合唱生活向上委員会
第4回 子連れ練習のコツ(00/1/25)
私の所属団体でも子持ち団員が年々増えています。お父さんとお母さんが練習に出かけている間、お留守番ができるほど大きくなったジュニアもいますが、いつの日かお父さんやお母さんと一緒に歌える日が来たりすると嬉しいなぁ、と思いますね。たまには練習に来ないかなぁ。今度来たときには声変わりしてたりして・・・。
子持ち団員の練習中の子守り事情は人それぞれのようです。近くに頼めるようなおじいちゃんやおばあちゃんがいらっしゃる方はとても恵まれているかもしれません。お金を払って託児所に預ける場合もあるでしょう。もちろん、練習に連れて来ることもあります。我々の合唱団は学校の先生が多いので、子供の扱いには慣れた団員が多いのです。多少騒がしくなっても気にせず練習しています(野放しかも^^;)。
しかし、子供が練習中に騒ぎすぎて困った、という経験をお持ちの方は少なくないことでしょう。どうしたらいいのでしょうか。この問題に対する、もしかしたら役に立つかもしれないというちょっとしたコツをご紹介しましょう。あ、筆者は小中学校・幼稚園での教員経験がありますが、自分自身の子育て経験はないことを最初にお断りしておきます。ごめんなさい・・・。
子供にとっての練習場とは?
お父さんやお母さんにとっては有意義な練習通いも、子供にとっては見知らぬ場所への「おでかけ」にすぎませんよね。生まれてすぐからお母さんが合唱団に復帰して連れて行くような場合はどうかわかりませんが、たくさんの大人たちが並んで歌っているという風景は子供にとってはかなりストレスになることも・・・。
考え方はいろいろあると思いますが、まずは「このおでかけはお父さんやお母さんにとっては大切なおでかけ。だから大切なあなたも連れて行くよ。でもごめんね。よろしく」くらいの気持ちを持つほうがいいでしょう。途中でご機嫌が悪くなっても、騒々しくなって他の団員に迷惑をかけても、それは連れて行った大人の責任です。基本的に叱る材料にはなりません。
練習場の「空間」を考えよう
子供をある場所に連れて行くときに、まず考えなければならないのは「空間」です。これを考えた上で子供がその場所で騒がず落ち着いて遊ぶにはどうしたらよいか考えましょう。
幼稚園や保育園で運動会の練習をするときに、いきなり新入園児の子供たちを園庭に連れ出してヨーイドンでかけっこをさせるという保育者はいません。まず、十分に園庭で遊ばせ、その空間の雰囲気に慣れさせることから始めるのです。発表会もそう。いきなり講堂に連れていったりはせず、普段いる保育室の中で、日常の遊びの中で発表会の雰囲気を盛り上げ、講堂にも何度か出入りさせて慣れたところで舞台練習をするのです。子供にとっては新しい空間は大人の何十倍もストレスであることを念頭に置きましょう。
一般に、就学前の子供が落ち着いて遊ぶにはある程度の「狭さ」が必要であるといわれています(胎内回帰願望と関係があるそうです)。練習場が広いのなら子供の目から見た面積が狭くなるように工夫する必要があります。また、室内面積が狭くても天井が高かったりする場合は同じです。
つまり、子供が安心していられる場所を決めてあげる、といったことが必要です。「自由に走りまわれなくてかわいそう」という考えを持つ方もいらっしゃるかもしれません。しかし、こういう練習場という空間で走りまわった場合、子供はけして「安定」した状態ではないのです。2、3回注意しても走り回るような状態のときは「子供は今何をしてよいかわからない状態なのだ」と考えたほうがいいでしょう。
子供の「安定」
では、子供が「安定」するというのはどのような状態でしょうか。保母さんたちはこの言葉をよく使いますが、一般的には「子供が精神的に安定して、かつその遊びに集中し、そこから新しいものを学ぶことができること」のようです。まあ、「そこから新しいものを学ぶことができる」というところまではどうかと思いますが、子供が見た目にも「安定」して遊ぶためには、子供が今自分で何をしていればいいかということがわかる明確な材料を用意してあげることが必要です。
たとえば、静かにしていなければ他の人に迷惑がかかる練習場で、音が出るピストルのおもちゃや、おもちゃのピアノでも置かれていたらどうなるでしょう。走り回ってほしくない場所でボールを持たせたり、縄跳びを用意するなどということがあった場合、騒がしくなってもそれは子供のせいではありません。子供には年齢に応じて、静かに遊べる道具やおもちゃがいろいろとあります。
この「せんたくばさみつなぎ」というのは意外に思うかもしれませんが、3歳頃の子供に洗濯バサミをたくさん籠に入れて預けると、思い思いの形にはさんで繋いだりして遊べます。お金をかけなくても、ちょっとした道具や大人にとってもガラクタと思えるようなものもいいおもちゃになりますよ。あ、洗濯バサミは安全性に配慮してバネの弱いのものにすべきでしょう。3歳頃の子供にとって、手を動かすことはとても大切なことなのだそうです。よい手の運動にもなるのです。年齢が高くなるにつれて粘土は硬めのほうがいいかもしれません(但し、油粘土は匂いがあり、紙粘土は周りを汚すおそれがあるので練習場ではやめたほうが無難)。
集中力の問題
子供の集中力については年齢にもよりますが、ある決まったサイクルがあるといわれています。NHKの「おかあさんといっしょ」では1つのコンテンツの区切りは1、2分。この番組は主に3歳児を対象に作られていますが、それだけ子供は集中する時間が短いので、それを計算しての番組構成なのだそうです。
また、1つの作業をしたり人の話を聞いたりする場合は長くてせいぜい15分。これは普段子供が見ているテレビのCMが入る間隔に関係があるのだという説もあるようです。練習をしている大人も疲れて休憩するわけですから、練習場へ行く前に予めネタをいくつか用意しておいたほうがよいでしょう。
また、どうしても練習場にいるのが辛そうだと感じられる場合は、大人が休憩を入れる倍のペースで外の空気を吸わせることも考えましょう。
どうしても叱らなければならないとき
練習場に入室し、最初の10〜15分間が勝負です。子供が騒ぐ場合は上のような「環境」が適切でない場合がほとんどですが、4歳以上の子供の場合はまず「ここでは騒いではいけない」ということをわからせておく必要があります。この最初の時間に何回か続けて許してしまうと、子供はそれでよいと思ってしまいます。しっかりと。
叱る場合は、遠くから「いけません」とか「だめ」と言ってもだめです。「騒ぐなら置いていっちゃうよ」というような言葉も言うべきではありません(練習に連れられるのを嫌がるようになるおそれもあります)。できればしっかりと子供の両手を握りながら、「だめ」と一言だけ言い、何秒間かじっと目を注視してあげると効果的なようです。そして、叱るときは毎回同じスタイルにします。
とはいうものの・・・
子連れ団員が一番大変なのは、練習場でどう過ごさせるかではなく、むしろどう家から連れて来るか、ということだと思います。子供のご機嫌はもちろんのこと、体調も考えなくてはならないし、荷物も多くなりがちでしょう。はかせたパンツがたまたまその日新しいもので、生地の肌触りが気に入らないだけで一日ぐずったまま過ごすということだってあり得るでしょう。
どうか、団員の中で一人でもよいでしょう、愚痴でも何でも言える相手を見つけて、とにかく話すようにしてみてください。子供がいない人にはわからない、と思いたくなることもあるでしょう。でも、人に話して楽になることもある。長く歌い続けていくためにはとても大切なことだと思います。もちろん、子供が小さいうちはしっかりと合唱活動をまとめて休んでそれから復帰する、というのも一つのやり方。あなたを待っている仲間がたくさんいますよ。
・・・以上、えらそーにいろいろ書き並べましたが、現在筆者にはまだ子供はおらず、子育て経験がありません。こうするといいよ、という情報をお持ちの方はぜひお知らせください。お待ちしております。
なお、広島の「合唱団ある」さんのように、団内で独自の託児システムを持っている合唱団もあることを書き添えておきます。また、練習中に騒ぐ子供もまたかわいい、ということも付け加えておきましょう。子供は、騒いであたりまえです、はい。^^;