ライブ・エピソード集

サービス精神

 1997年1月、大阪で開かれたライブは、リードギターの経田さんと二人だけの編成のステージでした。
 確かIMPホールだったと思いますが、ステージの作りから、客席の一部では、経田さんの姿が見ることができないということがリハーサル中にわかったそうです。
 そんなことではそれらの座席にお座りになられた方に不公平だというので、村下さんは本番前にそれら経田さんの姿が見られないだろう座席の椅子の裏にご自分が実際に演奏で使われるカスタムピックをセロテープで貼り付けておいたそうです。
 およそ10席分くらいに貼り付けておられたようでしたが、ついでに客席のど真ん中に当たる座席にも貼り付けておられました。
 ライブの途中でこのことを明かし、「そこの方、そしてそこの方・・・」と、カスタムピックを貼り付けた座席を指差して確認させておりました。
 ところが、ステージ上から見ていて、せっかく貼り付けた座席にお客様が座っておられないのをいくつか見つけると少し残念そうにされ、「近くの方、よかったら取ってくださいね。」と言っておられました。
 ステージの終盤になってから、また空いた座席に貼り付けたピックのことを気にしておられて、「さっきのピック、どなたか取られましたか?ぜひ持って帰ってくださいね。」と念押しされてました。
 このことは、村下さんのお人柄の良さがよく現れていた出来事としてとても印象に残っています。

オペラグラス

 1988年1月の大阪厚生年金会館でのライブのことです。
 僕は視力がわずかに残っておりましたが、座席が前から7列目でもステージの様子が見えないので、会場のロビーで有料でオペラグラスが貸し出されているのを見つけ、借りることにしました。
 まあ、それでも手ぶれはしますし、お顔や細かいところまでは見えませんからそんなに覗いてみたりはしてなかったと思います。
 ところが、村下さんがステージ上で、「会場でオペラグラスなんか貸し出ししてるんですねえ!」と驚いた様子でオペラグラスの貸し出しについての話になったのです。
 「こんなものを借りる人がいるんですかねえ?」などと確か言われたと思うのですが、それを聞いて仲間4人でライブに行ってた僕たちは仲間うちで大爆笑。
 ステージ上の村下さんも実際にオペラグラスを手にしておられ、ステージから客席の方を覗き込んでおられました。
 僕もこうなったら開き直ってオペラグラスでステージを覗き込んでみるのでした。
 残念ながら村下さんとは目が合わなかったようでした。「あ〜!こちらを覗いている方がいますね・・・」なんておっしゃってくださったらどんなにか楽しかったことだろうと思いましたね。
 けっしてビジュアル系とは申し上げにくいですが、優しいお顔を見てみたかったですし、より細かいところでは村下さんのギターの指使いを研究してみたかったですねえ。
 あの時のようにオペラグラスを通して天国からこちらの世界を覗き込んでくれていたりして・・・。

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