最高のテレフォンサービス

 それは、ピンクレディー全盛の昭和53年ころのことです。
 ある日の昼間、僕は妹と家におりました。
 すると、外で大きな声がします。近所のFちゃんというおてんばな女の子のようでした。
 繰り返し繰り返し何か大きな声で言っているものですから、僕と妹は興味がわいてきて、窓際に行き、何を言っているのか内容を詳しく確かめるのでした。
 それはFちゃんが自分の家の窓から誰にというのではなく、何かの宣伝のように呼びかけているのでした。

 「みなさ〜ん、電話番号×××ー××××にダイヤルするとピンクレディーの歌やお話が聞けま〜す。どしどしおかけくださ〜い!」

 僕はそれより以前にアグネスチャンが全盛のころにこういう内容のテレフォンサービスがあるのを知り、ただテープが流されているだけのものなんですが、アグネスチャンの歌やお話を楽しんだ記憶があったので、またそういうものなんだろうと疑いもなく、Fちゃんの呼びかけを信じたのでした。
 妹もピンクレディーが好きでしたから、聞かせてやろうと早速にその番号にダイヤルしました。
 何回かの呼び出し音の後、意外に坦々とした女の人の声で人が電話に出ました。
 こういうテレフォンサービスはテープが流れると信じていますし、そのアイドルの妙にテンションの高い声が聞こえてきたりするものと予想していますから、ごく普通な声がすると絶句してしまうのです。
 どうもそれはテープでの声ではないとわかると瞬間的には間違えたかなと思ってしまいました。
 とっさに電話を切った僕はドキドキしながらもその電話に出た声がどこかで聞いた覚えがあるのに気がつきました。
 それがわかると、僕は大爆笑!
 みなさんももうおわかりですかねえ。そう、Fちゃんの声だったんです。
 妹はがっかりしながらも二人で腹がよじれるくらいに笑い転げてしまいました。
 まあ言えばFちゃんの逆いたずら電話だったんですよね。
 どういうつもりであんな宣伝のようにして自分の家の電話番号を連呼したのかはわかりませんが、まんまとおてんば娘にしてやられたのでした。
 う〜ん、今までにあんなに笑わせてくれるというサービスのいいテレフォンサービスに出会ったことはないですねえ。


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