『トップをねらえ2!』

原案・監督:鶴巻和哉
企画監修:庵野秀明
脚本:榎戸洋司
キャラクターデザイン:貞本義行
バスターマシンデザイン:いづなよしつね
フューチャービジュアル:okama
美術監督:加藤朋則
音楽:田中公平
アニメーション制作:GAINAX
作品公式サイト
リリース日時:2004年11月〜

レビュー元:DVD(レンタル)


◆ 2004年12月8日

第1話「お姉さまと呼ばせてください!」

脚本:榎戸洋司 絵コンテ:樋口真嗣 演出:大塚雅彦 キャラクター作画監督:貞本義行・柴田由香 メカニック作画監督:すしお

 「ノノは絶対、宇宙パイロットになるのだ!」と、田舎からひとり出てきたノノ(福井裕佳梨)。時給720円のウェイトレスではヘマばっかり。「浮ついた夢追いかけてないでさ、いい加減仕事に本腰入れなよ」(by店長@小山茉美)。

 GAINAX20周年記念作品の本命。なぜか『トップ』の続編ってところが、狙ってるよね。批判も含めて話題をさらっちゃおうっていう、GAINAXらしいあざとさ。こういう狡猾なところ、好きですよ。

 鶴巻和哉監督は、自身も『トップ』の大ファンでしかもGAINAXきってのSFマニア。前作の『フリクリ』でコアなファンを魅了。一般おたく人気は、あんまりないのかなぁ? 本人もインタビューで「普通の、女の子とロボットが出るだけのアニメよりよっぽどサービス精神旺盛なつもりなんですけどね」と。ぼくなんかは、鶴巻さんのサービス精神、大好きなんだけどね。

 個人史的なことを言うと、『フリクリ』のラスト、初見のときはSF的なネタの収斂を期待してたんで、正直チョット肩すかしだったのね。ハル子がナオ太を置いて帰っちゃうのも納得できなかったり。でも、後になって思春期ものとして観たらアレで良かったんだと思えるようになったんだけど。当の鶴巻さんも、「SF的なガジェットは、入りきらなくて全部背後に隠しちゃった」って言ってたし。

 前置きが長くなったけど、何を言いたいかというと、SF好きで『トップ』ファンの鶴巻さんが続編やるとなると、当然『フリクリ』でやりきれなかったSFの、リベンジマッチになるんじゃねーかと、それを期待してるわけですよ!(勝手に)

 んで、第1話を観てみると、『フリクリ』ファンは大満足、って感じで良いスタート。しんみりと来るアバンタイトルの雪国からの上京、コミカルなノノ、お姉様との出会い、んでトリのアクション! お姉様は、ラ・ルク(坂本真綾)。感じは、お姉様ってキャラじゃないね。背もノノよりだいぶ低い(意外!)。「努力と根性で頑張りますから」と言うノノに、「そういうのはいらない!」ってところがミソ

 作画は、文句なし。バスターマシンが一部CGなのはご愛敬。四角いロボットも大部分がセルシェードかな? 飛んでくる破片からノノをかばうところは、『エヴァ』第1話のミサトっぽい。ラストの今石さんの作画のところは笑える。そう来たか〜。エンディングがokamaさんのカワイイイラスト。テロップが手書き風なのがまた“判ってる”ね。

 『フリクリ』っぽいのを期待してる向きには期待通りの出来。でもまだ、“今まで見たことないもを見てしまった”的な驚きはない。ツカミとしては十分合格点。

 関係ないけど、ノノの足が外反母趾だったのがなんか良かったな(笑)。

★★★★・

【コロッケ五円之助】

◆ 2005年3月5日

第2話「お姉さまなんかになりたくない」

脚本:榎戸洋司 絵コンテ:幾原邦彦 演出:中山勝一 キャラクター作画監督:錦織敦史 メカニック作画監督:久保田誓 作画監督:柴田由香

 ノノの正体は実は○○だった!? ノノ(福井裕佳梨)はラルク(坂本真綾)にフラタニティHQ(本部)のある、メガネビュラにつれてこられる。

 幾原さんコンテ回。原画に庵野さんが。オープニング、『ちょびっツ』みたいと思ったら同じアーティストさんだった。

 フラタニティHQのデザインて、どっかで見たことあるんだけどなぁ。『ポーの一族』に出てきたギムナジウムがあんな感じじゃなかったっけ、と思って単行本引っ張り出してみたら、別に似てなかった…。ちなみに、メガネビュラは、ちゃんと眼鏡型(笑)。

 とはいえ、HQがギムナジウムに似てるのは偶然じゃないみたいで、“トップレス”能力は子供の無邪気さ残酷さの象徴みたいなモノっぽく描かれてる。ニコラの遊んでるような戦い方とかがさ。宇宙怪獣と唯一戦えるんで、社会から隔離された温室みたいなギムナジウムに囲われてる。

 元トップレスのハトリ大佐(梅津秀行)に言わせると、トップレスこそが宇宙怪獣を呼んでいるのだと。この辺の話はあとに繋がってそうね。ハトリは、『フリクリ』のアマラオ管理官だよね。『フリクリ』と同じく、思春期テーマっぽい匂い。うんうん、楽しみ。

 後半の宇宙怪獣との戦闘シーンは、これまたカッコイイの何のって。ニコラ(岩田光央)の“ヴァンセット”は、宇宙船の制御系をハックできるみたい。ニコラのラストはの決めは格好良かった。

 いやいや、ちゃんと面白いよ。楽しみ。

★★★★・

・オマケ

 福井裕佳梨のはどっちでもいいけど、マッキー監督と出渕さんとの対談が良かった。マッキーさん、髪型と眼鏡がハカセちゃんみたい。

 マッキーさんの、「世代的に全面的に科学万能バンザイになれない」ってのが良く判る。ぼくも、校庭にオキシダント注意報の旗が立ってて、チェルノブイリの雨におびえて育った世代だから(←ちょっと大げさ)。

 バスターマシンは、無口な高倉健さんがモデル(?)ってのが笑った。


【コロッケ五円之助】

◆ 2005年6月24日

第3話「トップレスなんて大嫌い」

脚本:榎戸洋司 絵コンテ・演出:平松禎史 キャラクター作画監督:林明美 メカ作画監督:阿蒜晃士

 最高スコアをねらってるチコ(沢城みゆき)は、宇宙怪獣の群れ“木星急行”との戦闘で自分のバスターマシンを大破させてしまう。しかし、チコは次の新型機キャトフヴァンディスのパイロットの座をノノと争うことに?

 ぼくの好きな平松さんコンテ回。平松さんは、絵も好きだけど演出も好き。林明美作監。原画に馬越嘉彦さんがいたり。

 今回は新キャラ、チコちゃんの話。「雪を降らせて!」(by木星居住区の子供)。

 今回は平松さんらしく、チコちゃんの心情をしっとり描写してた。もうあなた、見終わったら即、チコちゃん萌えですよ(笑)。正直、ちょっと泣きそうになった。全然違うお話なんだけど、この3話はまぎれもない『トップ』だよ。だんだん、キャラたちもカワイく思えてきた。

 “木星急行”の描写も、数の迫力がスゴかったし、ドラマとも有機的に結合してるバトルシーンだったよ。バカで綺麗で泣ける。インチキSFっぽいのもナイス。

 トップレスたちは、何らかの思春期的屈折を抱えてるのね。ノノは、やっぱりハル子なのかしら。

★★★★½

【コロッケ五円之助】

第4話「復活! 伝説のバスターマシン」

脚本:榎戸洋司 絵コンテ:庵野秀明 演出:大塚雅彦 作画監督:柴田由香 メカ作画監督:今石洋之

 土星の衛星タイタンにある“タイタン変動重力源”の発掘現場。そこには、異星人のバスターマシンが埋まっているという噂が……。発掘を仕切る双子のトップレス、サーペンタイン姉妹(小林沙苗&松岡由貴)にそそのかされ、ノノは自らのバスターマシンを求めて冥王星へ飛ぶ。

 庵野秀明さんコンテ回。宇宙怪獣、バスターマシン、そしてトップレスと、作品の根幹に関わる部分に踏み込んだ内容になってる。スケールもどんどんでっかくなってきて、まさに『トップ』的なドライブ感。中盤の内圧の高まりからラストのカタルシスへのつなげ方の流れが絶妙だったよ。

 今回は、サーペンタイン姉妹を象徴にして、“いい歳してトップレスでいることの気持ち悪さ”ってのがミソだったね。ニコラ(岩田光央)のショートパンツがギリギリ似合ってないのも、実はその象徴だよね。トップレス能力を取り戻したい冥王星のカシオ(山崎たくみ)もそう。スゴく判りやすい、いつもの榎戸思春期テーマって感じ。いや〜、でも面白いんだよね。

 初代『トップをねらえ!』のオープニングテーマ、『アクティブ・ハート』の使い方も上手いね。

 ラストの展開は、『トップ』らしい「え〜〜〜ッ!! そんなんアリ〜!?」ってなオドロキに満ちた展開(言いながら顔は嬉しそうに笑ってる)。

 コリャ、もうラストまでとことん付き合うしかないね。覚悟は出来てます!

★★★★・
【コロッケ五円之助】

第5話「星を動かすもの」

脚本:榎戸洋司 絵コンテ:摩砂雪 演出・キャラクター作画監督:錦織敦史 メカニック作画監督:すしお

 タイタン事件後、宇宙怪獣そしてトップレスへの認識が改められることに。それに伴いラルクたちも待遇も一転、人類に害をもたらす者として隔離拘束される。一方、反対にノノは地球を救う最後の希望の星となる。

 摩砂雪さんコンテ回。

「私はお姉様なんかじゃない!」(byラルク)

 ノノとお姉様と、立場が逆転しちゃったこの話数で第1話と同じセリフをラルクに言わせたりと、相変わらず計算尽くの気の利いた演出が冴える。「ノノって、第1話で普通に民家に住んでたじゃん」とか、そういうツッコミにちゃんと答えを用意してたり、前作と関係ないふりしてちゃんと繋がってたり、ホント小憎たらしいほど細やかな気遣い。

 それでいてちゃんと鶴巻榎戸思春期テーマもいよいよもって前面に出て来つつあるようで。思春期の万能感と老いへの極端な嫌悪ってのが通底するテーマね。この辺も、前作の「ローレンツ短縮で老いないノリコ」っていうところへの返歌(?)になってるんだろうね。

 鬱っぽい話ながら、静かな内圧の高まりと相まって、観てて緊張感が高まりっぱなしだった。作画ももちろんスゴくイイ出来なんだけど、それをことさら気にさせないくらいのお話の面白さがあった。

★★★★½
【コロッケ五円之助】