
<エネルギ問題> 米国カリフォルニア州の電力不足は今後に尾をひく深刻な問題になりそうである。文明の恩恵に浸りきった人たちにとって、家庭にしろ勤務先にしろ更には交通・通信など停電という事態はよほどの覚悟と準備なしには乗り切れない。就任早々この問題をつきつけられたブッシュ大統領は炭酸ガス抑制に関する京都議定書の履行などできないと言い出してヨーロッパ諸国を激昂させている。地球温暖化は21世紀に避けて通れない人類の課題だから、面積が広くても世界最大排出量の米国が知らん顔で通るはずがなく、これからボデイ・ブローのように大統領をさいなみ続けるだろう。また日本も中国も他人事ではない。チェルノブイリ発電所の大事故以来米国もヨーロッパも原子力発電所の新設を止めてしまっている。代替エネルギとして風力発電が流行りだしたが、これは地域的な優劣が大きくなおかつ量的には多寡が知れている。放射能汚染の危険管理は安易ではないが、有力な代替手段が技術的に確立するまで日本も含めてもう暫く原子力発電を積極的に継続しなければ、世界のエネルギ問題は早晩破綻するのではないか。またそのために如何に安全を確保するかのノーハウやプラクテイスを今のように一部の限られた関係者だけの秘密にしないで、インターネットなどで詳細に公開し部外者の絶えざる批判や提言に答えるようにしなければいけないと思う。その結果として電力料金の多少の値上げは利便性から見れば受けて立つべきだ。
<真言密教> まだ勉強中だが、空海(弘法大師)が日本へもたらした密教には他の仏教諸宗派とは異なるいくつかの特徴があるようだ。他の仏教では実在した釈迦牟尼という聖者の教えとするのに対して、密教は大日如来という永遠不滅の法身佛の教えで大乗仏教の発展の最終段階でインドに発生したという。現世を欲望に支配される苦と無常の世界と見て、そういう世界を厭離し如何なる欲望にも支配されない浄い(死後の)世界を求めるのが伝統的な(小乗)仏教だったのに対し、現世を肯定し世界および汝自身の中にある無限の宝を開発せよという大乗仏教の立場を取る。身体性を肯定し実践体験を重んじ仏と衆生との感応による即身成仏を唱える。強烈な生命力を説き、歓喜の歌を歌わせ、五彩(黄・白・赤・緑・青がそれぞれ地水火風空を表す)の世界を展げる。墨色の禅の世界とは対照的である。多くの仏たちが遊び戯れ、自ら楽しみ他人を救って自分も諸仏も大笑いするのが究極の境地だと言う。こういう力強く絢爛たる世界はとても魅力的だが、どうして日本ではその後宗派としての真言宗が盛んにならなかったのか。随いて行くには空海が偉すぎたのだろうか。チベット仏教は後期密教で、高地の峠には5色の旗(タルチョ)がひるがえり曼荼羅が珍重され、五体投地をしながら霊山をめぐる巡礼をする強烈な信仰が今も盛んである。
<電話セールス> 昼間かかってくる電話は90%がセールス電話である。頼みもしないのに売り込んでくる物件で興味を惹く案件は皆無と言ってよい。多いのは名も知らぬ商社の各種の投資案内、墓地取得の勧誘、建築資材の売り込みなどだ。軽量の屋根瓦を開発しましたなどと言う話が何件もかかってくる。こっちは住宅建設会社じゃあないんだ、ふざけるなと言いたくなる。「興味ありません」と事務的な冷たい声で答えると「そう云ってしまえばそれまでですが・・・」と粘るから、「では切ります」とやると流石にかけ直してくるケースはない。どこかで電話番号のデータベースを手に入れて片っ端からかけまくるのだろう。俗に千三つというが相手に需要があるのを知っての話ではないから、商談がまとまる確率はそれより低いと思うが、安くなったとはいえ電話代もただではないのに根気よくやるものだ。商売は信用なくして成り立たない事をどう考えているのだろう。個人情報保護法案が今国会に提出された。電話情報の流出防止は手遅れだろうが、これ以上迷惑度が増えたら、相手の電話番号の事前識別とか何らかの対策を樹てようかと考えている。

<女性作家> 「血脈」という長編を書き終えたという佐藤愛子をテレビで観る。そういえば最近の書店の一番目立つ所に置いてあるから、よく売れるのだろう。佐藤紅緑の娘で、自分の家族(主として尊属の方)は自分を含めて人から見ると随分変わっていると気が付き、それを筆に衣着せずに書いたようだ。私はまだ読んでいない。随分人知れず悩んだが、65歳を過ぎて人を欠陥のあるままに素直に認めることができるようになったのと、作中で自分のことを一人称でなく"愛子"と書くことで、身内を客観的に書ける気になったと述懐している。若い内は文をつい飾りたくなったが、今はいい文章とは正確に書くことだとつくづく思っているそうだ。出演している愛子さんは気張ることなくいい顔をしていた。折をみて読んでみようか。
<身体との対話> ここへきて足腰の筋肉の硬直度が増したことを自覚する。しなやかな立ち居振舞いは望むべくもない。脚の複数の筋でバランスをとることは今や困難で、脚は単に重力に抗して体重を支えるだけだから、歩行の際右腕で突く杖の身体バランス上の役割はますます重要になった。無理に右膝に力をこめたら膝上下の筋がガクッと降伏し、以後暫く家の中の歩行も痛くて思うに任せなくなった。自然に身体をかばうようになり散歩を1日休むと翌日歩行が楽になる。月1回通う血液内科の医者にはもうこれ以上出す薬はない、運動はほどほどにしなさいと宣告された。テレビでトレッキング紀行と称して普段ロクに歩かぬ女優を外国の自然の景観を餌に連日朝から晩まで引っ張りまわす番組がある。距離からすれば私の方は比べものにならないが、ああやって頑張っている人もいるのだから、こっちもサボっていたら申し訳ないと早朝歩いてみると限度内なら身体が応えてくれる。まあ甘やかさないで調子を尋ねながら鍛えればもう暫くはもちそうだ。
<グローバリゼーション> トーマス・フリードマンというNYタイムス記者著作の「レクサスとオリーブの木」(副題 グローバリゼーションの正体)という本を読んだ。冷戦が終了した世界を支配する原理は何かを難解な表現なしで、また様々な視点から取り上げた力作である。レクサスというのは最新型のトヨタの高級車でIT革命の世の中で手に入る最新の便益を象徴し、一方でオリーブの木というのは自分のアイデンテテイを与える家族や係累・民族、国家、宗教、生まれ育った故郷を象徴する。環境破壊や地球温暖化はレクサスの副産物だし、世界各地の民族紛争はオリーブの木をめぐる争いだ。21世紀の世界は地球上のすべての人類を否応なくグローバル・システムの中に巻き込み、レクサスとオリーブの木の格闘を演ずることになるというのだ。詳しい例証なしにこれだけの説明では分かりにくいが、著作を読み進むうちに現在世界で起こっている事象のほとんどがこのグローバリゼーションという波で説明できることを納得させられる。昔イランを旅行した時高速の自動車道路から離れた山すその徒歩道路に昔ながらの生活を送る現地の人を見たが、そういう環境は時と共に急速に縮小していく。
始めはなるほどと半ば感心していたが、やがて救いのない冷え冷えとした感覚に襲われる。NHKのテレビで「21世紀は大量失業者の時代か」という番組があったが、世の中はグローバリゼーションの流れに乗った少数の人たちの繁栄と、仕事がなく"役立たず"になった大多数の人たちの群れのあがきに分かれるという。そう言えばこの随筆で再三取り上げた住宅街を回る物売り(青竹売り)や電話セールスの空しさはどうだ。同じくNHKの最近の企画で「プロジェクトX」という苦境の中からチームを組んで一つの目的に向かって頑張りぬき成功した物語を連続紹介している。これらの多くは今では通用しない頑張れば何とかなった過去のよき時代の思い出話でしかない。昔は町内に沢山いた手技を職とする人たちが後継者のない中で皆消えていく中で、スーパーとコンビニとマクドナルド店だけが残っていく。
こういうグローバル化に対する反撥は世界各地で起こりつつある。大多数の人たちにとって未来に幸福は約束されていない。ではどのように人々は手を組んでどのように抵抗するか。私は悲観論はとりたくない。人類は智慧を持っている。

<四国霊場> お遍路さんの四国88寺巡りに関心があって資料を取り寄せてみた。本来なら暇はあるのだから自分で歩いてみればよいのだが、今のように脚の血行が悪くてはさすがに諦めざるを得ず、写真や文で現地を偲ぶしかない。
お大師さんの霊蹟巡りは第一番竺和山霊山寺を発して徳島県の23ヶ所、次いで高知県の16ヶ所、そして愛媛県の26ヶ所、最後に香川県23ヶ所の終点88番医王山大窪寺で四国を一巡して終わる。江戸時代の遍路絵図を見ると阿波・土佐・伊予・讃岐と昔の国名だが88ヶ所と始点・終点は全く変わっていない。強いて云えば弘法大師ゆかりの高野山宝亀院から発して紀伊水道を阿波へ渡海した人もいたようだ。四つの国(県)はそれぞれ発心・修業・菩提・涅槃の連なる4道場と称せられる。
遍路の創始は空海で、大日如来を宇宙の中心とする曼荼羅を真言密教として唐から招来したが、この精神を後継者達が室町時代に曼荼羅を模した遍路道として今の形に定着したらしい。遍路は"同行二人"と言う。見えない御大師さまと二人で歩くという意味で、気安くてよい話だ。
札所の寺には本堂と大師堂と奥の院があってこれを三位一体として本来はこの三ヶ所を巡るのが行道なのだが、奥の院は結構離れているケースもあり回りきれないことが多いらしい。
本尊は寺ごとに多様で主たるものだけ数えたら、薬師如来22寺・11面観音12寺・千手観音11寺・阿弥陀如来10寺・大日如来7寺・釈迦如来5寺・地蔵菩薩5寺・虚空蔵菩薩3寺・不動明王3寺といった具合である。空海が招来した大日如来が意外に少なくて、空海自身が納めた(まさか自分で彫ったのではないのだろうが)という薬師如来も何寺かある。仏教信仰の多神教性が明らかである。極論すれば本尊など誰でもよいのだ。大衆に分かりやすいことが大切。大師堂も別にあることだし。
<芸術家> 画家横尾忠則の近況。釈迦の涅槃像と、同じようなポーズだが魅惑たっぷりの裸女の人形を手に入れて以後、似たような寝た姿勢の人形を手当たり次第蒐集し始めた。街をタクシーで走っていて通りの店内にそれらしい物件を見かけると車を停めさせて買いに行き、サツマイモだった失敗談などはざらだ。
次には瀧の姿に魅力を感じ、世界中の瀧の写真1200余枚を集めて壁にビッシリ貼って眺めている。一口に1200枚というが、自分でやってみれば分かるが100枚の写真を集めるのだって大変な執念が要る。
今は夢で見た夜のY字路(暗い先はどうなっているか分からない)にヒントを得て、Y字路の入り口に立って二つの道路を覗き込むような絵を何枚も画いている。大きなキャンバスを室内や路上などに移動しては、写生ではなくそういう環境に刺激されて自分の頭に浮かんだイメージを熱心に画き込んで行く。本人は大マジメだが他人にはその値打ちがよく理解できない。絵を高く売ろうとか誰かに頼まれたとかいうのでなく、好きなことをやっているだけだと述べる。
私はこのような心の動きにすこぶる興味を覚える。当り前のすぐ先が読める事柄に満ちている現代に、他人に迷惑さえかけなければこのような生き方は人間としての魅力がある。
<中国> 政治的な問題はあまり扱いたくないが、最近の中国為政者の姿勢に反撥を感じて筆をとる。チベットの現状について2冊ばかり読んだが、素朴な生活を送る多数の民衆にとって中国当局の圧制に対する不満は日常考えることの半ばを超えているようだ。信仰心の強い彼らの崇敬するダライ・ラマは亡命して久しい。台湾に対しても恫喝を強め、中国のミサイル設備偵察の米空軍との接触事故は中国の強硬姿勢のためにまだ落着していないのは知っての通り。"新たな歴史教科書を作る会"が編集し最近韓国・中国にも配慮した検定を合格した中学教科書について、事実(?)を記載せよとしつこく圧力をかけてくる。李登輝前総裁が病院治療のために日本に入国したいという申請に難色を示した外務省は中国恐怖症(私も同感)と嘲られたが森首相が押切ってよかった。旧ソ連の独立抑圧は結局破綻した。中国も軍事力を前提にした抑え込みはいずれ無理が露呈するだろう。

<再生ファンド> 行き詰まりの感ある日本の経済問題について、遂に明るい希望のもてそうな提案が現れた。文芸春秋5月号の石原慎太郎と一橋綜合研究所の「甦れ日本!」という緊急提言である。公的資金を注ぎ込んでも増えるばかりの不良債権で、必要なリスクをふまえた優秀な技術力をもつ企業への投資ができない既存の銀行や郵便貯金はおいておき、新たに日本再生ファンドを創設し利子もつかず眠ったままの総額1350兆円とも云われる個人金融資産を引き出そうというのだ。日本人のものづくりへの新技術とそれを支える熱意・労力をサポートし、一方で過去の負債を清算するファンドである。
この企画が成功するためには提言にも述べているようないくつかの条件がある。ファンドの運営は民間主体でやる。投資先の資金運営方針についての詳しい情報開示、豊富なオプション、そして何よりも在来の官僚機構や金融機関の抵抗を排除する強力な政治力である。また当然だが投資する側にも従来の銀行預金とは異なるリスクを負担する覚悟がいる。まず現行制度のままでは更なる公的資金の投入を繰り返すばかりで、多くの人々が働き甲斐のない環境に押しこめられ、作為的なインフレあるいは高い消費税に苦しめられたりヘッジファンドなどに狙われ、人心が退廃するばかりの壊滅的な未来しかないことを認識し、新しく生まれる政府に全面的にこの新しい仕組みを支援させるような強力な国民の声を立ち上げなければいけない。前述の新事業、金融機関の抱える不良債権や持合株など良きものも悪しきものもすべて債券化して自由市場で売買できるようにして直接償却し、銀行も企業もその結果について責任をはっきりさせる。併せて適正な救済措置は果断に実行する。
理想的な形で提言を実現するための有形無形の障害は多いだろうが、現状の行き詰まりの程度がひどければひどいだけそれは改革の強い原動力になる。もう旧体制にからむ一切の政治家は退陣してくれ。我らが愛するこの日本のためにこの企画を肉付けし推進する強力な政治リーダーの出現を心から望む。新自民党総裁は果たしてやってくれるだろうか。
<西半球> ブッシュ米大統領はケベック会議(米州サミット)で西半球主要国指導者に米州自由貿易圏の確立を呼び掛けたというニュースを聞いて"西半球"という概念を知らなかったので、もしやヨーロッパの一部も入るのかと世界地図帳で調べたら、イギリスのグリニッジが経度の起点だから厳密にいえばイギリスの大部分とスペイン、アフリカの西部が東半球からはみ出るが、政治的には南北アメリカ大陸と日付変更線の東側の島々だけを西半球と呼ぶらしい。人口としては8億弱で、世界60億の1/8に過ぎないから随分偏りがある。だから炭酸ガスの排出をそれぞれの半球で対等に負担するというのでは不公正だ。
<遺伝子組換え> 遺伝子組換え食品には表示をしろということになったようだ。それを見て消費者が購入するかどうかは各自の判断である。生産者は除草剤や害虫駆除の薬液を使わなくて済むので公害防止になるし手間が省けて収穫量が増すから積極的である。米国企業は世界に先駆けてこの種の技術の特許をあらかた取得してしまった。私の妹も早くから農林省の研究所でこの技術の研究をしていたが、民間企業でないこともあって特許取得では米国に立ち遅れたと嘆いている。
遺伝子組換え植物の安全性についての専門家の意見を知りたくて「遺伝子組換え植物の光と影」(学会出版センター)という小冊子を読んだ。何人かの専門家がお互いに独立にこの問題について書く構成になっているが、表題からして推測できるように結論は歯切れが悪い。誰一人として100%安全だとは言い切っていない。蛋白質の中のDNAがヒトの細胞の中で悪さをするとかウイルスの変性とか遺伝子が胃腸内微生物に水平移動するとか病害菌が新たな毒を出す可能性とか、食品ごとに潰さなければいけない検討事項が多々あって、大抵は大丈夫というがとても完全保証はしきれないらしい。クロイツエル・ヤコブ病(狂牛病)の原因もプリオンという蛋白質だそうだが、その生成原因は明確になってはいないようだ。
こうなると消費者には理詰めで判断のしようがない。結局のところ将来この食品は10年を超える期間年間100万トン以上日本の皆さんの食用に供してきましたが、未だ1件の事故も発生していませんというような保証をする経験則でしか納得できないかもしれない。それまでは私のようなそろそろ寿命が来てもおかしくない年寄りが生体実験的に試すしかなさそうである。尤も近辺の店では売られていないが。

<データベース> 俗にインターネットでどんな情報でも手に入るようなことを云う人がいる。私などはその利用方法に疎いせいもあって、今まで限られた人数の知人とのメール交換と専ら発信に徹しているホームページと定期的なニュース・メデイアからのメールによって教えられた特定のURL訪問ぐらいしか利用していなかった。先日知人に教えられてYAHOOの検索機能を使うと氏名だけ知っている人の情報が容易に入手でき、利用しやすいことを知った。試みに自分の氏名を打ち込んだら私のホームページ関連の情報のほかに同名の弘前市長さんと数学者がいることが分った。意外に同姓同名は少ないものだ。"徹子の部屋"に出演された藤城清治という影絵作家の作品の美しさに惚れ込んでテレビで紹介された作品以外にないかと名前で検索したら、昇仙峡影絵美術館が出てきて世界的な影絵の巨匠と紹介され、数多くの作品と出会えて感激した。利用方法を工夫すればいながらにして多くの欲しい情報が入手できるはずだが、そのノーハウがまだ掴めない。