'99.8オーストラリア旅行記
99.8.6(土)第3日目
シドニー (泊)

霧に霞むシドニー湾
朝起きてみると、雨は上がり晴れていた。この日はシドニー市街のタロンガ動物園とシドニー水族館、それからランチクルーズをする予定だったので、晴れてもらわなくては困るところだった。まずはほっと一安心。
しかし前日の雨のせいで、非常に濃い霧が出ている。ホテルの窓から外を眺めても、街はぼんやりとしており、展望台・AMPタワーも霧の中に頭が埋もれている。
ホテルを出て、車でシドニーの北部のタロンガ動物園へまず向う。北部へ向かうのでハーバーブリッジを渡るのだが、海上なのでここはさらに濃い霧に包まれ、数メートル先もよく見えない。橋がどこにあるのかもまったくわからなかった。
タロンガ動物園近くのノース・シドニー、ニュートラル・ベイは高級住宅街。街道沿いの店もどれも洒落ていて小奇麗。ゆっくりと散策してみたい街だった。
タロンガ動物園の「タロンガ」とは、原住民・アボリジニの言葉で「美しい眺めの場所」。動物園は緑の生い茂る半島に造られ、言葉どおり、シドニー湾や市街が一望できる。ここの動物たちは、世界でも有数の美しい景色を眺めながら暮しているわけである。
最初は霧が晴れず、何も見えなかったのだが、気温が高くなるにつれだんだん晴れてきて、シドニー湾が見えるようになった。
動物たちの背景に広がるシドニー湾の眺め。キリンの首の向こうにシドニーの高層ビル群が垣間見えたりして、不思議な光景であった。
写真右は「ミーアキャット」。悟りを開いたような顔が面白い。
動物園の一番人気はやはりコアラ。ニューサウスウェールズ州では、三年前にコアラの抱っこは禁止されている。コアラにストレスが溜まり、死に至るという理由からである。絶滅が心配されている動物なので当然のことだろう。代わりにタロンガ動物園では、コアラ舎の中に入り、間近で写真を撮ることが許されている。ただしこちらも、午前一時間、午後一時間の、一日トータル二時間のみである。
コアラは夜行性動物であり、また一日たったの四時間しか動かないため、コアラ舎に入ったものの、ぐっすりと眠っていた。しかし、撮影時間が終わった後のぞいて見ると、起きてユーカリの葉を食べていた。肝心な時に働かないのは私と同じか(^^;;
昼近くになると霧もすっかり晴れ、とてもよい天気になった。この日は土曜日だったので、大勢の人々が街に出ている。レストランもカフェもどこもいっぱいだし、シドニー湾ランチクルーズも、船が二隻出るほどの賑わいである。
ランチクルーズとは、シドニー湾内を一時間半かけてゆっくりまわるクルーズで、ランチつきの場合は45$で船室に入れるが、ランチ抜き(コーヒーぐらいは頼むのかもしれない)で甲板のみの場合は15$である。天気がよければ甲板でも十分過ごせるが、ランチ30$の価値は十分あった。とにかく海鮮料理がとてもおいしい。ここぞとばかり、生牡蠣を山のように食べた。
昨日雨の中で見たシドニー湾とは、とても同じとは思えないほど、青空の下の海は穏やかで鮮やかである。やはり、旅は晴れるに限る。ヨットの白い帆がまぶしかった。
ハーバーブリッジも、今日ははっきりと見える。
写真左上に点のように見えるのは人影。ハーバーブリッジには登ることができるのだ。「ハーバーブリッジ登頂ツアー」なるものが出ていて、人々は命綱をつけて登るそうである。船が近づくと、橋の上の人々が手を振ってくれた。時間があれば、私も登ってみたいと思った。
この後、ダーリングハーバーにあるシドニー水族館へ行った。ここも土曜日とあって、家族連れを中心に大変混雑していた。
シドニー水族館の目玉はカモノハシ。カモノハシが水中を泳ぐ生物であることを私は初めて知った(^^; それから巨大なガラスのトンネルを泳ぐ鮫。最近開設された、グレートバリアリーフを模した熱帯魚館。日本の水族館も、葛西、品川、名古屋等ずいぶん凝った物が多いが、シドニー水族館にはかなわないな、と思った。
この写真はダーリングハーバ近くの風景。
2000年オリンピックを前に、シドニーの街はオリンピック一色である。オリンピックを告知した旗が並び、ビルの壁には五輪マークがつき、AMPタワーには、競技者を模した人形が飾られている。
街の土産物屋にも、オリンピックTシャツや帽子、時計、ピン……あらゆる物が売られている。しかし、私たちの目当ては昨日に引き続き、あくまでも「Windmill社のコアラのぬいぐるみ」である。16時頃水族館を出て、この後、街中の土産物屋を中心に、「Windmill社のコアラ」を探した。
ところが、全然見つからないのである。目に付いた店には片っ端から入り、10軒を越える店をまわり、顔を見たコアラのぬいぐるみはおそらく500匹を越えるだろう。だが、目指すコアラは見つからない。
いつのまにか日も暮れ外は真っ暗。「Windmill社はもしかしてつぶれたのでは……」いい加減疲れて重くなってきた足をひきずりながらハーバーサイドに戻り、「これが最後」とバーバーショッピングセンターに入ったところ、縫いぐるみ専門店があった。そしてついに見つけたのである。Windmill社製で、欲しかった型番に近い型番のコアラを!
「Windmill社はつぶれていなかったんだ!」大喜びでかわいいコアラを買うついでに、店員に「Windmill社のコアラって、どこで売っているんですか。全然見かけないんですけど」と聞いてみた。
店員(*注* 日本人。これがオーストラリア人だったら、とてもこんな会話はできない)いわく
「Windmill社はオーストラリアの会社だから、市中の土産物ではあまり扱われていないんですよ」 つまり、市中の土産物屋は安さを追及するので、中国製などを中心に品揃えをし、どこもみな同じ製品ばかりになってしまう。「Windmill社の製品を探すのならば、免税店とか空港とか、ぬいぐるみ専門店ですね。ちょっとお値段はかかりますけど」 それから付け加えてこういった。「Windmill社のぬいぐるみは、ほんとにかわいいですよね」
要は私たちは、見当違いのところを探していた、というわけである。
明日は朝、シドニーを離れる。エアーズロックにはおそらくないだろうから、期待をかけるとしたらシドニー空港か、ケアンズだけである。
「きっとどこかに、欲しい型番のコアラはあるに違いない」
そう自分に言い聞かせながら、まばゆい夜のイルミネーションを見つめる私であった。