短歌行「ピースタイムウォー」の巻

 
              藩校の備前瓦や秋茜             宏子    

                  楷(かい)の紅葉階(きざはし)の前       手留
                                                                    
              友といて言葉少なく月やさし         純子

         深層海流微妙バランス          敏江

    
       自転車はプジョウの新品素足して       節子

         きつい鼻緒の花火見物          瑞草      
                         
       本塁打六十二本の文字踊る          実枝   

         酩酊軒の女将わたしは          手

       柔肌をのけぞらしたるルーベンス       瑞

         ヘロホイニトハ転調の朝         宏
          
       花の宿異国の楽器奏でつつ          節

         鼻筋通る孕み鹿跳ぶ           純
              
     ナオ
       青い眼の僧侶も混じる鐘供養         実

         「不適切なる」奸計に陥つ        実

       燕尾服裾撥ね上げて投げキッス        宏
        
         ロベルト・バッジョ冬の恋人       瑞

       霜柱わが身の内に融けゆける         敏

         ピースタイムウォーに敗れしものよ    手

       十三夜銀の糸ひく刺繍針           純

         ななかまどの実膝にこぼれる       瑞

    ナウ
       落人の駒おどろかす破案山子         宏
          
         沈黙の壁軽く乗り越え          手

       いずくより花降りくるや谷の道        敏

         暮れかねているゆきあいの空       節

                              
      
                  (瑞草 捌)  

             1998年9月14日 首尾  


               
       (注)  ピースタイムウォー(peace time war)
                          平和時の戦争。情報戦争のこと。         

            

座興行の巻々に戻る