【科目サブタイトル】
ナザレのイエスを学ぶ
【講義概要】イエスを神の子キリスト(メシア)とするキリスト教信仰においては、歴史的人物イエスがその出発点となっている。本講では、イエスの時代背景、聖書学の方法論の発展を検討した後、イエスという人物がどのような人物であり、何を福音として語り、どのような行動を取り、どのような運命を辿ったかを批判的に検討する。言葉伝承・物語伝承の吟味が方法論となる。イエスをキリストとする信仰の史的原点を徹底的に追求したい。
【曜限】
火/2
【評価基準 】
出席状況 (30%)
春学期学期末試験(定期試験期間中) (70%)
その他 :単位取得には、授業数の三分の二以上の出席を前提とする
【テキスト 】
下記のテキストは講義中には用いないが、本講で扱う内容の大部分を解説している
【テキスト1 】
著者 :岩島忠彦 書名 :『イエスとその福音』 出版社 :教友社、05年7月
【参考書】
キリスト論全体の日本語における代表的教科書。理解のために参照することを勧める
【参考書T】
著者 :百瀬文晃 書名 : 『イエス・キリストを学ぶ』 出版社 :サンパウロ、
【必要な外国語】
なし
【他学部・他学科生の受講】
可
【ホームページURL】
http://homepage3.nifty.com/t-iwasi/
【授業計画】
1 本稿の目的。キリスト教信仰にとってのイエス・キリストの意義について。歴史的人物イエスを神の子とするキリスト教の教説を順次検討する。
2 古代イスラエルの歴史(王国成立まで)。イエスの原点であるユダヤ民族の歴史を主としてその神信仰の性格を中心として検討する。
3 古代イスラエルの歴史(バビロニア捕囚から第二次ユダヤ戦争まで)。ユダヤ教が他国支配の中で、未来志向となり、神の救済を待望するようになる過程を扱う。
4 イエス時代の社会・経済・宗教・思想的背景。イエスの時代背景においては、支配・被支配者層の分離が激しくなってきている。また、黙示思想・メシア待望が強くなってきている。
5 史的イエスの問題史。三時期に分けられる研究しを扱う。ブルトマン等の聖書学の発展を紹介する。
6 現代における史的イエス研究。第三探求の時代に入っている現代、今日のイエス研究が、終末論的イエス像と知恵文学的イエス像とに動向が分かれていることを説明する。
7 ナザレのイエス。イエスの幼年物語(マタイ、ルカの各1〜2章)を中心に、イエスの活動開始までの期間について考察する。
8 イエスと洗礼者ヨハネとの出会い。ヨハネの終末的使信との出会いにより、イエスは彼の福音の根幹に目ざめたものと思われる。ヨハネがイエスに与えた影響を考える。
9 神の国の福音。イエスが独自の福音をといたことについて、その周辺事情、神の国のたとえを検討することをもって、彼の意図する「神の国」について理解を深める。
10 イエスの父である神。イエスはセカンドハンドではない独自の神関係を有していた。この点について「アバ経験」を中心に検討する。
11 山上の説教。イエスの「教え」の集約と見られるマタイ版を検討、特に父である神への信頼と隣人愛の教えと の密接な相互関係を検討する。
12 奇跡物語の分析。新約聖書によると、奇跡は神の国のしるしとされている。その社会学的意義と神学的意義を分析する。
13 弱者との連帯。イエスが主として関わった地の民について、徴税人や遊女に関わる物語伝承を検討しながら、彼の福音との本質的関係を吟味する。
14 論争物語。イエスの宣教にあたって、主としてファリサイ人との律法論争が多く見られる。これらのテキストを 検討することによって、両者の信仰理解の根本的相違を明らかにする。
15 イエスの運命。イエスの宣教活動は、成功期と挫折期に分けられる。イエスが捕縛・受難・死へと追いやられ た過程を、彼の使命感との関連で考察する。