歌仙「白髯の犬」の巻  


                 冬麗新宮の声高らかに            敏江          
                       
                          湖面を開く着水の鴨           葵
                                                                    
                      大ぶりの青磁の壷を床に据え         茅

                   小さなバスの終点の宿          実枝   

                 舞方の影くっきりと今日の月         智
 
                   風船葛枝の先なり            実   

              
                 そぞろ寒献血跡にバンソウコウ        智

                   乱れ髻に恋をしている          敏

                 カップルのどんどん決まる幼稚園       葵

                   暗闇坂に近い界隈            実
          
                 車体一面広告描いた電車来る         茅
            
                   ゲーム制覇のハリー・ポッター      智
                    
                 月細く砂葬の墳に蟻地獄           茅

                   曝書見守る白髯の犬           実
          
                 皺たるみ取れ取れコース繁盛し        敏
        
                   知らぬ同志が肩たたきあう        智
                   
                      はじまりも果てもひとひら花吹雪       葵
            
                   よもぎ餅など紙にくるんで        智
        
             ナオ
                 和太鼓と胡弓が競う春の宵          茅   

                   荒行堂に宅急便着く           葵

                 宗匠はハーブティーなど好みにて       実
             
                   眼下シベリア蛇行する川         実

                 球根の体温つつみ凍てる土          敏

                   エンロン破綻市場空風          茅

                 ヤクルトの「ファンのみなさまおめでとう」  葵

                   渋くきめてる三度目の男(ひと)      実

                 なんやかや云うても愛し山の神        智

                   あわれ狂牛あわれ農家も         敏

                 朝の月摩天楼への旅支度           葵

                   アワ・ヒエ・キビはおしゃれシリアル   敏          

             ナウ    
                      雨あがる籠もりいる間の柿紅葉        智

                   疎林の奥に酒家の旗あり         茅

                 片隅を照らせば足ると教えられ        実

                   米寿卆寿の鍛冶屋兄弟          敏

                 助六と痴れて行きたや花堤          敏

                   潮干狩りする遠浅の浜          実                                                                           
                                         
       
                            (敏江 捌)  

                      2001年12月4日 首尾

            

座興行の巻々に戻る