'99.8オーストラリア旅行記

99.8.7(日)第4日目

シドニー→エアーズロック (泊)


マウントオルガ(カタ・ジュタ)


 この日は、エアーズロックへ向かった。昼過ぎにエアーズロックリゾートに到着し、その後、マウントオルガ(カタ・ジュタ)の観光、エアーズロック(ウルル)のサンセットを楽しんだ後、夜、星空鑑賞をする予定である。なかなかハードな一日だ。
 朝7時半にホテルを出発しシドニー国内空港へ。カンタス航空エリアは新しくてとてもきれいである。国内線のみの発着だが、オーストラリア製の土産物屋があり、昨日ぬいぐるみ専門店の店員に教えてもらったとおり、Windmill社のコアラのぬいぐるみが並んでいた。が、しかし、やはり欲しい型番の物はなかった。
 さて、乗る予定の飛行機は9:25発だったのだが、そこは「オーストラリア時間」、1時間近く遅れて出発した。メルボルン発シドニー経由エアーズロック行きの飛行機なのだが、まずメルボルンから飛行機が到着したのが9:20過ぎ。まあ、焦っても仕方がない。郷に入れば郷に従え、である。


salt lake
 快晴だったので、飛行機の窓から下界が非常によく見える。
 シドニー市街は家がびっしりと並んでいるが、少し郊外に出ると深い緑色の山になり、そこを越えると、赤茶けた大地が延々と続く。同時に、人の住んでいる気配も全くなくなる。集落もなく、たまに大地につけれた道はまっすぐ。幾何学模様のように地平線に向かってびている。
 湖も干上がり、塩で真っ白。地図を見ると、湖の名前の後ろにカッコして"salt lake"と描かれている。塩の湖である。水が蒸発したのだろう。
 これが砂漠なんだ……
 実は今回の旅行で一番楽しみにしていたのは、このエアーズロック。オーストラリアの砂漠を見てみたかった。というのは、アメリカの児童文学「ひとり歩き」(ジェームズ・マーシャル作)を読んでいたからだ。この作品、飛行機事故でアリススプリングス近くにたった二人で放り出された姉弟(メアリ13歳・ピーター8歳)が、アボリジニの少年とともに、砂漠を歩く物語である。文明と未開の対比、そしてそんな文化など超越してしまう人間の魂のふれあいを描いた作品──だが、それ以上にこの作品の素晴らしいところは、砂漠の自然が厳しくも美しく描かれている点である。まずは赤茶けた大地と塩の湖に、メアリはピーターはこんなところを歩いていたのか、などと思いをめぐらせた。

 シドニーを飛びだって約4時間。潅木がぽつぽつと生える地に、エアーズロックが姿を現した。何もない地にある巨大な一枚岩。神秘の岩である。やや離れた所には、いくつもの岩でできたマウントオルガも見えた。
 まもなく飛行機は、コネラン空港に到着した。ここでも「現地係員」がJ社のツアー客を待ち構えていた。J社から委託された現地の旅行会社の人で、オーストラリア人であった。しかし日本語はとても上手だ。
 空港は旅行客と現地旅行会社の係員でごった返している。エアーズロックリゾートは、エアーズロック観光のために人工的に造られた町なので、リゾート以外に人の住める場所は、アボリジニの人たちの住居のみ。通常、旅行客はエアーズロックの観光を独占している数社の係員に従い観光する。というわけで、飛行機でこの地に降りたった人たちは、まず空港でツアーの申し込みをするのだ。
 エアーズロックリゾートは、空港から約5キロ。エアーズロックの姿を見ながらものの10分ほどで到着する。景観をそこねないようにとの配慮から、リゾートの建物はどれも二階だてと低く、アパートのようになっている。プールのある中庭を抜けて部屋へ行って荷物を置くと、すぐにマウントオルガ観光へ出発である。とにかく24時間で通常ならば2、3日かけてする観光をするのだから、大忙しである。日本発のツアーらしい。「リゾート」という言葉にはふさわしくない。

 マウントオルガは、エアーズロックの約30キロ西方にある36個から成る岩で、元は一枚岩だったという。もし一枚岩のままだったら、エアーズロックより大きかったのだろう。アボリジニの言葉では「カタ・ジュタ」たくさんの頭、という意味だったと思う。
 マウントオルガは登ることはできないが、ウォーキングトレイルがつけられており、その内部に入ることができる。アニメ「風の谷のナウシカ」は、このマウントオルガの「風の谷」をモデルにしたそうで、風の谷への7キロのトレイルコースもあるそうだが、さすがにそんな時間はない。片道2キロ弱の手軽なトレイルを歩いた。
 岩肌の赤茶色と空の濃い青とが、毒々しいまでに鮮やかなコントラストを見せていた。ちなみに、エアーズロック、マウントオルガなど、ウルル・カタ・ジュタ国立公園を歩く場合には、水の持参が必須とされている。今は冬なので一人600mlの水を持つことが決まりとなっているが、夏場だとこれが1000mlになる。今は冬で、昼間は20度ぐらい、空気も乾燥しており、ブラウスにパーカーでちょうどよく「天気のいい初冬の日」という感じである。というわけで、40分ほど歩いてもたいして喉は乾かなかった。
 この後は、「エアーズロック・シャンパン・サンセット」ツアー。
 いったいどんなものかと思っていたら、エアーズロックの真っ正面に陣取り、夕陽で岩肌の色が変っていくところをじっと眺めるツアーであった。日が沈むのを待つ間、シャンパンやビールを飲むことができ、簡単なツマミも用意されている。ツマミとして、エミュのソーセージとカンガルーのミートパイを食べた。初めての経験である。エミュの方は、普通のソーセージとたいして変わらず、カンガルーの方はツナに似ていた。


夕陽を反射する観光バス群
 

 このサンセットツアー、旅行者の国ごとにたくさんの観光バスが出ており、お国ごとのエリアがあちこちに作られ、皆、じっとエアーズロックを見守っている。自家用車で来ている人もたくさんおり、さながら花火大会に集まった人たちのようである。
 太陽が傾くに従って、エアーズロックは徐々に色を変えていった。
 明るい赤茶が、夕陽が沈む寸前には赤く燃え上がり、そしてすぐに黒くその色を失っていく。この日は雲一つない快晴だったので、それほど劇的な色の変化はなく、また空の色は単調だったが、この色の変化は見物であった。徐々に変わっていく岩肌と周囲の空の色を、写真で楽しんで下さい。↓

 夕食後、やはりツアーで近くの丘まで星を見に行った。リゾートも十分暗いのでたくさんの星が見えたが、文字どおり明り一つない丘の上からは、見事な星空を眺めることができた。
 陳腐な言葉だが「降るような星空」 天の川が、上空を本当に横切る「川」のごときものだと初めて知った。流れ星もいくつか目にした。日本でもこれに匹敵する星空は、八重山諸島の竹富島と、北海道の知床半島で見たことがある。が、しかし、ここは南半球。日本とは全然違う星空である。
 とはいえ、星が多すぎて、どの星とどの星を結べば星座になるのかなんて全然わからない。南十字星すら最初はわからず、思い切り茅沼氏に馬鹿にされた(^^; 私は天体には著しく疎いのだ(^^;; ひときわ明るいアルファ星とベータ星を目印に、その真下にある4つの星が南十字星。コツをつかめば、わりあい簡単に見つけられるようになったが。
 「天体観測」ツアーということで、天体望遠鏡なるものを初めてのぞいた。白鳥座連星、火星、プロキシマ(アルファ星)、南かんむり座…… でも天体望遠鏡で星そのものを大きく見るよりも、肉眼で見た方がロマンを感じる。
 無数の星を見上げていると、いつか人類も、これらの星に行く日が来るんだろうななどと考えてしまう。
 「400年ぐらい先かな。星に行けるようになるのは」
 椅子に座って星空を見上げる私に、茅沼氏が一言。
 「どっちにしたって、生きている間には行けないんだから」
 そりゃぁまぁそうだけれど、なんとなく、400年後も生きていて、その日をこの目で見ることができるんじゃないかという気がする私は、やはり大馬鹿者なのであった。


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