『イリヤの空、UFOの夏』
原作:秋山瑞人
監督:伊藤尚住
シリーズ構成・脚本:横手美智子
キャラクター原案:駒都えーじ
キャラクターデザイン:倉嶋丈康
美術監督:井芹達郎
アニメーション制作:東映アニメーション
作品公式サイト
リリース時期:2005年2月〜7月
レビュー元:DVD(レンタル)
◆ 2005年3月9日
第1話「第三種接近遭遇」
脚本:横手美智子 絵コンテ・演出:伊藤尚住 作画監督:志田ただし
「戦争は始まってた。みんな気付いてないだけ」。夏休み最後の夜、浅羽直之(浪川大介)は、学校のプールに忍び込む。が、プールには先客がいた。「イリヤ、イリヤ・カナ」。あくる日の新学期、転校生が越してくる。「伊里野加奈です」(by伊里野@野中藍)。
人気小説のアニメ化。監督は、『Re:キューティーハニー』の2話「地の巻」監督の伊藤尚住さん。
子供向け、原作モノには強い東映が、弱かったマニア路線を補強するために創設したのが、アニマイスターレーベル。なんだけど、第1弾だった『インタールード』観たときも思ったんだけど、キャラデザインはともかく、いかんせん演出が古くさいんだよね。とくにギャグっぽいところとかはそれが顕著。キャラを今風にさえすれば、マニア向けだと思ってる節があるかも。ハイクオリティをうたってるわりには、そんなに作画が良いわけでもないんだよね。
今回の『イリヤ』も、そういうところが目についちゃう。とくに、水前寺部長(神谷浩史)がね。あと、伊里野の避難訓練でのエピソードも、もっと伊里野はパニックになってもらわなくちゃ。原作既読だと、細かいところがいろいろ余計気になるなぁ。
まあ、ふたりが出会って、話は始まったばっかりなんでもう少し見守ろうかと。ちなみに、鼻血はアニメで見てもそんなに萌えない(笑)。
◆ 2005年4月8日
第2話「ラブレター」
脚本:横手美智子 絵コンテ:伊藤尚住 演出:中尾幸彦 作画監督:古瀬真弓
水前寺部長から浅羽に、伊里野を新聞部へ入部させるためまずはデートに誘えと命令が下る。
浅羽の妹、夕子(高野直子)登場。浅羽と伊里野のデートなんだけど、水前寺と榎本がふたりして(別々に)「そこだ浅羽、チュウだ〜!」ってのはなんか笑えた。バイクのチェイスは、ちょっとタルかった。いかにもなBGMもちょっとダサいし。
妹の「お兄ちゃんは変態じゃないも〜ん!」は良かったね。良かったシール2枚だ!(笑)
Bパート後半、伊里野が浅羽に自分の秘密を喋って、秘密を共有するってエピソード。もうちょっと、伊里野の素っ気ないんだか気があるんだか判然としないっていう、恋のシーソーゲームみたいな(笑)ところを出して欲しいなぁ。
◆ 2005年5月11日
第3話「十八時四十七分三十二秒」
脚本:横手美智子 絵コンテ・演出:中村健治 作画監督:志田ただし
学校は文化祭の準備で大わらわ。伊里野はめっきり学校に来なくなる。
晶穂(千葉紗子)が伊里野にムカつくって話。
学園祭の楽しさがあんまり伝わってこない。浅羽父(山崎たくみ)と水前寺部長のフーファイター談義がなかったのが残念。すべてがすべて原作通りじゃなくてもいいけど、このエピソードは必要でしょ!? ディテールをおざなりにしてるのは、やっぱりいただけないね。
なんか、アニメ版は原作の濃縮還元みたいな感じになっちゃってるなぁ。やっぱ13話くらい欲しいかな?
今回の、いよいよ大規模な戦闘が(どっかで)始まったってのはイイね。もちょっと普段から日常と非日常のミックスのバランスを見せて欲しい。自転車のシーンは、夕日の街の美術が良かったよ。ラストのブラックマンタとのダンスはまあまあ?
あ〜、なんか原作のエピソード、結構忘れてるなぁ。ざっと読み直してみるか?
◆ 2005年6月13日
第4話「水前寺応答せよ」
脚本:横手美智子 絵コンテ・演出:伊藤尚住 作画監督:倉嶋丈康
園原基地で爆発が起こる。学校の授業は短縮されるが、生徒の間に非常時の緊張感はない。そんな中、晶穂(千葉紗子)は、伊里野を「町のおいしい店」の取材に誘う。伊里野は晶穂の予想に反してついてくると答える。
待ってましたの鉄人定食の回。結構頑張ってやってるんだけど、やっぱり脳内シーンの方が勝ってる。いつもなんだけど、音楽がいかにもって感じで興ざめしちゃう(とくにコミカルなシーンで)。鉄人屋の店長が、小杉十郎太だったのは笑ったけど。あと、定食の絵は良く描けてた。
後半の伊里野が白髪三千丈になるシーンは、ちゃんとショッキングになってたと思う。前半のコミカルさとの落差が効いてる。
先生が、「そのアタマ(の色)はなんだ!?」って怒るんだけど、最初から青い髪なんだがなぁ(とか突っ込んじゃイケナイんだろうなぁ)。真由美先生(桑島法子)とのどつき合いシーンも、浅羽の敗北感がちゃんと判りやすく描写されてた。
エピソードのまとめ方(端折り方)も、無理がなくて自然でした。これからの後半の逃避行エピソードも楽しみ。
◆ 2005年7月6日
第5話「最後の道」
脚本:横手美智子 絵コンテ:石平信司 演出:信田ユウ 作画監督:竹田欣弘
園原を逃げ出した伊里野と浅羽は、休校中の小学校に無断宿泊する。浅羽がコンビニに買い出しにいった隙に、その事件は起きた。
逃避行編。……なんだけど、話の端折りが過ぎるかも。ホームレスのおじさん(声がなぜか宮本充)の心温まるエピソードが短いし、浅羽が伊里野にキレるシーンも唐突に感じるよ。これじゃあ、ストーリーラインをなぞってるだけだじゃん。
Bパートの駅前の話以降は、わりと雰囲気出てた。ちゃんと、浅羽が他の人物になって(伊里野にはそう見える)、伊里野の視点で出会ってから今までを振り返るってシチュエーションがちゃんと生きてた。切ない。
ええと、次がもうラストかな?
第6話(最終話)「イリヤの空、UFOの夏」
脚本:横手美智子 絵コンテ・演出:伊藤尚住 作画監督:志田ただし
お祖母ちゃんの家にたどり着いた浅羽と伊里野。しかし、居間でふたりを待っていたのは、やつれ果てた榎本(井上和彦)だった。
最終話です。
ラストまでの話のつなげ方とかドラマの見せ方は、混乱がなくてとっても親切に作ってあって感心感心。ちゃんと判りやすいよ。っていっても、ディテールはかなり忘れてるんで、アレなんだけど。
演出も、淡々と描いてるところが良かったよ。ラストの、園原の日常風景の美術も気合い入ってたよ。
今さら言うのも何だけど、後半のこういう苦い青春っぽい話になっていくと、どうしてもいかにもアニメっぽいキャラデザインとドラマとの乖離が気になって来ちゃうのも確か。実は、原作小説読んでるときも、イラストは意識的に頭から排除しながら読んでたんだよね。
いや〜、萌え絵だとシリアスドラマに入っていけないってのは、ぼくもまだまだ修行が足りないね〜(笑)。
評価の高い原作のアニメ化って割りには、あんまり話題になってなかった気がするんだけど、どうでしょ?
それはそれとして、アニメ版を観終わってみると、意外にも原作の青春モノならではの敗北感とか喪失感とか、そういった苦い部分を忠実に描こうとしてたのが意外だった。この辺はきちんと評価しておいてもいいと思うよ。
でも、前半部分の夏休みの楽しさの描写が、ちょっと寒かったのがいただけない。前半だけ観たら、なんかフツーの良くある学園ものなんだよね。後半とのギャップをねらってってのもあるんだろうけど、面白くないって意味での“フツー”はイカンでしょ。
まあ、原作に思い入れがあるとこの辺の評価はどうしても厳しくなっちゃうんで、その辺割り引いて読んでもらってもいいんだけど。
作画・演出ともに普通の出来だったのも、OVAクオリティを求めてた人にとっては肩すかしだったかも。そういう意味では、アニメで観る意義ってのをあんまり積極的に見いだせなかったのも事実。声優のキャストからなにから、読者の想像の域を超えるところがなかった。
というわけで、原作とアニメ化との関係の難しさを改めて感じる一本でした。