国際テロ


 第9章

<査察結果報告> ブリックス委員長は定められた27日国連安保理に報告を行なった。その中で先にイラクが提出した12000ページに及ぶ報告書には新たな事実の記載がないこと、保有していた大量の生物化学兵器を廃棄した証拠がないこと、イラクは査察に衷心から協力的ではなく完全な武装解除を望んでいないこと、従って現状は世界に平和共存の確信を与えるに至っていないと述べた。当面はフランス・ドイツの主張もあって査察が継続されるだろう。
 ブッシュ政権はこの報告を追い風と受け止め、米国はイラクが大量破壊兵器を保有している証拠を確保していて、情報源の安全が確保できればこれを公表する用意がある、2月5日に国連安保理を召集すると言明している。この情報開示が関係諸国にどのような心証を与えるかが当面の焦点である。

<一般教書演説> ブッシュ大統領は28日の一般教書演説で改めてイラク、イラン、北朝鮮の3国を無法者の政権と呼び、「米国には文明世界へのテロの脅威を終わらせる目標があり、他国にも参加を呼びかけている。ただわが国の政策は他の国の決定には依存しない。」と述べた。またイラクは38000lのボツリヌス菌、500tのサリン・マスタードガス、30000ケの弾頭を未だに保有していると述べ、「脅威が完全に現れた時点では既に遅い。フセインの正気と自制を信頼する選択肢はない。」更には「諜報活動などからフセインがアルカイダを含むテロリストを援助、保護しているのは明らかだ。極秘にテロリストに武器を供与、武器開発を支援する可能性もある。」と言明した。
 これに対して民主党は一斉に演説内容を批判し、これを機会に共和党政権への離反の態度を明らかにした。内政問題に関しては多くの点で米国は間違った方向に進んでいるとし、イラク問題では大統領は世界の足並みを揃える機会を無視し、イラクが差し迫った脅威であって戦争が唯一の選択肢である証拠を示していないと指摘している。また米国の評論家の一人は大統領が実際には悪の枢軸3カ国の扱いに大きな差をつけ、方針が支離滅裂であると評している。
 米国の財政赤字は03、04会計年度に年間3000億ドルを大きく超え、過去最悪を更新する見通しとなった。景気低迷による税収減とテロとの戦争による防衛費の増大のためで、“双子の赤字”が再燃することは確実である。ここでイラクに開戦すれば状況は更に大幅に悪化することは明白で、ドル急落など国際金融市場波乱の要因となろう。

<シャロン勝利> イスラエル総選挙ではシャロン首相率いる右派りクードが圧勝し、パレステイナとの平和共存を唱える左派労働党などは大敗した。右派勢力は国会の過半数に達し、シャロンの強硬路線は国民に支持された形となった。
 選挙結果を知ったアラファト議長は早速シャロンに交渉を申し入れたが、シャロン首相は相手にできないと即座に申し出を拒絶した。イスラエルの国民には戦争が終わらないのはアラファトのせいという考え方が浸透したと観測されている。

<証拠の提示> 国連安保理事会において米パウエル国務長官は予告通りイラクが大量破壊兵器を隠匿しているとする情報を開示した。一つは国連査察の前に化学兵器をしかるべき場所に隠匿しろという関係者(どこの誰か不明)間の会話の盗聴記録。もう一つは空撮による化学兵器処理工場と見られる建物と数台の車両の写真。これは査察以前の写真で、査察が始まった時点では跡形もなくなっていたとの説明が付けられた。パウエル長官はこのような事実をもって、正直に実態を申告せず隠匿に努めるイラクを相手にこれ以上査察を続けても意味がないと主張した。
 ブッシュ大統領とライス大統領補佐官はこの提示をもって極めて説得的な情報開示だったとコメントし賞賛した。然しこれは多分に従来ブッシュ政権内でイラクへの攻撃に慎重でハト派と見なされていたパウエル長官がこのような積極的な行動に出てタカ派に寝返った(?)ことを歓迎しての弁と思われる。一方でイラク側はこの報告は問題にもならぬ単なるでっち上げであると評した。安保理に出席した関係各国は慎重な表現ながらこれは単なる状況証拠に過ぎず決して明確な事実の提示ではなく、イラク攻撃の根拠としては薄弱であるとコメントした。フランスのシラク大統領は「戦争回避を目指す仏政府の姿勢を変えるほどの効果をもたなかった」と言明した。
 今後どう展開するか定かではないが、恐らく安保理がこれをもってイラク攻撃を可とする決議を行なうことはなく、当面国連による査察を継続することになろう。当面の焦点はブリックス委員長が査察継続のための会談にからんでイラクに申し入れた2月8日までに自主的な申告をイラクがどのように行なうかにかかる。あるいは米国がしびれを切らして国連の決議を待たず、米国に追随する同盟国だけを率いてイラクに開戦するかどうかだ。

<変化の兆し> 査察委員会のブリクス委員長と国際原子力機関のエルバラダイ事務局長は査察協力をめぐり8日イラク側と2日間の協議を終え、イラク側が生物・化学兵器に関する文書提出に応じたことを明らかにし、イラク側の態度に変化の兆しが見られると指摘、査察の継続を希望した。書類内容はニューヨークで専門家が精査する。追ってイラクはイラク国内の全面的な偵察飛行を容認したと発表した。
 独仏両国は査察要員を3倍に増やす査察強化の提案を安保理に提出準備中であることを明らかにした。またフランス・ドイツ・ベルギーの三国は米国がNATOに提出したトルコ共同防衛計画に関して事実上の拒否権を行使した。これによって軍事同盟NATO内部の亀裂が深まった。
 米国ブッシュ大統領はパウエル演説をもってゲームは終わったと述べた。米英両国はイラクのフセイン大統領が48時間内にイラクを脱出しなければ攻撃を開始する安保理決議案を提出すると言っていたが、当面はこれを見合わせたようだ。
 ブリクス委員長は14日に安保理に改めて報告書を提出し、イラクは査察に以前より査察に協力的だが、未だに不十分であり今後も査察を継続する必要がある旨主張した。同時に先に米国が提示した違反の“証拠”については十分に信頼できるものとは言えないと断じた。委員長の報告に対して安保理では仏・独・ロ・中国が約1月間の査察の継続を求め、早期開戦を求める米・英国を押し切った。

<ビンラデイン再登場> “アルジャジーラ”テレビは11日ウサマ・ビンラデイン氏の肉声と見られる録音テープを放送した。その中で氏は米国がイラクを攻撃しようとしていることを“不正義”と断じ、イスラム教徒に自爆テロによる聖戦を呼びかけた。またイスラム教徒殺害のために基地を提供する政府は背信者であると断じた。
 アラブ諸国ではビンラデイン氏の発言は一定の影響力をもっているので、親米国派には圧力になるだろうと言われる。
 パウエル長官は放送直前に予めこのニュースを捉えて記者会見し、この発言をもってイラクとアルカイダの連携と見做し、イラクへの攻勢の根拠ともしている。一方で米政権は米国内外での米国民を標的とするビンラデインの市街戦呼びかけに警戒を強めている。長期にわたる捜索の甲斐もなく、彼の所在を特定できずにいる米国はもう半ばその望みを失ってしまったように見える。それにしても冬季の高山に潜んでいるとすれば、全く厳しい生存条件に耐えていることだ。

<日本、米に追随> 18日の国連安保理の公開当論で原口幸一国連大使は以下のように主張して各国の中で突出した米英追随姿勢を鮮明にした。イラクは12年にわたり安保理決議を履行せず、国連の権威に挑戦しているとし、新決議なしでも武力行使は容認されることを示唆するとともに、査察継続は無意味として断固とした姿勢を明確にする米提案の新決議への賛同を求めた。
 一方で18日米国内を含む世界60の都市で約1000万人が参加して米国の対イラク開戦反対のデモが行なわれて、戦争反対の気運が地球を一周した。国連安保理は圧倒的な多数が査察の継続を求めており、米英両国も査察中止・開戦を求める決議案の提出を躊躇している。
 日本政府と外務省が国際世論ならびに潜在的な国内世論に逆らって米国に追随し、点数を稼ごうとする姿勢を示すのに不快の念を禁じえない。関連して“300人委員会”の情報として「サピオ」の記事によると、イラク、フセイン政權の崩壊と、イラク親米政權の樹立は確定的だ、と言う。そしてその場合、日本が米国のイラク攻撃に全面協力すれば、日米同盟は磐石、日本が対米協力をしなければ、日米同盟は崩壊し、日本は、米一極化世界で孤立する、だと。

<三百人委員会その1> 入手困難という噂があったが、行き付けの本屋に予約して容易に手に入った(KKベストセラーズ発行、ジョン・コールマン博士著、監訳 太田龍)。またインターネットの情報検索で同じ題名を調べると、様々な衝撃的な殺し文句が求められる。いわく、
○米国の中枢は“ユダヤ・キリスト教の奥の院”フリーメーソン、三百人委員会、イルミナティに乗っ取られた!
○三百人委員会はルーズベルトに命令して、日本軍に真珠湾を攻撃するように誘導した。
○911事件の真相はテロ支援超大国アメリカ、イギリスに取り憑いたユダヤイルミナティ三百人委員会の高度戦略と見抜く。
○欺瞞が見え見えの「テロリストに対する戦争」宣言
○小泉。この国賊が、イルミナティ米英イスラエル三百人委員会世界權力の走狗として、日本民族をどのように外敵に売り渡しつつあるか、まさにそのことが、問題なのだ。

 そして 著者コールマンの序文
 私が情報将校の専門職に就いている期間、高度の機密文書に接触する機会が多かったが、西アフリカのアンゴラで政治科学現場担当官として外勤中に、異様なまでにあからさまな内容の超極秘文書を閲覧する機会があった。それを見た私は怒りがこみ上げ嫌悪感をもよおした。以来、私は英国とアメリカの政府を動かしているのはどういう勢力なのかを一貫して追究することになった。
 王立国際問題研究所(RIIA)、外交問題評議会(CFR)、ビルターバーガーズ、三極委員会、シオニスト、フリーメーソン、ボルシェヴィズム、薔薇十字会などといった秘密結社およびこれらの結社が支配する下部組織についてはすべて、私には完全におなじみであった。情報将校として、またそうなる前にロンドンの大英博物館で研修した若き学徒として、それらすべてに私は最初の情報経験を積んだが、さらにアメリカ人がよく知っていると考えられるおびただしい秘密結社名を加えることになった。
 しかし、一九六九年に私がアメリカ合衆国に来てみると、エルサレムの聖ヨハネ団、ローマクラブ、ドイツ・マーシャル財団、チニ財団、円卓会議、フェビアン協会、ベニスの黒い貴族、モンペルラン協会、地獄の業火クラブ、その他多くの秘密結社が完全には知られていないか、どうひいき目に見ても、ほんとうの機能はほとんど知られていないに等しいことがわかった。
 三百人委員会はずっと以前に、世界を小さな――現在よりもずっと小さな――よりよい世界にしよう、という決定を下していた。つまり、ずっと小さいことがよりよい世界だ、と彼らは考えたのである。そのためには、自然資源のほとんどを食いつぶすおびただしい数のムダ飯食いが選別され処分されるべきである。つまり、産業の進歩は人口増加を促進する。それゆえに、創世記の「産めよ殖えよ地に満ちよ」という神命は廃棄されなければならない。すなわちキリスト教の破壊、産業国家の緩慢かつ確実な崩壊、三百人委員会によって「余分な人口」と断定された何億という人口の削減、委員会のこうした地球計画の邪魔をする指導者の排除が必要となったのである。
 帰化ユダヤ人学者のキッシンジャーとブレジンスキー などはその目的で手先として働き、イタリアの故アルド・モロ首相、パキスタンのCFRであるジア・ウル・ハク将軍、米国のケネディ大統領、アフガニスタン反政府勢力の指導者、反タリバン北部同盟の党首、アーメド・シャー・マスードなどが殺害されたと記されている。
 著者は最後に、日本民族の立場において最大の関心事、すなわち日本と三百人委員会と称するこの超巨大な世界権力との関係はどうかを問わなければならないと記し(中略)本書第三版(321−2ページ)には、次のように記述されている。
 「日本と三百人委員会の関係については、デンマーク国王フレデリック九世、ノルウェーのホーコン国王、英国王ジョージ六世、オランダのウィルヘルミナ女王、ルクセンブルグのシャルロッテ大公妃が、エンペラー・ヒロヒト[昭和天皇]を戦争犯罪人として逮捕し、または裁判にかけないよう要請した[誰に対して?たぶん英米など連合国政府に対してであろう]という興味深い事実がある。しかし、エンペラー・ヒロヒト[昭和天皇]を戦争犯罪人として処刑されるべき運命から救ったのは、ガーター結社の力であった。エリザベス二世女王は、故エンペラー・ヒロヒト[昭和天皇](形式的には皇太子明仁)と親密な関係を保持していた。そして今日なお、彼[昭和天皇]の家族[皇室]と親しくしている。このことを別とすれば、三百人委員会は日本の事態に対し、さしたる影響は与えていないように見える」
 前記の五人の国王、女王(昭和天皇の助命を求めた)は、三百人委員会の正式メンバーとして、本書の名簿に挙げられている。ガーター結社が、三百人委員会の中心に位置する英国王室に直結する最重要機関であることは本文中に説明されている。
 昭和天皇は、皇太子時代、英国に旅行されており、そのときに英国王室によってガーター結社のメンバーと見なされたものと考えられる。しかし今のところ、日本の主要銀行、保険会社、主要企業は一社も三百人委員会の指揮命令系統に組み込まれていないもののようである。
 つまり、三百人委員会にとって日本は、いまだ完全に占領されていない(したがって一国も早く抵抗を排除して、占領を完遂しなければならない)「敵」と見なされるのではなかろうか。 本文中でコールマン博士は、真珠湾五十周年(1991年)を契機に、新たな対日戦争(経済戦から最終的には武力戦に行き着く)が開始された、としている。

 別の論説によれば、―現在のアメリカ、 従って世界を事実上、 支配統治しているのは、 モルガン財閥とロツクフェラー財閥そしてロスチャイルド家である。 (コールマン博士はもう少し多くして、 三百人委員会*とかローマクラブとか言うが、 本質は同じでアメリカ東部エスタブリシュメントの貴族階級であろう。)―

 私はまだ著書を完読していない。だが火のないところに煙は立たないと言われる。日露戦争以後、現在に至るまでの米国を中心とする悪意的な動きの数々。表面的な政治の動きの陰で明らかに政治家などを操る強い力があることを認めないわけにはいかない。以後時間をかけて注視することにしよう。



第10章に続く

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