半歌仙「ユングフラウヨッホ」の巻


        ユングフラウヨッホの麓花野宿        みち子            
        
          ひかりのなかにのこる白月        紲
      
       秋の闇名も無きもののうごめきて       手留

         一人カードの手なぐさみする       み      
 
      父老いて祭囃子を遠く聞く          さくら 

          樫の梢を渡る涼風            み

   
       わが思いまるく抱いてピクニック       さ      

          キムノヴァックは噂も立たず       さ          

       髪引いて衣打ちつつ鬼女の舞         紲

          立ちしまま解く麻の葉の帯        み        

       冗談のように小さな対人地雷         手
 
          キムジョンイルは無言劇する       さ

       一筋のシュプールの先月冴ゆる        さ

          茶髪のおびえる裸木の影         紲

      海洋々神のおわする美し国          さ
   
          宴の目玉は鯛の浜焼           手

      花衣少し気取って電話とる          み

          歩調ゆるめる春の坂道          み 


                    (手留 捌)
          
           1997年10月14日首尾


                  

 座興行の巻々に戻る