短歌行「ピアソラを聴く」の巻
片時雨ひっそり帰る消防車 霞
仲間集めて炉開きの朝 智
勝敗を恥じらいもなく言い立てて 手留
国税局と違う見解 宏子
ウ
我が胸の底のここには隠君子 手留
必ず来てと秋の水掬む 霞
寄り添ってピアソラを聴く十三夜 智
現実(うつつ)を奪う深きスリット 宏
引物は紋章つきの箱に入れ 霞
アトム記念館“とまらないでください” 手
神鈴の届くあたりの花の山 智
大志を秘めて春の旅立ち 宏
ナオ
体温計戻す隙々暮遅し 霞
姿勢正して糞するクロネコ 手
婿殿はノートン・コマンド磨きこむ 宏
グレープフルーツ一匙の仲 智
抱篭に染みしにおいを目に追いて 手
ピンボケ写真いとしげに見る 智
満月にドラキュラ公爵城を出づ 霞
敬老の日の士農工商 手
ナウ
遥々と歌の翼に刈田風 智
川を渡って硝煙の地へ 霞
花の奥ハイデルベルヒの学生牢 宏
法被にぎやか博多どんたく 智
(宏子 捌)
2003年11月4日 首尾
(注)1 ピアソラ アルゼンチンタンゴの作曲者。歌手としても有名。
2 ノートン・コマンド イギリスのクラシックオートバイ。
3 学生牢 ドイツ最古のハイデルベルク大学(1386年創立)に1712
年から二百年間設置された。なお、ハイデルベルヒは、この地方の
方言での古い呼び名で、現在はハイデルベルクに統一された。
|