半歌仙「祖父の書」の巻


        娘らの物語り居る花野かな          実枝
        
          ふみ読み返す十三夜月          啓子
      
       あきあかねかすり模様に群れ飛びて      瑞草

          定年の朝熱き味噌汁           敏江
      
       寝茣蓙にはブリキのアトム空睨む       敏 

          シュッシュッポッポ夏風わたる      実

       
        釜飯のお辞儀なつかし峠駅          啓      

         太鼓背負いて桃割れが行く        啓          

       新之助艶めく視線舞い静か          瑞 

         透いてくるしき耳朶の紅         敏        

       酋長の戦利品なる絹の服           実
 
          イチかバチかだ追えパパラッチ      啓

       光る君網代の車冬の月            実

         つららきらめく屈託のこし        瑞

       バーゲンの安眠枕はやや固め         敏
 
          祇園の茶屋に春の川音          瑞

       見ゆなき祖父(おおじ)の書あり花の家    啓

          大亀鳴きて雨きざしくる         敏 


                 (敏江 捌)
          
              1997年10月14日首尾



                  

座興行の巻々に戻る