二十韻「古酒(クースー)」の巻

                        
                母の掌の懐かしき日よ秋袷          山羊           
                       
                    庭の龍胆揺らしゆく風          実枝
                                                                    
                金鏡に不景気の底映りいて          智 

           音高らかにリターン・キー押す      宏子
       
      
        分水嶺越えて流れに添う線路         明子

            七十八にて晴れて入籍          絢子     
                         
        ひそやかにモロッコあたりの媚薬持つ     明
            
           人真似ロボットうぶな振りする      啓子

        影冴ゆる喪失感と焦燥感           手留

           わかれわかれに騒ぐ冬蝿         敏江

     ナオ 
                稲荷社に猫の円居の静もれる         節子

            ミュシャの少女のたおやかな嘘      宏

        月涼し翡翠の耳の白きこと          敏

            煙草くわえて夜釣りの舟に        啓

        抱き壜の古酒(クースー)の香にさそわれて    節  
          
            宮古の宴呂律回らず           智

     ナウ 
         ハイウェイをとばす車窓に雨しぶく      絢

            いつもの友と春スキー行         手

        石の垣花は枝垂れて濃き薄き         実

          蝌蚪(かと)のびやかに遊ぶ放課後      啓
                                    
       
                       (手留 捌)  

                2001年9月4日 首尾      

            

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