半歌仙「鋭角の峡」の巻


                我も濡れ馬酔木も濡れて峠かな                     敏江

                    遠田の蛙ペンションの闇               実枝
                                                                    
                知恵袋春眠中にふくらませ                純子

            巧みに語る言葉危うく                手留

      
         鋭角の峡(かい)渡り過ぐ望の月             さくら   

           茸飯炊き客迎えする                 絢子
        
        広げたる形見の袖の草紅葉                啓子
 
          共にある夢なお覚めやらず              山羊

        ぺディキュアのついにはがれて未練きる          さ

          野球帽から妖精飛び出し               啓
         
        花吹雪古都の喧騒静めたり                手

          アドリア海の聖金曜日                さ

       ナオ
          祝い物新入園児に配られて                敏
  
            知事の地位にはNOと言わない            純

        夜一夜口説きつぶれて銀座裏               実

           「可哀相(かはいさふ)だた惚(ほ)れたってことよ」 啓
         
        パラソルの母を追いかけ泣きし頃             絢
  
            お豆腐主義を家訓としまする             手

         待宵の月を卒寿の眺めいて                羊

           はやりの古着案山子翁着る              純

      ナウ
        笙の音を聞かせて醸す新走(あらばし)り         敏

            丹塗り鮮やか宇佐の八幡               実

        拓(ひら)かれし谷戸をめぐれる花霞           絢

          ジーワジーワと鳴く春の蝉              羊
   
      
                  (手留 捌)  

              1999年4月13日 首尾 


         (注)お豆腐主義   狂言方茂山家家訓
        豆腐は、高級料理にも家庭料理にもなり、飽きられず万人向きとの謂。 

            

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