半歌仙「阿吽の虎」の巻


              初句会石の階(きざはし)陽に満てり        啓子
        
          七草すみて集う女(おみな)ら        実枝
      
        声ひそめ鳥影ひとつはだれ野に         節子

          紙ふうせんは必ず落ちる          さくら
      
       大敗の試合果てればおぼろ月          宏子      

          金持が飼う亀の甕買う          手留

     
       川沿いの古書市漢和革表紙          啓 
                  
          ふと肩を抱く哲学の道          山羊          

       夫(つま)に秘す恋も捨てたし髪洗う       絢子 

           約束の刻(とき)ゆるやかに過ぎ       みち子
                                   
       毘沙門天阿吽の虎は耳欠けて         節
 
          手の平なめる盛りきりの酒        手

       群青の空に棹さす三日の月          実

          かくれおおせし大南瓜蹴る        宏

       積読(つんどく)の全集のもとちちろ鳴く     実
 
         枕がわりのソフィーの世界        み

       思わずも千鳥ヶ淵の花に酔う         啓

         知ラザァ言ッテ聞カソ春雨        瑞草


                     (手留 捌)
          
                1998年1月13日首尾   

  

            

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