合唱生活向上委員会


第6回 ビンボーな合唱人のためのやりくり術? (01/2/1)

  合唱という趣味にお金がかかることは、世の中には意外に知られていないようです。合唱コンクールの入場料が有料であることを初めて知った方が 「えっ、お金かかるの?」 などとおっしゃることはよくあるようですし、器楽関係の方と違って身一つでステージに出て行くことからあまりお金のかからないようなイメージを与えているのでしょう。

  しかし、現実はそうではありません。演奏会を開けばホールを借りるのも有料ですし、指揮者の先生やピアニストにも謝礼が必要。衣装代もかかります。演奏会の会場で配られるあのプログラムの印刷代だってかかります。コンクールの全国大会には全国各地の合唱団が集いますが、交通費や宿泊費はよほどのことがない限りは皆さん自分のお財布から出しておられます。あれにかかる、これにかかる・・・と挙げていったらきりがないでしょう。それほど合唱というものは多くの人々の苦労の上に成り立っている芸術であることがわかります。逆に考えるとそれほどの苦労をかけるに値するほど、合唱とはすばらしいものなのだ、という見方もできるのですから。

  今回はそういった「ビンボーな合唱人のためのやりくり術?」について、少し述べておきたいと思います。助成金の申請やメセナなど、団体レベルの対策はここでは除き、個人レベルで今すぐにできることだけに絞ります。 「そんなのもうやってるよ! あたりまえ!」という声も聞こえてきそうですが、このサイトのステージ上でのお化粧についての記事には意外にも多くの反響がありました。今さら人には聞けない、というツボが押さえられるとよいのですが、中には思わず引いてしまうような(?)やりくり術も合わせてご紹介することにいたしましょう。対象は主に学生さんとして書きました。ビンボーに負けずに頑張れ合唱人!


1.稼ぐ!

【アルバイトで稼ぐ】

  既に社会人となっている人が、合唱のためのお金を捻出するためさらにアルバイトをするのはちょっと無理でしょうが、学生さんは皆さんいろいろと工夫をして頑張っておられることでしょう。しかし、合唱人の場合、不定期に練習が入ることもあり、決まったアルバイトをするのがなかなか難しいという話をよく耳にします。私は学生時代、早朝のコンビニでのアルバイトをしていました。合唱団の練習はおかあさん団体を除けばたいていは午後〜夜ですから、早朝の仕事なら練習の時間帯と重なることはありません。練習の後どんなに呑んでいても翌朝はきちんと店に出る、という辛さはありますが、早起きは習慣化するとまさに「朝飯前」の仕事となり、定収入を得ることができます。朝は辛い、という固定観念を一度捨てることさえできればよいアルバイトだと思いますが、いかがでしょう? それに、早朝の仕事はなんとなく「正しく生きている!」というような気になりますから、不思議です。

【ギャンブルで稼ぐ】

  学生時代のある日、私は自分のお財布の中に500円しか入っていないことに気づきました。これで奨学金が振り込まれるまでの10日間を過ごさなくてはなりません。団費を払い、練習に通うための私鉄の回数券を買ったらそういうことになりました。私は下宿の隣の部屋にいた先輩に相談しました。その先輩は私をパチンコ屋さんへ連れて行きました。私は300円を投じ、5000円余りの勝利。ビギナーズラックというやつです。なぜ300円だけを投じたかというと、200円残っていれば卵を1パック買うことができます。米は実家から送ってもらっていましたから、10個入りの卵1パックを買えば一日1個ずつ卵を食べていけばよいわけで、パチンコで300円を丸々損してもまあ死なないで生きていけるだろう、という計算があったからです。でも、勝って本当によかった・・・!!

【運で稼ぐ】

  合唱バカ連盟の掲示板上で 「宝くじで3億円当たったら合唱人としてどう使うか」 という話題で盛りあがったことがあります。3億円を当てるのは無理としても、ロト6などに挑戦している方もおられるでしょう。これは、ひたすら神頼みしかありません。神頼みしてもだめかもしれません。(お願い、当たらせて、神様!!)


2.節約する

【食費を節約する】

  ビンボーになると、工夫次第で削りやすいということで一番ターゲットになりやすいのが食費ですが、食費をむやみに切り詰めるのはやめましょう。その時は元気でも、何年かたってから体に明らかにダメージが出てきた、という合唱人を私は何人も知っています。これは私の母が言ったことですが 「いくらお金がなくても、集う場所の建物がボロでも、皆で美味しいものを食べれば万事うまくいく。食べ物さえ美味しければなんとかなる」 そうです。私の身の周りにはそれを見事に実践・研究されている合唱人の先輩がいます。本当に食べ物って大切なんだ、と思います。でも、工夫によっては栄養価を削ることなく食事を安くあげられることも事実。料理することを嫌いにならないようにしましょう。 「買ってきてすぐに食べられるものほど高い」 という法則は、決して間違っていないと思います。特に、お金のあるときに買って保存しておける乾物類の扱いが上手になると、あとはお米さえあればそれだけでも十分な食事になります。(例:合宿の呑み会で余ったスルメを取っておけば、あとは千切りのニンジンを加えれば立派な松前漬となります。一度作って冷蔵庫に保存しておけば2週間〜1ヶ月くらいは食べられます! 調味料はお金のあるときに買っておくことをお忘れなく!)

  また、普段から目上の人の中にお料理が得意または好きな人をチェックしておいて、いざというときはご馳走になるのも手です。そういう人にとって 「何か食べさせてください」 というのは、実は喜ばれることが多いのです。あの料理好きで知られる故向田邦子さんもご自身のエッセイの中にそういったことを書いておられます。

【水道光熱費を節約する】

  水道光熱費を滞納し、電気が止まった、ガスが止まった、という話を学生さんから聞くことがあります。しかし、水道はよほどのことがない限り止まりません。水道を止めてしまうと、人間は死んでしまうからです。安心してください。(ちっとも節約の話になっていない・・・)

【服飾費・理美容費を節約する】

  特に男声の学生さんの中には冬服を買うお金がなく、他の季節の服をとにかく重ねて着ることで寒さをしのいでいる人がいますが、これをやる場合は色のことをよく考えましょう。上下を合わせるとき一番間違いがないのは、上にいろいろな色の組み合わせがある服を持ってきて、その中にある色で下を合わせることです。上下ともに単色ばかりで持っていると組み合わせに失敗することがあります。そういう意味でも普段着にはいくつか色の入ったトレーナーやセーターを準備しておくと後々便利です。女の子はおしゃれにかかるお金だけは食費と同じくむやみに削らないようにしましょう。合唱人はステージに上がる表現者ですから、おしゃれ心は大切にしたいものですよね。理美容費については髪を自分で切る勇気がない場合は、一般団体で理容師さんや美容師さんが団員の中にいる合唱団に入りましょう。(おいおい・・・)

【交通費を節約する】

  演奏会を聴きに行ったり、帰省をしたりするための交通費がなく、宇都宮から東京や福島まで自転車で移動した人がいます。もちろん、普通のママチャリです。お尻の皮が剥けそうになり、ヒリヒリするそうです。筋肉痛も覚悟しましょう。ちょうど田植えの時期で、農作業中の方からおにぎりをもらって食べたとか、お巡りさんにつかまって職務質問されたとか、思い出話に語るのはよいのですがとてもおすすめできません。

  数年前からJRの「青春18きっぷ」は5枚綴りだったものが1枚になり、個人的には使いにくくなりました。特急券を追加しても新幹線に乗れません。先日 「JR宇都宮線は故障で動かず東北新幹線は動いている」ということがあり、この切符を持ったお客さんが駅員さんに詰め寄る姿を見ました。なんとかならないでしょうか。


3.貯金する

  貯金箱はなんとも原始的な貯蓄法ですが、やはり一番効くかもしれません。最近は100円ショップなどで缶切りを使わなければ開けられない「500円貯金箱」なるものが売られていますが、これを使うのも一つの方法です。お茶や海苔などの缶、ペットボトルなどでももちろんできます。

  まずは 「500円玉はお金にあらず」 と思うようにすることから始めます。お財布の中に500円玉があった場合、これはそれ以上流通させてはなりません。ちょっとだけならいいかな、などとうっかり500円玉を使わないようにしましょう。やってみるとわかるのですが、一度でも500円玉を使ってしまうと、罪悪感が生まれてそこから先はうまくいかなくなることが多いのです。それに、一度500円玉を財布から出すとそれからしばらくは500円玉を出さずにはいられない小銭のサイクルが続くようになってしまいます。慣れると買い物のときのおつりに500円玉が含まれるようにしてお金を払うようになったりしますので、そこまでいけばゲーム感覚になって楽しくなります。

  本当は100円玉も 「お財布の中に5枚以上入っていたら残りは貯金箱に入れる」 くらいのことをすれば効果は大きいのですが、あまりやりすぎるといつの間にかお金がなくなってしまい、生活できなくなるおそれがありますので注意しましょう。預金や投資については書きません。それができるくらいなら、このページを読まなくてもいいでしょう。また、貯金箱の置き場所には注意しましょう。泥棒が入ったとき、盛大に 「30万円貯まる貯金箱」 などと書いてあったため、そのまま持って行かれたという人もいます・・・。


4.払いすぎの税金を返してもらう

  確定申告なんて関係ないと思っている人でも、場合によっては納めすぎの税金が戻ってくることがあります。このような 「納めすぎの税金が戻る」 つまり 「還付」 だけの申告は、テレビなどのCMで春先にやっている 「確定申告はお早めに」 という期間でなくても一年中できます。また、過去5年間に遡って申告することもできます。3年前に自転車で転んで骨折して病院へ何度も通ったとか、4年前の盲腸の手術のお金でもこれから申告できますので、ぜひやってみましょう。

  一般的には一年間にかかった医療費が10万円を超えればそれ以上の金額が控除の対象になります。所得額が200万円以下の場合はかかった医療費が所得額の5%以上になっていれば申告できます。この10万円を超えた分が丸々返ってくるわけではありません。10万円を超えた分に税率をかけた金額が還付されるのです。ですから、医療費が11万円かかりました、というくらいでは税務署までの往復の交通費にもならないかもしれませんが。

  通院のための電車代やタクシー代も認められます。自家用車で通院したときのガソリン代は悔しいですが認められません。(ついでに書いておきますが、中には救急車は有料、と思っている人もいるようです。これは無料なので安心して急病のときは呼ぶようにしましょう。)交通費はメモでよいのですが、医療費や薬代は領収書を添付しなければなりませんのでなくさないようにしましょう。交通費などのメモを見やすく整理して、領収書も台紙に貼り付けて持って行きます。税務署に行く際は印鑑を忘れず、銀行(郵便局でもよい)口座番号を控えていきましょう。早ければ1ヶ月ほどでその自分の口座に還付金が振り込まれます。


それでも、幸せ!!

  以上、思いつくやりくり術をあれこれ書いてみましたが、書いていて感じたこと、それはやはり 「こんなにビンボーなやりくりをしていても合唱ができるのは幸せで楽しい」 ということでした。

  実は、今の学生さんたちはとても大変なのです。これから就職をするのがまず大変。就職をしたところでこんな世の中ではいつリストラされるかわからないし、お給料も今の50代くらいの人に比べると上がっていくという見込みがずっと薄いのですから。成人式は大荒れ、少年はナイフやバットを振りかざす。価値観が多様化して信じられるものの姿も、希望もなかなか見えない。一見豊かなように見えて実は嵐の中を歩いていかなければならないのです。 だからこそ、そんな中でも合唱が好き、歌うことが好き、という人が集まるのはとてもすばらしいことだと思うのです。今歌っている学生さんたちには社会人になっても何らかの形で合唱に関わっていってほしいものです。もちろん、聴くだけでもよいのですが、できれば、ずっと、ずっと歌っていてください。


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