
田畑とまと
|
ご無沙汰しました。点字図書館の仕事が終わってから、気侭な読書ばかりで、この欄にも書かなくなってしまい
ました。
梅雨の最中、降ったり止んだりで、蒸し暑い日が続きます。春に咲いた花は実になり、果実酒を作る季節です。 私は、枇杷とグミ、梅とコーヒーとさくらんぼをホワイト・リカーに漬けました。枇杷は、わが家に生るので、 少し出来の悪いのを果実酒にします。半年後にはアーモンド・エッセンスにそっくりな香りがして、色は深い こげ茶に仕上がります。コーヒーは炒った豆をそのまま使います。真っ黒に透明で、まさにコーヒーの香りが して濃厚な味です。夜は寝られなくなりそうなので、昼間飲みます。グミとさくらんぼは、真赤な色が溶け出 してピンク色になり綺麗なので少しだけ作ります。 今庭には、紫色のアガパンサーが咲き、白いクチナシが強く匂っています。黄色い花を植えると縁起がいい と聞き、矮性のひまわり、百日草、マリーゴールドの寄せ植えを作って門前に置きました。 『1Q84』上・下、空前の売行きだそうですが、早くに手に入ったので、一気に読みました。ちょっと怖い というのが最初の印象です。村上春樹の小説は、ファンタスティックなところが魅力ですが、時々怖い場面が あります。『ねじまき鳥クロニクル』には、ノモンハン事件で生皮を剥ぐという話が出て来てそこだけとても 嫌な気分でした。今度の小説は、一場面が怖いというのではなく、全体に恐ろしさを感じます。それでいて初 恋の純愛も描かれます。 ファンタジーでありながら、ミステリーでもありサスペンスの要素もあります。リアリズムでないところに 村上春樹の小説の魅力があり、また最近の小説家は似たような物語を書きますね。そこでストーリーを紹介し ては台無しなので物語の構造を簡単に整理してみようと思います。 村上春樹はオーム真理教の信者の聞書き(『約束された場所で』)などカルト集団のことに詳しいので、この 小説には背景にカルト集団の存在があります。それが不気味さをもたらすのかもしれませんが、こういう明ら かなモデルを使うのは、村上春樹の小説らしくなくなる気もします。 話は、奇数章が「青豆」という姓の女性が主人公。偶数章が「天吾」という名の青年が主人公で、初めのうち は何の接点もなく違う話が交互に続きます。やがて微妙に交わりだし、最後は、二人とも二つの月が見えると いうところで終わります。二つの月って何だろう?なんて考えても分からないでしょう。 このくらいにしておきますので、大増刷をしている『1Q84』を買って読んでください。 ほかに面白かった本は、『モンテ・クリスト伯』講談社文庫5巻です。これは古くて古本屋と図書館で1~5 までを揃えて読みました。新本では、岩波文庫が7巻本を出しています。 無実の罪で岩の中の土牢に14年間捉えられていた船乗りの青年が、決死の奇蹟的脱出をした上、莫大な金銀 財宝が自分の物となり、「モンテ・クリスト伯」となって自分を陥れた人たちに巧妙な復讐をするという話で すが、明治時代に黒岩涙香が『岩窟王』として翻案したものが有名で子供の本で読んだ方もあるでしょう。し かし何でもそうですが、原書(翻訳)が一番面白いのはいうまでもありません。『ガリバー旅行記』『ロビン ソン・クルーソー』『ハックルベリー・フィンの冒険』『宝島』などこの年になってドキドキしながら読んで います。ストーリーだけでなく、その物語の時代背景も分かって興味は尽きません。 ところでマイケル・ジャクソンが永眠しました。ほとんど興味の無かった人ですが、整形を繰り返して最後は お化けみたいになったと思っていました。今度子供の頃の写真を見て、ふっくらして可愛いのに、「世界一綺 麗になる」と宣言してすっかり変わってしまい肌色も真っ白になった不思議を少しでも知りたいと思いました。 アメリカの黒人であることは、奴隷の子孫であることが多いというコンプレックスがあったのかな?とも考え ます。奴隷制度の最中は、主人の附属物として虐待はされなくても一段低い階級であるのが当然視された(上 記の物語にも)という記憶が、マイケルのプライドには許せなかったのかなあ?とも考えました。 とりとめのない話でご免なさい。この辺で。 2009年7月4日 記 |