かげぼうし

 平成17年4月下旬のある日、僕はいつものように自分のベッドに寝ていました。
 僕はよく夢を見る方ですが、その日も夢を見ていました。
 もう朝が近い時間のことです。
 僕はベッドに寝ている状態の夢を見ていました。 僕は目が見えていないので、実際は見ていないはずなのですが、父が僕の頭の方から僕の顔をのぞきこんでいるのがわかりました。
 父が昔よく着ていた白いポロシャツが印象的です。
 さかさまに見える父の顔は蒼ざめたような青白い色をしていました。
 それが、さっと向きを換え、僕のベッドの脇に来て、今度は僕の横から僕の顔をのぞきこむのでした。
 しかし、それは一瞬のこと。その父の顔がかげぼうしのように真っ黒な輪郭だけの顔に変貌したのです。
 輪郭はぼやけてしまい、さっき見た父の顔よりずいぶん大きく見えます。
 そして、そのかげぼうしは、何か怒号に似た声で僕に何か叫びながら顔を近づけてきます。
 今にも僕の顔にかみつきそうなほどの勢いで俊敏に近づいてきます。
 ものすごい寒気が顔から首に走ります。
 僕はとても怖くてギャ〜と叫びながら身体をかわし、そうしてやっと夢から覚めたのです。
 目が覚めてからも胸がドキドキしています。
 「夢でよかった〜」

 そんな夢を見て三日後に一人、十日後にまた一人従業員がやめて行ったのです。

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