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「場」をつくる行政の役割

<静岡県/どこどこ・ぷらっとふぉーむ>

 デジタルレポーターと呼ばれる市民が取材編集するコンテンツなどを擁し、インターネット博覧会でも高い評価を受けた静岡県の公式サイト。ここ静岡県で8月からスタートするのが、地図情報を利用した市民参加型の情報プラットフォーム。地域ポータルや自治体GISが各地で開設されるなか、静岡県の場合はどのようなスタンスで取り組んでいるのだろうか。

取材:太田順子氏

インタビュー●静岡県企画部情報政策室・主査河井孝仁

 テーマも市民が決めながら

 「どこどこ・ぷらっとふぉーむ」はGISを使った地域情報システムで、インターネットの地図上に、市民がパソコンや携帯電話から情報を登録したり検索したりできる。もちろん写真データも貼り込めます。しかし、これだけだと、それこそどこでもありそうですが、私たちが力を入れているのは、考え方とそれを具現化するユーザビリティの部分なんですね。

 一つは、「コミュニティ再構築の支援ツール」という位置づけ。自分たちが暮らす地域を再認識するには、何を大事にしていくか、しっかり認識できるツールが必要です。それを提供するのは、行政の役割だと思うのです。それも、あれこれお膳立てするのではなく、「場」を用意して、市民が利用しやすい環境を整える。この場合は、アプリケーションの開発です。

 「どこどこ〜」に書き込む情報は、NPOや市民の方がグループをつくって、自分たちの共通のテーマを設定します。グループをつくるのも、テーマに応じたアイコン作成も自由。実験段階では、NPOがバリアフリー情報、子育てパパ&ママが口コミ情報みたいに街のスポット情報の共有に活用していました。これらの情報は一枚ずつグループごとにレイヤーとして、地図上に重ねられていきます。

 こうして重層的に情報が集まることで、立体的にコミュニティが見えてくる。見えたところから地域づくりも始まるのでしょうし、情報がストックされることで、インターネットが政策を議論する「意見交換の場」としても、有効に機能しはじめると思うのです。

 プラットフォームをつくる

 こんなことを考えたのも、静岡県には「NPOアイデア活用協働推進事業」という、NPOとの協働事業を募集の段階からすべて公開し、市民も意見を交換できる場がありまして…。

 協働、コラボレーションと言ったときに、委託や「話し合いました」みたいなことは、協働ではありませんよね。NPOが考えるイニシアティブを行政としてどう受けとめるか、「議論の場」「情報が集まる場」としてのプラットフォームをつくることも、行政の役割としては重要だと思うのです。その点から見ても、静岡県のアイデア活用事業は、かなり先進的です。でも、まだこれからの部分もあります。

 一つは、議論が進行するには、電子会議室と同じでしょうが、情報を提供したり発言を促したり、意見の道筋をつける編集および管理をする人、いわゆるエディターやファシリテータなどが必要でしょう。

 そして欠かせないのは、その場が楽しく快適で生産的であるための、議論参加へのインセンティブ。それは地域通貨と結びついた「投げ銭」システムみたいなのも考えられる。しかし、一番のインセンティブはコミュニティだと思うのです。活発な議論がコミュニティを生むのではなく、コミュニティが議論を生成していく。

 NPOをはじめとした市民のいろいろな想い、いろいろな情報が集まる「場」。そこで彼らが出会い一緒に考え議論し、政策立案まで行きつくような舞台装置を考えたり、事業者をつなぐ役に回るという役割も、行政にはあるはず、と考えています。

 裏方に回る「協働」

 こうした議論の場は、そこで発言するNPOの「評価の場」にもなるわけです。評価って、AかBかみたいな選択だけではなく、自分が好きな物差しで見ることもできる。その意味では、一緒にできる相手を見つける場にもなります。特にNPOは同じミッションをもったところ同士が組んだ方が成果が上がりますし、NPOと企業という組み合わせもあるでしょう。

 実際、今回の「どこどこ〜」は、最初にNPOさんが進めていた事業を、できるだけ多くの人が使えるようにと、県の方で企業に委託してシステムを開発した。事業実験もしたけれど、その後、「これをどう使おう」と、もっと多くの人の意見を聞くために、フォーラムも開催しました。事業予算? そんなにかかっていませんよ。

 携帯の講習会も行っているんですが、「宣伝してもいいですから」ってキャリアさんに来ていただいたり。それをマスコミに取り上げていただいたり。企画してもお金が絡むと「それはどこそこの部の管轄」となることも多いけれど、お金のかからないことは言われにくいですから、思いつくことは何でもやる(笑)。これこそ私がお伝えできる「実践」実務情報かな。

(株)NTTデータ発行 【コンセンサス・コミュニティ】vol.12 「企画情報実務[協働の考え方]2」から引用

PDF版へ(【コンセンサス・コミュニティ】14頁そのままのpdfファイルです。写真もあり)

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