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書き屋のための変換辞書 for ATOK


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 「共同通信社 記者ハンドブック辞書 for ATOK16」への不満

 「書き屋」などの期待を集めながら登場した『共同通信社 記者ハンドブック辞書 for ATOK16』ですが、いざ使ってみると、いろいろ不都合な部分が目立ちます。 専門用語辞書などは“足す”ことに意味があるんですが、用字用語辞書の場合は“変換候補語にいかに制限をかけるか”ということに意味(本質)があります。 また「書き屋」にもさまざまな立場(分野)があるため、辞書には“足す機能”の部分と“制限をかける機能”の部分との両方が求められるはずです。 同辞書の抱えている問題点を以下に並べてみました。

  1. ATOK16標準辞書の登録語すべてをチェックしてあるわけではありません。 このため記者ハンドブックの基準では“表記外”であるはずの語が、ノーチェックで変換されてしまいます。
    • 具体例:「痺れる」「産褥」「迸る」など、著しく多数
    • 対応策:かんぴょうサイトの「共同表記基準辞書」( ダウンロードページ にサンプルがあります)などを併用する(それ以外の選択肢は考えられません)

  2. 略語が“半角”での登録となっており、業界標準の“縦書き表記”に対する配慮に欠けています。 基本設計(ポリシー)が確立されずに商品化されたのではないでしょうか。
    • 具体例:「NHK交響楽団」「ABC兵器」「LAN」など多数
    • 対応策:「半角全角両候補を表示」あるいは「2回目の候補ウィンドウ表示で半角全角両候補を自動追加」とする(前者では不要な変換候補も含むため、 候補語数が倍増。後者では全角の候補語が、2巡目の変換時にしか出てきません)

  3. 過去の法改正により表記が変化したものが直されていません。 具体的には「保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律」(平成13年12月制定)などに未対応です。
    • 具体例:「看護婦」「看護士」「保健婦」「助産婦」など
    • 対応策:ユーザーが自分で単語登録する

  4. すべての機能を一つの辞書にまとめてあるため、 「特定の機能部分(辞書)のみ使いたい」あるいは「特定の部分(辞書)のみ除外したい」というニーズに応え切れていません。 カタカナ語に関する 《記:表記揺れ》 のコメント指摘は、テクニカルライターなどには煩わしいものです。
    • 具体例:「プロパティ」「ユーティリティ」など
    • 対応策:忍の一字…

 そしてATOK17用の「共同通信社 記者ハンドブック辞書 for ATOK」は…

 一太郎2004やATOK17の発売に伴い、『共同通信社 記者ハンドブック辞書 for ATOK』もバージョンアップとなりました。 前バージョンとの違いは、以下の通りです。

  • 新バージョンでは上に挙げた問題点のうち「1.表記外」と「4.表記揺れ」について、改善が見られました。
  • 「1.表記外」の語については今後、しばらく使ってみないと結論は出せませんが、大筋で改善されています。
  • 「4.表記揺れ」については、通常の『共同通信社 記者ハンドブック辞書』のほかに『共同通信社 記者ハンドブック辞書(表記揺れ指摘しない)』が加えられているため、 ユーザーが2つの辞書を使い分けることで解決できるようになりました。


 しかし「2.略語の半角登録」「3.法改正による表記の変化」などについては、今回のバージョンアップでは対応できていません。 また外国地名についてはほとんどチェックされていないようで、 ニジェールのニアメー(登録語はニアメ)、ジンバブエのハラレ(同ハラーレ)、キルギスのビシケク(同ビシュケク)、バーレーンのマナマ(同マナーマ)、 パキスタンのラワルピンディ(同ラワルピンジ、ラワルピンジー)、ブルキナファソのワガドゥグ(同ワガドゥーグー)など、表記内の語が未登録となっている地名も多いようです。

 新聞業界では、K-JISからU-PRESSへと進化(単なる私的領域への拡張?)が続いています。 ATOK本体、あるいは『記者ハンドブック辞書 for ATOK』に今後、「新聞用外字」などが反映されてゆくのかどうか。 また、記者ハンドブックが第10版に改まる平成17年春に、バージョンアップの内容がどの程度となるのか、実に興味のあるところです。

※「ATOK for U-PRESS」が平成16年11月に発売されました。(1万円/1ライセンス)
※ATOK2005(一太郎2005)発売に合わせ、『共同通信社 記者ハンドブック辞書 for ATOK』は第10版に、 また『角川類語新辞典 for ATOK』や『NHK新用字用語辞書 for ATOK』も発売となりました。

※『共同通信社 記者ハンドブック辞書 for ATOK』(最新版)と併用するための 記者ハンドブック補助辞書 を公開しました。(2004.02.26)


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