半歌仙「枕いなせに」の巻
 
                       
               立ち止る若者ふたり金木犀          敏江

          螻蛄鳴く売地幟はためく         とまと
                                                                    
                石畳濡れたるごとく月照りて         啓子

          あくびまじりに爪をととのえ       明子
       
        いや増さる炎暑に黙すビルの群        啓 

          塗り籠に盛られ古都の葛切り       宏子     
                         
      
        志ん朝の枕いなせに老いすがた        と

          セク・ハラ上司美女が蹴とばす      と

        「報復」の手だて案じて夜明けまで      啓

          「よき人生を」と留守電の声       宏

        轟音はサヨナラ満塁ホームラン        敏  
          
          とぼとぼ帰る枯草の中          明

        鎖されたるシューマン旧居(ハウス)月凍る    宏

          売約済みの子犬まどろみ         敏

        お手玉の昔の手並み見に来ぬか        明

          真珠色して春の雨降る          宏

        莚敷き醍醐の花見しのび 酒          と

          逃げ水追いて新車走らす         啓 
                           
       
                     (啓子 捌)  

              2001年10月2日 首尾  

            

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