青木/会場の方で、何か質問があればどうぞ。
A/「八月のクリスマス」は写真を扱っていて、監督は写真好きと思ったが。
ホ/大学では写真部だったが、今はそんなに撮っていない。
B/哲学科だったそうだが、映画をとる上で何らかの影響があるのか。
ホ/学生時代はあまり勉強しなかった。
ただ映画を撮る上で、「ひと」を撮るということで、影響はあるかも。
C/映画の中のうちが、とてもいい感じの、主人公とお父さんだった。
あの家は、古い家を使ったのか。日本式のうちを使っているのか。
ホ/家自体はそこにある、群山(グンサン)という港があり、韓国から日本に
荷物を積み出していたところで、カラスの窓など日本家屋になっている。今、
残す残さないという話になっているが。
青木/台湾に行くとのと、韓国に行くのとだいぶ違う。
オリンピックの前とはだいぶ違った。反日的な感じが、ノ・テウあたりから
はゆるんできた。台湾の場合はだいぶ違い、親日的だった。韓国は分断されて
しまっているが、台湾はその後国民党が来てひどい政治をしたから。
しかし、韓国でも10年前くらいは考えられないほど、雰囲気が変わった。
若い世代の考えは違ってきた。日本の映画はだめだったのを、釜山映画祭の時
には見た。それまでは海賊版どしか日本映画が入らかったのだが。
D/日本映画はそれまでどういうところで見られていたのか。
ホ/ほとんどビデオだった。しかも海賊版で、そんなに何本も見ていない。
それから、学生どうしの上映会のような場所でのビデオ上映などはあった。
構内のビデオ上映などあった
青木/世界中で、韓国ほど日本車が走っていないところはない。
香港などどこに行こうと必ず日本車が走っているのだが。
ホ/まず韓国で今の若者は二面性の考えを持っている。
マスコミでは、右翼的なこと、賠償や慰安婦の清算のことなどを言う。
しかし、文化的な面は違い、アニメやカラオケなどどんどん入っている。
文化面では、これからも交流していくのが良いと思う。
今「ラブレター」がソウルでかかっていて、1位のようだ。日本映画の影響
力は強い。日本の人たちにももっと関心を持ってもらいたい。
また、日本映画は感情的なものが我々に似ている。
青木/日本の俳優は知られているか。
ホ/高倉健などは知られているが、俳優などはまだあまり知られていない。
これまで監督は知られていたが、俳優はまだまだだ。しかし、これからは俳優
のファンクラブもできるだろう。
青木/韓国で香港映画のファンクラブはあるようだが。
ホ/それもあるが、日本映画にも関心がある。「シャル・ウィー・ダンス」の
役所広司、「ラブレター」の中山美穂などが有名になっている。
青木/日本で韓国映画が受入れられにくいのは、偏見があるのではないか。
アジアのものは西洋に比べてチープという見方がどこかにあるのではないか。
ぼくは大阪生まれだから、特にそう感じるのかもしれないが。
E/地域的なものがあるだろう、私は東京生まれだから、あまり感じないが。
日本の場合は、香港のような映画スターはいない。先日のハン・ソッキュ来日
の時もファンか集まったが、日本にはそういうスターはいないかもしれない。
F/韓国のドラマが好きで見ている。韓国では、テレビでもラジオでもスター
がいるようだが。
ホ/テレビの俳優は、交替のサイクルが早い。流行ってもすぐすたれる。テレ
ビに出ても映画ではだめのようだ。ハン・ソッキュや、シム・ウナのような、
映画でもテレビでもいい俳優というのは貴重だ。
G/日本でスターが出ないのは、作品が良くないのではないか。
H/作品自体は面白いが、スターは韓国のような人はいないようだ。
青木/ぼくがアジアを回って思うのは、高倉健や、吉永小百合のような俳優
は、日本に興味のない人も知っているということた。それに対して日本では
韓国のアン・ソンギ、香港のチョウ・ユンファといったクラスの大俳優でも
アジアに興味のない人は知らない。一般の人は、ジャーキー・チェン以外は
知らないかもしれない。
I/心にしみる映画があれば、国対国てはなく個人対個人でいけばいい。
青木/やはりいい映画があれば、と思う。
インドの監督が言っていたが、アジアと日本の歴史もふまえたものをまとめ
ていきたいが、日本はアメリカに向いている、という感じが強いのだと言う。
今、ウォン・カーウェイのようなものが入ってきて、初めて一般の人の間で
も香港映画が有名になったが、その前の70,80年代にほんとにいい映画が
あると思うのだのだが。

ホ・ジノ監督と
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J/今、普通の人の間でも、ヨーロッパやハリウッドよりアジアの映画が好き
な人が増えていると思う。そのひとつか「八月のクリススマ」だ。
青木/先進国の映画はいったん衰退した。
その間に出てきた、第三世界の映画に、ブラジルなどいいものがある。
ホ・ジノ監督の作品のように人気が出れば、また次が入るが、そうでないと
その後が続かない。
今、ほんとにいい映画がどのくらい公開されているだろうか。公開されてい
ない映画の中でもいいものがある。釜山映画祭で、「スリーフレンド」という
いい映画があった。高校生が卒業した後のモラトリアムのうちに、兵役に行っ
たり働いたりして成長していくというとてもいい話だ。そういう良い映画が、
どこでも紹介されていかないというところがある。
もっともそれは他の国ても同じで、もう少しなんとかできないかなと思う。
K/最近、韓国映画が好きになった人の中には、三百人劇場で特集を組んで、
それが好きになったきっかけという人もいる。
青木/あれは昔のいい映画など公開された。またそういう機会があればいいの
だが。また、ただ映画を上映するだけでなく、どうやって映画を見た人たちが
係わっていけるか、そういう場所づくりがほしいように思う。
ホ/今、韓国で「ラフレター」は人気だが、昔のものでいいものがある。
小津、溝口といった古いものは紹介されていない。そういう形でどこかで昔の
日本映画のいいものをやってほしい。日本映画の古くいいものを見たい。
青木/最後に今回の感想を一言。
ホ/青木さん、通訳の土田さん(マンマさん)に感謝したい。
みなさんの応援で、いい映画を早く撮りたい。
青木/このために来ていただいて、感謝している。
L/もう一言言わせてほしい。「八月のクリスマス」が大好きだ。この主人公
が「アジョシ(おじさん)」と呼ばれていることが、すべてを表していると思
う。今、監督と、主人公のアジョシの姿が重なる。
ホ/自分がアジョシと呼ばれると、ちょっと複雑な感じだ(笑)。
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会場の方も参加して、和気あいあいとした和やかな雰囲気でした。何よりも
監督の控えめで温かい人柄、青木さんのアジア映画への情熱が感じられます。
なお、青木透さんの写真展「アジアの映画人たち」では、今週末にもまた、
ゲストを迎えてトークが催される予定。みなさん、どうぞおいでください。99/12/10
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