半歌仙「日傘人」の巻
  
                
     一列に山百合咲けり多摩の丘       実枝
         
       細き脚して行く日傘人         宏子                  
        
     駅頭で笑い上戸と別れ来て         敏江                 

       出会いがしらの黒猫とびのく      啓子                  

     半島の小さき漁村の月明かり        絢子
                
       芒野渡る海鳴りの声           瑞草
                 
  
     留守の娘(こ)の時計休まず秋寂びて     啓                

       遠き日の恋回る観覧車         絢                 

     言いましょうセビリア辺りで胸の内     手留                 

       風に吹かれる酒場の扉        実                 

     老眼鏡テレビ画面に戦後あり        啓
                
       思いあふれて指の爪切る        雪                 

     仏塔の肩に張りつく寒の月         瑞                
 
       青き兎の雪原に消ゆ          敏                 
          
     百二歳女の絵師の筆洗う          実
                
       雛並べる子らの微笑み          瑞                 

     初花を賞でてラッシュに紛れ入る      宏                

       高み目指して飛翔する蝶       手
                   

                            (手留 捌)

              1997年7月28日首尾
   


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