歌仙「傘が無い」の巻


                  秋の雨落命の蝉清めおり           手留

            月の桂にふっと放念           瑞草
                                                                    
                  雑踏にべったら市の匂いして         節子

           右脳左脳にIT革命           さくら
       
         壇上に宰相ありて土用凪           啓子 

            虹のかけらと峠下りくる         実枝     
                         
       
          あくびして鳩と目が合うガラス越し      瑞   

            恋の予感にフルーツパイ焼く       靖子

         人形のサロメは妖し糸遣い          節

             また逢う日までふり返りつつ       絢子

         千載の波打ち寄せる地震の島         宏子  
          
            千六本の腕を褒められ          山羊

         さし交わす枝の細きに冬の月         明子

            枯野を渡るもののふの笛         啓

         ざら紙のカフカ山積みプラハ駅        宏

           解説つきの史記を読み込む        絢

          風一陣大泣き羅漢花のうず          さくら

           湯気に包まれ茶つくりの里        手
                                               
       ナオ
          掘り出され潮吹貝の不満げに         啓
           
              学歴高き死刑囚たち           実

           もの思いイエ呆けました傘が無い       瑞

              捨てる捨てない捨てられますか      節

           田植えして緑広がるカタルシス        瑞

             先見えるまでフリーターで        靖

          この道はローマに続くか霜の朝        明

              酒と女はニゴウどまりに         さ

          泣いてみし縋りてもみし北の宿        啓

            区民農園立札乱立            節

          月高く青煙這える沼の森           絢

              瑠璃糸蜻蛉つんつんつんと        実

       ナウ
          墨書きの図書カード繰る去来の忌       宏

            パソコン講座またも外れる        実

          神経のきしむ音する名演奏          手

              聖母子像の着衣ゆるやか         瑞

         島原の花の岬に灯の点る           実

             殿様蛙庭石の上             啓
                              
       
                        (手留 捌)  

                   2000年9月5日 首尾                     

            

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