優等生は嫌いだ!

 中学1年、その日、僕はTさんという女子と当番に当たっていて、放課後、小テストの丸つけ(採点)をしておりました。
 鉛筆やシャープペンシルの文字は色の悪い紙に書かれていると読みづらく、答案用紙に鼻の頭をこすりつけるようにしてクラスメイトの解答をチェックしておりました。
 ほとんどの生徒は下校していたのですが、教室には当番の二人以外に何人か残っていました。
 と、教室の後ろの方にいたNさんという女子が僕のいるところへつかつかと近寄って来て唐突に、
 「どうせ見えへんねやったら、私の間違えたこの問題、丸にしといてよ。」と小ばかにした笑いを浮かべて言うのでした。
 僕は答案を読むふりでうつむいたままぶつぶつと文句を言いながら涙をにじませました。
 Nさんはそこそこ勉強のできる人で、優等生でしたね。僕はこの日から優等生が嫌いになりましたね。

 優等生と言えば、同じ中学1年のこと、クラスで百人一首大会が行われた時のことです。
 僕が参加した対決のところにギャラリーが何人か寄って来てその様子を見ておりました。
 僕などはごく目の前にある札さえすぐには読み取れませんから、ある程度目を近づけては自分の近い札だけでも覚えておこうと何枚かは頭に記憶しておりました。
 でも、それ以外のものが読まれたって捜すにはすごく時間はかかりますし、たいていは他の人がさらっていくのでした。
 そんな様子を見ていたまた別のNさんという女子が、
 「あ〜、イライラする〜!」と僕の正面の辺りにいて、バカニしたようにして言うのでした。
 その子はもっと優等生タイプの生徒でしたから、ますます優等生は嫌いになっていくのでした。


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