十八公「未一字」の巻
未一字ふくよかに書く初硯 啓子
囃して刻むすずなすずしろ 霞
とりどりのハングライダー湧き出でて 靖子
湖岸の電車吹き抜ける風 実枝
皿の絵の波透かし見せ夏料理 純子
ふたりのテラスひさしぶりだね 霞
屋上の社に願う縁結び 実
オセロゲームに土壇場で負け 純
湯けむりと白さを競う月の路 霞
あたり窺う御竈蟋蟀 啓
ウ
杞憂なれきな臭き世の威し銃 靖
決着つかずロゼワイン酌む 純
わが家にもグローバリズム異国婿 実
しばれる夜の長き睦言 啓
橘ノ曙覧なつかし魚煮る 霞
入学の子のランドセル抱く 霞
協会の尖塔光る花の雲 実
ハミングの合う麗らかな午後 純
(靖子 捌)
2003年1月7日 首尾
(注)橘ノ曙覧
たのしみは まれに魚煮て 児等皆が
うましうましと いひて食ふ時
「志濃夫廼舎歌集・独楽吟」より
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