの、どうもここしばらく集中して本を読めなかったので、ひとつ大古典でもと思って読んでみた次第。文章自体は平易なので、その点コーエンやジャン・パウルよりは入っていきやすかった。ちと反りのあわない本ではあったけれど……。
 コーエンもジャン・パウルも面白いんだけど、瑣末事の描写が多いのと文章が華美なのとで寝ぼけ頭には酷なものがある。

○日雇いのバイトに行ってみた。やはり私は肉体労働には向いてないらしい。背中の筋肉が恐ろしく痛い……。しかし、とりあえず今月の岩波文庫を買う金はできた。

2006/10/12:今日の更新はありません。

2006年ノーベル文学賞
 今年のノーベル文学賞は下馬評が高かったオルハン・パムクが順当に受賞。祝。いい作家だから、これで日本での知名度が上がり、読者が増えて、今まで以上に翻訳が進むと嬉しい(ついでに値段が下がってくれればもっと嬉しい)。『白い城』『黒の書』あたりが読みたいなあと思いつつ。

文庫発売一覧
 このところ私の脳内で株価急騰中の岩波、来月も絶好調の赤帯三冊+現代文庫で海外文学一冊。ゴーチエの下巻が早速出るのも嬉しいし、ワシントン・アーヴィングという選択も渋くてよい。ガルシンは古本屋で入手済みなのでどちらでもいいけど。現代文庫のロープシン『蒼ざめた馬』も気になる。確か、この人はロシア革命にも参加していたはず(メンシェヴィキだったかエスエルだったか)。
 あと古典的な作品としては、例の光文社の新訳文庫と、河出文庫のツヴァイクくらいかねえ。ちくまが三か月連続で海外文学無しなのはがっかりだ。

 河出といえば、これまで見落としていたけれど、今月マフフーズ『バイナル・カスライン』が復刊される。追悼復刊ということかな。

○大学生協でカフカ『掟の問題』購入。白水uブックスのカフカ・コレクションはこれにて完結と。それとかねてから気になっていたジャン・パウルの『五級教師フィクスラインの生活』をネット古書店で購入した。

2006/10/8:金庸『神G剣侠』の感想をアップ

○これで射G三部作は二作目まで読了。三部作の完結編『倚天屠龍記』は文庫化されるのかなあ。できれば来月からでも文庫化を始めて欲しいところだが。

2006/10/7:古橋秀之『ブラックロッド』『ブラッドジャケット』『ブライトライツ・ホーリーランド』の感想をアップ

○度肝を抜かれた。まさか電撃文庫に度肝を抜かれるとは思っていなかったわけだが。
 描写、風刺、筋運び、キャラ造型、世界設計の独創性――どれをとっても一級品。特に『ブライトライツ・ホーリーランド』は今まで読んだライトノベルレーベルの中では文句なしに最高傑作だと思う。今までに読んだSF、というくくりでも五指に入りそうだ。
 が、どうも売れていないらしい。実際、2000年刊行の『ブライトライツ・ホーリーランド』はいまなお初版のままである。――そこな貴方、何をぐずぐずしているのですか。今すぐ本屋に行くか、ネット書店に注文しなさい。

○今月は注目したい小説がたくさん出るものだから、古本を買うのは控えようと思っていたのに、東別院のブックオフに行ったらつい買ってしまった。11冊も。
 内訳は――トールキン『指輪物語』が6冊目まで(なんと1冊50円だ!)。テッド・チャン『あなたの人生の物語』、マンディアルグ『黒い美術館』、大江健三郎『同時代ゲーム』、古橋秀之『超妹大戦シスマゲドン(1)』、海羽超史郎『天剣王器』。合計1550円。
 チャンは現代SF作家の中では評価が高いようだし、マンディアルグは品切れ模様。古橋は例の三部作を読んで興奮していたところだったから。海羽超史郎は、名大文芸サークル創設者の白翁さんが一時ファンサイトを作っていたので、前からちょっと読んでみたいと思っていた。んむ、良い買い物ができた、かな。
 古橋の『超妹大戦』は、ケイオス・ヘキサ三部作の衝撃を無かったことにしてしまいそうなほどの威力に苦笑しっぱなしだった(まあ擬音だらけなのもページの下半分が真っ白なのもわざとやってるんだろうけど)。続刊を読むかは未定。

2006/10/4:ガルシア・マルケス『我が悲しき娼婦たちの思い出』の感想をアップ

○『選ばれた女』は時間がかかりそうなので、こちらを先に片付けた。楽しいけど軽いね。その軽さが魅力でもあるんだが……どちらかと言えば、前作『愛その他の悪霊について』のほうがお薦め。値段も百円安いし。

○読書の秋に相応しく、今月は注目したい書籍が多い。岩波の新刊のゴーチエ、ビューヒナー、パヴェーゼと復刊のフォースター、この四作五冊は買いだ。新潮社のマルケス『コレラの時代の愛』も期待大。白水社のカフカ・コレクションも完結。それと武侠小説二冊、金庸『神G剣侠』文庫版の完結と、古龍『陸小鳳伝奇』の続刊も楽しみ。
 既刊でこのごろ気になっているのは、論創社のシリーズ「ドイツ現代戯曲選30」。「ドイツ」で「現代」で「戯曲」、どう考えても売れそうに無い。と言うか、本屋で見たことが無い(が、刊行は極めて順調に進んでいるようで、既に22巻出ている)。実際Amazonの売上ランキングを見ると60万位とかの本ばかり。だから気になる。
 このシリーズについてはこちらのサイトに詳しい紹介がある。個人的な好みとしては、『前と後』『女たち、戦争、悦楽の劇』『文学盲者たち』『座長ブルスコン』あたりが気になるかな。それと、2004年にノーベル文学賞をとったイェリネクは一度読んでみたいと思っていた所だし、このシリーズに入っている『汝、気にすることなかれ』を手にとってみるのも良いかも。
 早川書房からハヤカワ演劇文庫が創刊されたこともあるし、現代戯曲もちょいちょいと読んでいきたい。

○そういえばいつの間にかノーベル文学賞の季節だなあ。下馬評ではオルハン・パムクが有利なようだけど、この人はこれからの作家って感じもある。ただ、去年はかなり高齢のピンターが受賞してるから、今年は逆に若いパムクに、ってこともありうるのかも。村上春樹という噂もあるね。世界的な評価からすれば、十分ありうるはず。
 個人的には未訳作品の多いカダレとかパヴィチにとってほしい。

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