半歌仙「三輪の味酒」の巻
                    
                     
           夏行くや帽子洗いて草の庭           絢子     
                       
                        蝦蛄の刺身のうすみどりなる       実枝   
                                                                    
                    世界杯仮面の人の乱れ舞い          手留

            テレビの前は同じ溜息          啓子

          深海の異形浮上す月の舟           手

            みのむし揺れる茅葺きの軒        啓

        
                    蔦かずら引いて見送る老いの背(せな)      絢子
 
            フォークダンスをいやいやながら     手

          丸文字の交換日記今日はまだ         実

            離婚専門弁護士当選           手

          ぎょろ眼して壁に向かいて九年(ここのとせ)   啓

            三輪の味酒(うまさけ)しみじみと酌む    実
       
          月冴ゆるからくり時計の塔高し        実

            黒繻子衿のねんねこ半纏         手

          病癒えコーヒーを手にモーツァルト      啓

            旅の終わりに春の雨聴く         絢

          花の奥逝きし家族(うから)の見え隠れ      啓

            石の鳥居の日あし伸びたり        実

       
          
                      (手留 捌)
 

                  1998年7月13日 首尾       
 

            

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