前夜

 平成7年1月15日、僕はT君と大阪日本橋の電気街でコンピューターミュージックのための機材とソフトを買いに出かけました。
 僕は盲学校に在籍し、マッサージ・はり・灸の勉強をしていました。
 T君はずいぶん年下ですが、同じクラスで趣味も共通するものが多く、彼と行動をともにすることが多かったですね。
 僕は意外と機材とソフトが安く手に入り、これから始まるであろうコンピューターミュージックの世界への期待が高まるのでした。
 15日は成人の日なのですが、日曜日だったので、振り替えで16日も休みでした。
 僕は購入した機材を箱から出してみてあれこれ触ってみたりしました。
 でも、目が悪いので、人の目を借りたり、使い方などを教えてもらったりしなくてはなりませんから、その時はスイッチなどをいろいろ想像しながら触るだけに終わり、また箱に納めて部屋の隅にしまいました。
 夕方6時ころだったと思います。
 母も仕事から帰って来て、夕食の支度をしていました。
 僕は小腹が空いたので、1階の食卓にいました。妹も近くの押入れ辺りで何か作業をしていました。
 すると、突然グラグラグラと地震が起きたのです。
 でも、震度で言えば1くらいだったと思うのですが、妹はやたら怖がっておりました。
 あの時、なぜそんなに怖がったのかを尋ねたのですが、揺れは大したことはなかったけど、何か中途半端なところで止まった気がしたと言うのです。
 僕は全くそんなことには気づいてはいませんでしたが、揺れが唐突に止まった感じだったそうです。
 これは本当に中途半端な揺れ方で唐突な止まり方だったことを後から痛いほど思い知らされるのでした。


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