ホ・ジノ監督インタビューから(中)
99/03/01 06:38
★Q3−1:小津安二郎がお好きだと聞きました。小津監督は平凡な日常生活のエピソードの積み重ねが上手い監督ですが、映画を拝見してホ監督もその点において似ているな、思いました。
さて小津監督は「ローアングル」と呼ばれる独特な手法で映画をとりましたが、ホ監督もそういう手法をとりいれてみたいと思ったことはありますか?
★A:次回作で、ということですか? うーん。
(「ローアングル」については)よくわからないです。私が小津監督が好きなのはそういう(日常生活のエピソードの積み重ねかたの上手さ)理由のためです。日常生活を繰り返す中にもキラッと光る瞬間がありますよね?
これからも私自身、そういう瞬間を描いた作品を作っていきたいです。日常生活の中のささいな出来事に秘められた深さ、とか美しさとか。小津作品は難しいストーリではなく、一日一日を生活していくというだけの話なのに感動させられ、人生についてとかについても考えさせられます。ストーリーは本当に単純なのに深みがある。
★Q3ー2:「東京物語」、「秋刀魚の味」をご覧になったそうですが、その後なにかご覧になりましたか?
★A:福岡アジアフォーカス映画祭で「晩春」を見ました。他にも黒沢作品も見たんですけど。
あの「晩春」の中で足の爪を切る場面がでてきますよね?「8月のクリスマス」にも足の爪を切るシーンが出て来るんですけど(自分との)共通点が見つけられてすごく嬉しかったんですよ。
★Q3−3:ではあの爪を切る場面が共通したのは偶然だったんですか?
★A:ええ。そうなんです。映画を作り終えた後「晩春」をみたわけなんですから。「晩春」で爪を切るシーンは一瞬ちょっとだけ出て来る場面に過ぎないのにそのシーンを見つけた時は(自分と小津監督の)共通点を見つけたようで本当にうれしかったんですよ(笑)
★Q4−1:日韓の文化交流がこれからより活発になると考えられます。ホ監督は日本の映画とかドラマを見たことがありますか?
★A:この間「HANA-BI」が正式に韓国で公開されました。
正式にこの作品が公開される前にはビデオで岩井俊二の作品や「幻の光」なんかを見たんですけど、それもちゃんとしたビデオではなくて画質なんかがあまりよくないものでした。まあ多分海賊版だとおもうんですけど。
最近韓国でも日本文化に対する関心が高まっています。チョ・ヨンウォンという日本への留学経験もあり、小さい時から子役としても活躍してた俳優がいるんですが、彼が日本の映画を韓国に紹介する仕事をしてます。岩井俊二、周防正行、北野武・・・などの作品
を紹介したそうです。こうゆうことからも韓国の若者の間で日本映画の関心が高まっていることが分かると思います。
★Q4−2:それにも拘らず、正式公開された 「HANABI」や「影武者」の評判は芳しくなかったとか?
★A:いや、評判は良かったんです。ただ観客の入りが悪かったのは、韓国の独特の配給制度に問題があったせいだと思われます。
「HANA-BI」は大規模な映画館12館で上映されました。私の聞いた話によると日本での公開時「HANA−BI」は2館で上映されたとか。韓国での上映時に大きい映画館で、しかもあちこちで上映されたため観客が分散してしまったんですね。「影武者」や「HANA−BI」はむしろそういう風に商業映画やハリウッド映画のように大々的に上映されるのではなくアートシアターのようなところで長く上映する形式をとればよかったのではないか、と思います。その上、韓国では大規模な映画館で上映するとなると宣伝費がかかるんです。日本と違って韓国では新聞広告を沢山うたなければならないので費用もかかるため長い間上映するのが大変なんです。
それでも初めてのわりにはまずまずだったのではないか、と私は思います。日本映画の関心が高くなっているとはいっても、ハリウッド映画ほどには及ばないわけですし。今は映画祭で賞を取った作品だけが上映されてますけど、これから段階的に公開の基準も変わっていきますよね。噂では岩井俊二の「ラブレター」が公開されれば大ヒットするのではないか、と言われてますし、だんだん観客数が増えていくのではないかと思います。韓国の市場占有率もアメリカ映画、韓国映画、日本映画、という順番になるのではないか、と予測してます。
★Q4−3:是非一緒に映画を作りたい、と思わせる日本の俳優やスタッフがいたら教えて下さい。
★A:ええ、そうですね。まだ具体的に考えたことはないのですが、いますよ。うーん、北野武かな?(笑)もちろん彼を使いたがっている人は多いんですけどね。今回の夕張ファンタスティック映画祭でも日本の俳優を何人かみたんですが、きれいで魅力的でした。
日本映画受け入れに関し韓国では、日本映画は暴力的で扇情的だという先入観があるようです。皆がそう思っているわけではなく特に年配の方々が特にそういう先入観をもっているんですけど。
でも、日本映画が解禁されて昔の映画や韓国で行われた日本映画祭で上映された作品、例えば小津安二郎ですとか溝口健二とかが韓国で公開されればいいのではないかと思います。日本映画は韓国映画の根っこ、また柱ともいえますので残念です。
日本の古典映画を韓国で一刻も早く紹介されればと思います。私もそういう作品を見たいので。
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