半歌仙「ロマの情念」の巻

 
               新しき樋(ひ)に音走り梅雨に入る       敏江     

                  かくれんぼの子に匂うどくだみ       明子
                                                                    
               時忘れまた液晶の野に迷い           啓子

          おらが風車のまわる幸せ          宏子
        
        若やいで文学談義月を待つ           とまと   

          言葉つまってむく青蜜柑          明

     
        やや寒の街のはずれに明日さがし        啓

          ロマの情念こもるバラード          宏

        七つめの恋が実って三々九度          啓

          銃声ひびく神々の座に           と
       
        遺伝子の残すぎゅうづめノアの箱舟       と

          敵も味方も風船ガム噛む          宏
        
        凍月の光で写す白川郷             敏

          ブランドづくし犬の重ね着         明

        能面の眼(まなこ)でさぐるシテ柱       啓
      
          滔々として春江の行く           宏
                                        
        花吹雪今年の贅を堪能し            と
  
          巣立ちの勇気讃めるそよ風         敏
           
   
                  (敏江 捌)  

               2001年6月5日 首尾 


                 註 ロマの情念
              ロマはルーマニア民族の意。19世紀の作曲家ポルンペスクが
              切々と祖国への愛を歌い上げたバラ-ダは、近年「望郷のバラ-ダ」
              として日本にも紹介された。         

            

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