初めてなぐられた

 中学3年のことです。休み時間には5〜6人で野球をして楽しんでおりました。
 ボールは色のついたゴムボール、バットはその辺に転がっていた棒っきれでした。
 僕にはその色のついたボールというのが困り物でして、よく見えないんですよねえ。
 ゆっくり投げてくれたらどうにか見えるかなあってくらいの見え方ですから、仲間に入れてもらってはいますが、へまばかりですよね。
 たまたま速いゴロの打球をナイスキャッチした時は、敵も味方もなくみんなで珍しいことが起きたと大騒ぎになるほどでした。
 それでも、野球は好きでしたから仲間に加えてもらってました。
 それがある日、僕がバッタに立ち、U君がピッチャーという場面のことでした。
 U君は気持ちよさそうにスイスイとボールを投げ、僕は見えにくい大リーグボールのような球に目をこらしながらくいつくようにしてバットを振っていました。
 でも、どうやら僕は全くボールの行方が見えていなくて、ボールとかけ離れたところでバットを振っていたようなんです。
 それがU君には僕が投げやりになってバットを振っているように思えたんでしょうね。
 肩をいからせながらのしのしと僕に近寄り、「馬場!自分が下手やから言うてなんやそのふてくされた態度は!」と言っていきなり僕の頬をなぐり飛ばしました。
 僕は「なんでこうなるんや!」と理不尽に思いながらあまりに衝撃的な出来事に驚いてしまい、しゃがみ込んで泣いてしまったのです。
 まあ、相手はクラスの中でもボスの立場にいるやつでしたし、そいつが教師をなぐっているのも見たことがありますから、あかんたれの僕には反論も反撃もできずにおりました。


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