歌仙「賢治の林」の巻
 
                              
       落花生掘りあげた手の五十年            霞

         すすきの原に線路新し             夕子

       月のもとICチップでつながって           敏江

          ひとりぼっちの生もいいもの          霞

       斑猫にわかっていると角曲り            明子

         素足で上がる廊下ひんやり           敏

     
       学芸員人工ルビー作製中              節子

         言葉の合間の君を盗んで            宏子

       抱かれる祇園の街に水の音             霞

         スナップ写真事務封筒に            夕子

       ほんにまああってはならないことばかり       宏

         必須科目にお辞儀の研修            敏

       月凍り姿鎮もる関所跡               明

         賢治の林北風(きた)鳴りやまず         節

       親子連れ寺紋を入れた杖借りて           敏

         羽二重だんごいつも甘めに           節

       初花の待つ頃に訪う里の家             霞

         留守居のどかに大の字の午後          宏

         ナオ
       透明なレインコートに春の雨            夕

         古地図片手に神田界隈             敏

       高値にてキリシタン版買い受けます         霞

         岬の天主堂(おみどう)畳敷きにて        霞

       幼子の長き昼寝よ缶チューハイ           敏

         遠雷の間にガムランの音            明

       金の糸織り込む絣帯飾り              節

         指先そらせ人を惑わす             霞

       ぬけぬけとくどいた科白披露宴           節

         上方漫才来て笑わせる             夕

       相棒を偲んで拝む後の月              敏

         銀杏黄葉のやけに降りくる           霞

    ナウ
        芋虫に農場実習大騒ぎ               敏

         今に見ていろ末は美形だ            夕

       ブランド米DNAでボロを出し           節

         姉も妹も装いあらため             霞

       ひととせの思い溢れて花ふぶく           宏

         蛙歌いて世はこともなし             夕 


                      (敏江 捌)


               2003年10月7日 首尾          


            

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