半歌仙「倒の字は」の巻

                    
             枯芙蓉遠き縁者の喪を知らず         敏江
        
               日向ぼこしたふるさとの山        さくら
      
            かはたれの闇を開きてリニアとび       宏子

                護身ブザーがあわや誤作動        啓子
      
            惑星と弧を成す月を猫とみる          節子 

               夜食の粥のふつふつと煮え        手留

        
             新涼に阿修羅の眉根きりきりと         さ
                  
              爪紅はじけ想いあふれる         瑞草          

            風あるに電線上の鳩のキス           紲 

               コム・デ・ギャルソンの嫁が来る家    みち子
                                       
            碧濃き水脈(みお)ゆれて今船出待つ      実枝
 
               レッドワインの効目あらたか       節
  
           ほろ酔いの肩借る街の月涼し         山羊

               車椅子連ね夜店ひやかし         啓

             倒の字は今年の世相大書する         紲
 
               蝌蚪われ先に影を追いゆく        実

             まどろめば花いちもんめ花吹雪        宏

               西方浄土に沈む春の陽          さ 


                       (手留 捌)

          
                   1997年12月15日首尾
         

            

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