短歌行「求愛ダンス」の巻
やわらかき声に呼ばれし今朝の秋 宏子
友の句集にはさむ梶の葉 啓子
紬織田毎の月を染めあげて 茅
きりはたりちょう風の吹き過ぎ 手留
ウ
バルコニーいつしか小さなジャングルに とまと
梢を這える 蛇の脱殻 げんの
出家でもするかのように写真捨て 六実
助教授もいる谷の合宿所 香
あの人の着信メロディー「薄情(うすなさけ)」 と
求愛ダンス目いっぱいです 手
陶然と花花花の季節惜し と
御くじの中から蝶の飛びだす 啓
ナオ
うららかにSARS終息旅仕度 六
六万年振りMars接近 茅
三鷹の森「舞姫」の墓「斜陽(ひ)」の照らし 手
デュプレの運指たどる寒窓 宏
河豚ちりで生酒チビリおっとっと 香
海峡の街潮の満ち来る げ
釈迦牟尼の倚像珍し月皓々 手
真赤に続く珊瑚樹の垣 茅
ナウ
八方を絵筆にとらえ冬隣 啓
スポーツカーでETC抜け 香
短冊をつけて濃き花揺れており 六
手を差しのべる春のヴィーナス げ
(宏子 捌)
2003年8月12日 首尾
(注) デュプレ
ジャクリーヌ・デュプレ.英国の天才的女流チェリスト。難病のため夭折。
指揮者ダニエル・バレンボイムと結婚したが後に離婚。
ETC
高速の料金所で自動で支払いができる装置。
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