■2009年度上智大学シラバス 神学部 神学科

→2009年度上智大学(大学院) シラバス 神学研究科  神学専攻

→2009年度上智大学(大学院) シラバス 神学研究科  組織神学専攻

2009年度上智大学シラバス 神学部 神学科
イエス・キリストT (春学期)


【科目サブタイトル】
ナザレのイエスを学ぶ

【講義概要】イエスを神の子キリスト(メシア)とするキリスト教信仰においては、歴史的人物イエスがその出発点となっている。本講では、イエスの時代背景、聖書学の方法論の発展を検討した後、イエスという人物がどのような人物であり、何を福音として語り、どのような行動を取り、どのような運命を辿ったかを批判的に検討する。言葉伝承・物語伝承の吟味が方法論となる。イエスをキリストとする信仰の史的原点を徹底的に追求したい。

【曜限】
火/2

【評価基準 】
出席状況 (30%)
春学期学期末試験(定期試験期間中) (70%)
その他 :単位取得には、授業数の三分の二以上の出席を前提とする

【テキスト 】
下記のテキストは講義中には用いないが、本講で扱う内容の大部分を解説している
【テキスト1 】
著者 :岩島忠彦    書名 :『イエスとその福音』   出版社 :教友社、05年7月

【参考書】
キリスト論全体の日本語における代表的教科書。理解のために参照することを勧める
【参考書T】
著者 :百瀬文晃   書名 : 『イエス・キリストを学ぶ』   出版社 :サンパウロ、

【必要な外国語】
なし

【他学部・他学科生の受講】


【ホームページURL】

http://homepage3.nifty.com/t-iwasi/

【授業計画】
1  本稿の目的。キリスト教信仰にとってのイエス・キリストの意義について。歴史的人物イエスを神の子とするキリスト教の教説を順次検討する。 
2  古代イスラエルの歴史(王国成立まで)。イエスの原点であるユダヤ民族の歴史を主としてその神信仰の性格を中心として検討する。
3  古代イスラエルの歴史(バビロニア捕囚から第二次ユダヤ戦争まで)。ユダヤ教が他国支配の中で、未来志向となり、神の救済を待望するようになる過程を扱う。   
4  イエス時代の社会・経済・宗教・思想的背景。イエスの時代背景においては、支配・被支配者層の分離が激しくなってきている。また、黙示思想・メシア待望が強くなってきている。
5  史的イエスの問題史。三時期に分けられる研究しを扱う。ブルトマン等の聖書学の発展を紹介する。
6  現代における史的イエス研究。第三探求の時代に入っている現代、今日のイエス研究が、終末論的イエス像と知恵文学的イエス像とに動向が分かれていることを説明する。
7  ナザレのイエス。イエスの幼年物語(マタイ、ルカの各1〜2章)を中心に、イエスの活動開始までの期間について考察する。
8  イエスと洗礼者ヨハネとの出会い。ヨハネの終末的使信との出会いにより、イエスは彼の福音の根幹に目ざめたものと思われる。ヨハネがイエスに与えた影響を考える。
9  神の国の福音。イエスが独自の福音をといたことについて、その周辺事情、神の国のたとえを検討することをもって、彼の意図する「神の国」について理解を深める。
10 イエスの父である神。イエスはセカンドハンドではない独自の神関係を有していた。この点について「アバ経験」を中心に検討する。
11 山上の説教。イエスの「教え」の集約と見られるマタイ版を検討、特に父である神への信頼と隣人愛の教えと の密接な相互関係を検討する。
12 奇跡物語の分析。新約聖書によると、奇跡は神の国のしるしとされている。その社会学的意義と神学的意義を分析する。
13 弱者との連帯。イエスが主として関わった地の民について、徴税人や遊女に関わる物語伝承を検討しながら、彼の福音との本質的関係を吟味する。

14 論争物語。イエスの宣教にあたって、主としてファリサイ人との律法論争が多く見られる。これらのテキストを 検討することによって、両者の信仰理解の根本的相違を明らかにする。
15 イエスの運命。イエスの宣教活動は、成功期と挫折期に分けられる。イエスが捕縛・受難・死へと追いやられ た過程を、彼の使命感との関連で考察する。

イエス・キリストU (秋学期)


【科目サブタイトル】
神の子信仰の発生と展開

【講義概要】
Tで学んだ「史的イエス」のアイデンティティをテーマとする。復活を契機にイエスをメシア・神の子・人の子とする新約聖書に現れたキリスト信仰を学ぶ。さらにそこに表われた根本的信仰が、異端の発生と共に教義として表明されていく過程を古代の教父・公会議を中心に学ぶ。なお、現代のキリスト論については時間的に余裕があれば扱う。

【曜限】
火/2

【評価基準 】
出席状況(30%)。秋学期末試験(定期試験期間中)(70%)
その他 :講義数の少なくとも三分の二の出席が単位取得の前提となる

【参考書1】
著者 :百瀬文晃   書名 : 『イエス・キリストを学ぶ』   出版社 :サンパウロ、

【必要な外国語】
なし

【他学部・他学科生の受講】


【授業計画】   
1 イエスの復活。キリストは復活し現れたというケリュグマからキリスト信仰は始まった。何があったのか、そこにどのような経験内容が秘められているかを検討する。
2 高挙の信仰。復活信仰は、キリストが神の許に挙げられたとの信仰表明としても示される。その相補的意義について説明する。
3 イエスの死の意義。弟子たちの復活経験をもってはじめて、イエスの受難と死にさまざまな解釈が加えられた。それらの意味することを検討する。
4  ケリュグマに見る神の子キリスト。パウロ以前にイエスはどのような者として信じられ宣教されていたかを検討 する。
5 パウロのキリスト理解とヨハネのキリスト理解。新約聖書が示す独自のキリスト信仰の特徴を比較分析する。
6  初期のキリスト論異端について。ユダヤ教的起源の養子説、ヘレニズム世界における仮現説における問題点 を指摘。使徒教父文書の性格をも検討する。
7 初期教父たちにおけるキリスト論の展開。ユスティノスを出発点としたロゴス・キリスト論の展開をオリゲネス・ テルトゥリアヌスに至るまで検討する。
8 アレイオスとアレイオス主義。キリスト論諸異端を総括する形で現れたアレイオスにおけるキリスト理解と彼以降のアレイオス主義者の考えの発展を検討する。
9 ニカイア公会議。キリストは神と「同一本質」とする、最初の重要なキリスト論教義の成立過程をニカイア信条 を中心に検討する。
10 三位一体の教義の成立。四世紀後半、聖霊の神性が問題視された。カパドキア三教父を経て、第一コンスタンティノポリス公会議において教義が成立した過程を検討する。
11 アレキサンドリア学派とアンティオキア学派の対立。その後、キリスト論はキリストの神性と人性がどのように一致するのかが論点となった。対照的な両学派の神学を比較する。

12 ネストリオス論争とエフェゾ公会議。アンティオキア学派の考えを集大成したネストリオスが公会議において異端と断じられた過程を追う。
13 カルケドン公会議の教義決定。神性と人性との位格的一致の教義を制定したことによって、キリスト論教義の 基本は決定した。この教義決定の過程を検討する。
14 第三コンスタンティノポリス公会議の修正。キリストには神の意志と人間の意志が働いているという教義を確定。単意説を異端とすることにより、福音のイエスの姿を回復する余地を残した。
15 現代神学におけるキリスト理解。教義を前提として、今日の内在論、歴史神学、十字架の神学、解放の神学等の観点からのキリスト理解の試みを紹介する。

教義学演習T (信仰と教義学) (春学期) 


【科目サブタイトル】
神とキリストについての信仰・神学・教理

【曜限】
火/4

【講義概要】
「信仰と教義学」と題して、教義神学各論を概観することを通して、キリスト教信仰と神学の基本的問題点と全体像を獲得することを目的とする。方法はA・E・マクグラス『キリスト教神学入門』(教文館)第三部の講読形式を取る。今年度はp.361-501を扱う予定。参加者は該当箇所について発表し、教員は内容について追加的説明をし、さらに質疑・討論をもって深める。神学の確実な基本を得るために2〜4年次生の参加を勧める。
  なお、成績評価は出席・発表・最後の感想文で総合評価する。

【評価基準】
出席状況 (30.0%) 授業参加 (40.0%)  レポート (30.0%)

【テキスト】
下記テキストは高価であるが購入するに値する。神学部研究室に若干部数備え付ける予定である
【テキスト1】  著書名:A・E・マクグラス   書名:キリスト教神学入門    出版社名:教文館
【参考書】
参考書1は、発表に際して参照すると役立つのではないかと思われる。
【参考書1】  著者名 :A・リチャードソン他(編集) 
         書名   :キリスト教神学事典        出版社:教文館
【参考書2】   著者名  :A・E・マクグラス
          書名   :キリスト教神学資料集 上   出版社:キリスト新聞社

【他学部受講可否】
 可

【授業計画】
1 導入。本稿の趣旨説明、文献の紹介、講読のスケジュールの確認、発表担当の分担などを行う。
2 神論@人格神について
3 神論A神は苦しむのか
4 神論B神の全能
5 神論C神の世界における行為(プロセス神学、シャルダンなど)
6 神論D神義論――神の善とこの世の悪の存在の問題
7 創造論@無からの創造
8 創造論A創造信仰と進化説
9 聖霊論 アウグスティヌスの聖霊理解を中心に
10 三位一体論@基礎的な教理展開
11 三位一体論A教理理解の類型
12 三位一体論B現代の三位一体神学の試み
13 キリスト論@啓示論と救済論との関係
14 キリスト論Aキリスト論的尊称の問題
15 キリスト論Bキリストの人格についての論争

司牧ケーススタディ   (秋学期) 


【科目サブタイトル】
信徒と司祭で築きあげる教会司牧宣教

【曜限】
火/4

【講義概要】
担当教員が、聖イグナチオ教会を中心に過去25年実践してきた教会司牧活動の経験に基づいて、教理講座のプログラム内容の紹介、実際のやり方、入門者への対応、秘跡執行(洗礼、ミサ、ゆるしの秘跡、病者の塗油)の意味と実践、その他の祭儀(結婚式、葬儀)、説教や黙想指導の行い方、霊操の基本精神等を順次取り上げ、検討する。従来聖職者の手にあった司牧宣教の業は、信徒の手に委ねられつつある。これまで司祭が行っていた事柄がどのような内容の使命であったかを具体的に理解し、信徒・司祭それぞれの将来の使命のために役立てることが、本講の目的である。できる限り実践的で役立つ情報を提供し、種々の疑問や問題点を検討・討議したい。受講者からは何かのテーマを選び、問題提起することが求められる。

【評価基準】
出席状況 (30.0%)  授業参加 (20.0%)  レポート (30.0%)  リアクションペーパー(20,0%)   その他  具体的成績評価方法は参加者との相談で決める。

【テキスト】
とくになし。資料・文献等についてはそのつど指定する

【参考書】
そのつど指定

【他学部受講可否】


【授業計画】
1 導入。本講の意図と進行について説明。参加者の役割分担についても話し合う
2 入門講座のプログラム紹介。キリスト教信仰を伝達する出発点をどこに取るのか
3 入門講座における旧約聖書の扱い
4 入門講座におけるイエス・キリストの提示のし方、および教会の意義についての説明
5 入門講座において教会生活、信仰生活についてどのような事柄を入信前に留意するか
6 教会におけるミサの中心的意義について
7 .ミサを共に体験し、具体的所作の意味を検証する
8 ゆるしの秘跡、病者の塗油、聖体奉仕者の役割、病人訪問などについて考える
9 結婚式、葬儀、祝別その他の祈り・祭儀について考える
10 黙想指導について。『霊操』の内容とそれが基本的に目指す事柄をテキストに沿って説明する
11 .黙想指導について、続き
12 日本のカトリック教会の未来について考える。データをもとに話し合い、現在どのような準備ができるかを検討する
13 信徒養成について。現在の実践例をもとにどのような方法が可能かを検討する