お大事に

 それはある夏の日。
 地元の町では地蔵盆で、子供たちがにぎやかな夜でした。
 その日はあいにく雨で僕は傘と白杖とを持たなければならなくてゆっくりと家路についておりました。
 いつものように商店街の左端をゆっくり歩いていますと、可愛い声がこちらに話しかけてきます。
 「このまま行くとぶつかりますよ〜。」
 僕は一瞬その声が何を言おうとしているのかわからずなおも進もうとしました。
 するとついにその可愛い声の主が僕の腕の辺りに触れてきて、誘導し始めたのです。
 声の雰囲気からも、その手の高さからしても小学校低学年の女の子だと思いました。
 僕はやっと地蔵盆なのを思い出し、その女の子にお礼を言いながら誘導してもらっておりました。
 僕がいつものように歩いて行くと地蔵盆の臨時の会場にぶつかってしまうようでした。僕は雨音でその様子にも気づかずにおりました。
 女の子は上手にそれを迂回するように道の真ん中に僕を誘導し、すっかり会場を過ぎた辺りまで連れて行ってくれました。
 そして、彼女は、「もう大丈夫ですよ。」とか言って僕と別れました。
 さらに彼女は目の覚めるような一言を僕の背中にくれたのです。
 「お大事に〜!」
 それを言うなら「お気をつけて〜」くらいじゃないの?(爆)
 僕はうれしさとおかしさで投げ飛ばされた気分でした。
 ほんとお大事にしなければ、身体がもたんわい。


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