食いしん坊の言い訳

 僕はつくづく食いしん坊だなって感じることがあります。
 出されたものは終わりまで食べないと気がすまないし、目の前に食べ物が並べられると箸を止めることなくドンドン食べ続けてしまう。
 誰かからいただきものがあると聞くと気持のどこかに「自分の分は確保しておかなきゃ」なんて思ったり・・・、あ〜なんて食いしん坊のいやしん坊なんだろうって情けなくなることがあります。
 そんな食いしん坊になってしまった僕の言い訳を聞いてくださいますか。

 それははるか昔昭和の時代のこと、僕が幼稚園に通っていたころのことです。
 その日は遠足があり、出発前に運動場に全員が集合し、組ごとに整列していました。僕はゆり組でした。
 遠足の時って思い思いのおやつを買って来て出かけるのが楽しみのひとつですよね。自分の自慢のおやつと友達の自慢のおやつを交換したり、おまけなんかを交換したりって・・・。
 それがその日はおやつが幼稚園から配られることになっていました。
 僕のゆり組でも整列している先頭の園児から順番におやつが配られていました。
 そして時間も迫っていたのか、手の空いた先生が手分けをしてゆり組の列の後ろからもおやつを配り始めました。
 僕は列の真中あたりにいたと思います。
 前から配っている先生のおやつが僕のまん前の園児のところで終わりました。

 そう、カンのいい人はそろそろわかったかな?
 そうなんです。後ろから配っていた先生の持っていたおやつも僕のま後ろの園児のところで終わってしまったのです。
 普通なら余分に買っていたりとか、誰か欠席していたとかでひとつくらいは余るってなもんですが、それがまったくなかったらしく僕のおやつはなしになってしまったのです。
 僕は大してパニックになることもなくおとなしくそのまま遠足に出発したのです。
 なんて事情のわかるジェントルな子供だったんだろう。今の僕の方がずっとわがままでそんな状況だと黙ってはいなかったでしょうに。
 遠足が終わってから先生がおやつを持って謝りに来ていたのをなんとなく覚えています。
 僕は長い間この事実を忘れていたのですが、何かの時に母からこのことを聞いて遠い記憶がよみがえり、すっかりわがままになっていた僕には屈辱的なこととしてよみがえってしまったのです。
 それ以来僕は食いしん坊に変貌してしまったのです。

 そういえば、冷蔵庫にひとつアイスクリームがあったはずだよな。お母様に食べられないうちにいただいちゃお!!


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